朝、急いで家を飛び出してきたリンは、大学の校門に集まっている人だかりに、自転車のまま突っ込んでいった。
「キャ――――ッ!!」
どうにか負傷者は(リン以外)でなかったものの、リンは校門に顔面から衝突、レンに直してもらったばかりの自転車は一部、ぐにゃりと嫌な形に曲がってしまった。
「おぉーぅ」
これを直してもらうのに、今度はちゃんとお金を払わなきゃいけないのかな、という思いから出た落胆の声だった。自転車から眼を上げて、校門を見ると、張り紙がある。
それに眼を通して、リンは自転車を放り出すと、校門を軽々と飛び越え、人影の無い校内を、人間を超越したスピードで突っ切っていった。校門の前には、ひしゃげた自転車が置き去りにされていた…。
「――それで」
話の先を促すメイコの目は冷たかった。
「いや、あの、だから、その、あのだから、えっと…」
「早く言いなさい」
「ごめんなさいでしたぁぁあああっ」
活動拠点の小さな空間に響いたリンの謝罪の声は、冷たい空気の中に消えていった。
張り紙を見たリンは、張り紙に書いてある言葉を撤回させるべく、校長室に乗り込み、堂々と宣言してきた。――今月末にある、『学生バンド発掘!』という、ネーミングセンスのかけらも無いテレビ番組のオーディションを受け、見事優勝して賞金を持って帰ってきてやる、と。
この番組は、まあまあ有名なもので、トーナメント方式で描くバンドが演奏を行い、よりよい演奏をしたバンドが勝ち抜き、優勝したバンドには賞金、1000万円、という夢のような番組――らしい。
さて、ここで問題は、張り紙の内容である。うすうす感づいている方もいるとは思うが、つまりは、『財政的に苦しくなったので、学校閉めます。』と、いうようなことだ。
「だって、入学してまだそんなに経ってないのに…、いきなり学校なくなるなんて…」
「そりゃあ、そうだけど!」
ぴしゃり、メイコが言った。
「そのオーディション、一体誰が出るのかしら?」
「え、私たち」
「一人ひとり上げてみなさい」
「私、レンきゅん、ミクぴょん、めーちゃん、ルカ姉、バカイト」
「リン、大学がなくなるのは確かに困るけどね、いきなりそういわれても困るんだよ。何の準備もしていないし、まだまだ不完全なところも多いだろう? 後、きゅん言うな」
しっかり突っ込みも忘れない。わけのわからないあだ名は、現在模索中で、不定期に変わる。
「私はやらないわよ。あくまでも私の仕事は教師、バンドマンじゃないわ。それに、今から練習して、優勝できるはずが無いでしょう? まあ、したくも無いけれど」
「め、めーちゃん…」
「いい、明日にでも校長先生に撤回してきなさい」
「でも…っ」
「いいわね、絶対よ」
リンの答えは聞かず、メイコはため息をひとつつくと、かばんを乱暴に持ち上げ、いらだった様子で、部屋を出て行ってしまった。
部屋に取り残されたリンは傍線とその場に座り込み、小さく消え入りそうな声で、
「なんで…?」
と、言うのが精一杯だった…。
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