【小説】wo R ld's end 08

投稿日:2010/03/07 15:17:37 | 文字数:2,983文字 | 閲覧数:414 | カテゴリ:小説

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小説のストックがまたなくなりました。
久々に双子が両方しゃべった!

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TEXT
 

 季節はもう移ろい、映画の撮影も始まっていた。

 主題歌と劇中歌を、来年の映画公開に合わせて発売することになっている。
 曲も歌詞も出来ていたけれど、まだ収録はしていない。
 あたしが収録時期を先延ばしにした。
 レンの声変わりのことがあるからだ。来年も同じ声だとは限らない。声が変わったのは分かるのだが、これが声変わりの前兆なのか、途中なのか、終わってこの高さなのか、よく分からない。

 不良の少年が、姉のような年上の女性に心を開き、徐々に心を通わせていくというストーリー。あまりにも似合いすぎていて、あたしの入る幕なんてどこにもなかった。
 微笑ましい家族愛のように見えるが、過激な恋愛表現もある作品。

「分かんねぇ……」

 撮影から帰ってきたレンは、あたしの部屋に来るなり、そう言って勝手にベッドに倒れ込んだ。
 レンの方からあたしの部屋に来るのは珍しい。

「なにが?」

「色々……」

 明日の撮影のことで悩んでいるらしい。最近はあたしもソロでの活動があって、撮影にはほとんど関わっていなかった。

 台本を見せられて、あたしは息を呑む。
 キスシーンくらいあるとは思っていたけれど、なかなかハードな要求だった。撮影以外でキスなんてしたことのないレンには、きっと無理だろう。

「どうやんの?」

「知るわけないでしょ! カイト兄かメイコ姉に訊きなよ!」

 真っ先にあたしを頼ってくれたことは、ものすごく嬉しい。でも、あたしは、レン以上に幼稚なキスしかしたことがない。
 年上の男との恋愛――例のロリコン扱いされたやつ――の中で、それなりにディープなのもあったけれど、やり方なんて知るわけない。
 っていうか、本当にやらなきゃ駄目なのか? あの監督、十四歳相手に、リアリティー追及するにも程があるのでは?

「恥ずかしくて訊けねぇよ。ルカ姉は長台詞覚えるので精いっぱいみたいだし……」

「なんであたしは恥ずかしくないのよ」

「何を今さら」

 じゃああたしで練習してみる? そんなこと、とても言えないけれど。

「もういいや、ぶっつけで」

「おい」

 レンは何やら勝手に納得したようで、立ち上がって伸びをした。

「……あたしが代わろうか?」

 ふと、あたしはレンに言った。レンは驚いたような顔でこっちを見ている。

「あたしが代わりに撮ろうか、そのシーン」

 今回の映画も、あたしは主演からはずされてしまったけれど、一応は鏡音リン・レン名義だった。グループ全員が通行人で出演するというファンサービスがあるのだ。
 だとしたら、代役でも問題はないはずだ。監督が許すかどうかは分からないけれど、どうせ見分けはつかないのだから。喋らなければ。

「いや、無理だろ、顔アップはさすがに」

 あたしの考えが分かったのかどうか、レンは平然と言いかえす。

「見える? 俺、少し喉仏出てきたと思わない?」

「全っ然見えないよ」

「そっか……じゃあ気のせいか」

 まぁ、どちらにせよ、顔アップで代役は無理だから。

 レンは、当然のようにそう言った。女装して雑誌の表紙を飾っておきながら。

「第一、お前の方が下手だろ」

「うー……そうかもしれないけど」

 レンだって、彼女つくったこともないくせに。確かに、別学かもしれないけどさ、お互いに。

「それとも、そっちの趣味でも?」

「あるわけないでしょ!」

 ルカ姉のことは嫌いじゃないけど、恋愛対象だなんて思ってないよ、さすがに。
 でもあたし、明日の撮影、行くんだよ。見る勇気ないよ。

「へぇー……」

 レンは、疑惑の目であたしを覗きこんだ。

「な、なによ」

 ずいっと顔を近づけられて、あたしはどぎまぎする。
 長い睫毛が触れそうなほどそばに、レンの蒼い瞳がある。癖っ毛があたしの額をさらさらと撫でた。

「無理だろ」

 不意に顔をそむけ、レンは言った。

「この距離で緊張してるようじゃ、まず無理」

 あたしは、かっと頭に血が上って、そばにあったクッションをレンの背中に思い切りぶつけた。

「レンの馬鹿!」

「はぁ!? なんでだよ!」

 緊張するに決まってるでしょ、相手があんたなんだから! なんで、そんな簡単なことに気付かないのよ馬鹿!

