浬音の体調が戻り、ゲームに復帰したのは倒れてから三日後の事だった。ロビーに降りて来た彼女はペコリと頭を下げて言った。

「皆さん御心配掛けました。」
「おかえりなさい。」
「お帰りー。」

しかし、顔色が少し白いと言うか、血色が悪いと言うか、いや、気のせいだろうか?考えるより計った方が確実だろうか?

「あ…あの…ハレルさん?」
「失礼します。」
「わっ…?!」
「高い高ーいか?」

僅かに前よりも軽い…?

「また痩せましたね?」
「えぇぇぇっ?!」
「あれ以上痩せたら死ぬぞ!!」
「あの…だるくてあんまり食べられなかったのもあって…その…ごめんなさい!」
「今直ぐ口に食べ物を詰め込んでも良いんですよ?量が食べられないなら太りそうな
 物を優先しても食べても良いし、最初は少量で栄養価の高い物を選んでですね…。」
「あ…あの…先ず降ろしてくれませんか?」
「……失礼。」

ストンと床に降ろすと、浬音はルイの後ろにそそくさと隠れてしまった。恐がらせてしまったのだろうか?いや、それとも私も彼女の中では痴漢的行為を働いたフノオとイコールになっている可能性もあるのか?そんなつもりは無いのだがみんなの前で痩せたの太れだのと無神経だっただろうか?

「これから抱き上げるのは2人だけの時にします。」
「えっ?!」
「おい、聞き様に寄っては物凄いぞ…?」
「何かおかしかったですか?」

皆の何とも言えない微妙な視線を浴びていると、例の甲高い声が響いた。

「カカカカカ!お久し振りです!イド様参上~~~~!皆さんお待たせしたな!
 メンテも終わって気分もすっきり!そんじゃ!課題行くぜぇ~!こいつだぁ~!」


『花を貰え』


「花?」
「え?摘むの?」
「違う!よく見ろ!『貰う』だ『も・ら・う』!実は今日、このパーク内に特別な
 ゲストを呼んでいる。カモーン!」

声に反して誰も現れなかった。

「オイコラ!『カモーン』で入って来るって言っただろうがっ!おいでおいでだよー。」

ドアがゆっくり開いたと思うと、リボンを付けた子供がピョコリと顔を出した。

「…う?」
「ねぇた?」
「ちらないひと…いっぱい…。」
「うー…にげろぉ~~~!」
「にげろぉ~~~!」

子供達はわーっと一斉に逃げてしまった。嫌な予感がする…。

「今のガキ共がゲストだ。あいつ等が1人1つずつ花を持ってるから、それ貰って来い。
 花は4つしか無いから4人貰えた時点で終了だ!」
「ええええっ?!こ…子供苦手~~~!」
「言っておくが!あいつ等スポンサーのガキ共だからな!怪我させたり泣かせたり
 すんなよ?そんじゃ、張ーり切って行こう―――!!」

的中した。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

DollsGame-50.ジャスミン-

子供の体力を甘く見てはいけません

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投稿日:2010/08/05 09:18:27

文字数:1,127文字

カテゴリ:小説

ブクマつながり

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