「リンちゃん、なに暴れてるの?」

 ふと扉が開いて、ミク姉が顔をのぞかせた。なんであたしだけ暴れてたことになってるかな。普段の行いってやつ?

「カイト兄が、そろそろご飯だって言ってたよ。あ、それから、レン君」

 ミク姉は、愛らしい動作で、ちょこちょこと指先を動かしてレンを呼んだ。
 首を傾げて部屋を出ていったレンは、二、三分経ってからあたしの部屋に戻ってきた。

「ミク姉、何だって?」

「いや、別に。ミク姉の次のシングルのバックコーラス出来るかって訊かれただけ」

「で、なんて答えたの?」

「鏡音のシングル発売と被らなきゃ大丈夫って」

 あたしは、きょとんとして目を瞬く。

「なんか、出す予定あったっけ?」

「今決めた」

 はぁ? なに考えてんのあんた。
 確かにあたしたちはプロデューサーでもあるから、CDの発売も勝手に決めたり出来るけど、映画の撮影で忙しいこの時期に。しかも、ルカ姉とのデュエットを来年出すって分かってるのに、わざわざあたしとのデュエット?

「しばらく出してなかっただろ」

「そりゃそうだけど」

「撮影あるって言っても、映画一本だけだし。ドラマ何本も撮ってた時よりずっと暇だろ」

「そうかもしれないけど」

「なに? 出したくないのか?」

 そりゃ、あたしも久しぶりにレンと仕事したいけど……あたしでいの? どうして?

「今出しとかないと、後悔するだろ。絶対」

 その言葉で、理解した。レンは、いずれあたしと同じ音域を歌えなくなることを、気にしているのだ。
 それは、あたしのためだろうか。それとも、レン自身が寂しいから? 後悔するのは、誰?

「……そうだね」

 あたしは、どうしたいんだろう。
 正直、いつまでも一緒に、同じ音を歌っていたいとは思わない。違う音しか出せなくなることを、望んでいる。そして、その時もまだ、自分の居場所がレンの隣にあることを望んでいる。
 でも、それがとても難しいことだと分かっていて、だから、その時が来なければいいとも思っている。

 どっちつかずの自分。
 レンに思いをぶつけようにも、うまく言葉に出来ない。本当に自分が望んでいることを、レンに伝えられるとは思えない。そして、あたしと同じことをレンが望んでくれなかったら……それが、とても怖い。

 恋愛なんてそんなものなのかもしれない。特別な悩みではないのかもしれない。
 でも、今のあたしにはそれしかない。アイドルとして成功したけれど、そんなことはもはやどうでもよくなっている。贅沢だとは思うけれど、どうしようもない。

「ほら」

 レンが不意に手を差し出して、あたしはその意味が分からずに目を瞬く。

「なに?」

「飯行くぞ」

 早く、とせかされて、レンの手を取る。男にしては華奢な、でもあたしよりも骨ばった手。
 それだけで、甘く苦い感情がわきあがった。

とりあえずいろんなことに手を出しまくってる鏡音廃です。巡音も買ったようです。

マイリス→http://www.nicovideo.jp/mylist/18736642

オリジナル曲の二次創作・派生作品等は、ボカロやPIAPROの規約の範囲内でご自由にどうぞー。

小説の更新が滞ってますが、プロットはちゃんと出来てますよ><

http://hozue.blog-fps.com/

http://sns.cv02.net/?m=pc&a=page_f_home&target_c_member_id=2229
http://v-nyappon.net/?m=pc&a=page_f_home&target_c_member_id=12234

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2010/2/17 追記
HNを秋穂(あきほ)から穂末(ほずえ)に変更しました!

2010/7/18 追記
ニコ公開三曲目となる「水鏡プリテンス」で、P名を頂いてしまいました(ありがとうございますっ)。

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一応、お仕事やコラボのことに関して書いておきますね。以下の文章は、状況によってコロコロ変わります。

現在、曲・絵の新規依頼は受け付けておりません。交流のある方(複数回のメッセージ交換が目安)からの依頼ならば検討しますのでご一報お願いします。
作詞ならば依頼を受け付けられますが、依頼理由はきちんとお書きください。

一つの作品を仕上げるまで根気強く手伝ってくださる(ここ重要)絵師さん、動画師さんは常に募集しています。
また、作品ごとにイラスト募集を(突発的・〆切あり)することがあります。

コラボはお互いに本気じゃないと自然消滅するだけですので、やるなら本気でやりましょう。一報したうえでの延期・降板は受け付けますので。

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