「やっ・・・・・・と終わった・・・」
「いや気抜くの早すぎだからね?」
「まだ下っ端にすら会ってないんだぞ・・・」

此処は城の近くの宿屋。
王に謁見したはいいが、カイトの緊張度がマックスまで行った為旅は明日から、ということに落ち着いた。
こいつ、本当に勇者なのか?いや、こいつが宣託を受けたのは本当のことだしなぁ・・・。
正直、世界を守れる気がしないのは私だけじゃないはずだ。


「そういえばリン」
「なんだテル」
「いや、お父さんよく許したなーと思って」
「・・・あぁ」

私の父は、王に仕える親衛隊の隊長をしていて、よく私にも剣術を教えてくれたのだが、あくまで護身用としてだけだった。
それが不満で幼馴染であるカイトとよく模擬戦のようなものをしていた。

「カイトに付いてくって言ったあとに父と試合をしたら互角だったものでな、許してくれた」
「さすが・・・だよね」
「正直手加減してるんじゃないかと思ったのだが」
「あの人は王様相手でも手加減しないでしょ」

それ普通に不敬罪だよな。
でもそれをやってのけるのが父だったりする。



ちなみにテル・・・キヨテル=ジーヴルは私のもう1人の幼馴染だ。
ジーヴル家は代々質の良い魔力を持っている魔法使いを多く輩出している有名な一族。
《エールキアの魔女》と呼ばれ今でも知られてる魔導師もこの家の人物だった。
そんな有名な魔法一家出身なはずなのに、キヨテルのジョブは・・・。

「お前こそ、道化師で通すのか?」
「当たり前なことを聞かないでくれるかい?」
「あ、いや悪かった」

この世界では珍しいとされる《道化師》だった。
道化師は魔法を使え、かつそれを魅せれるものでないとなれない。
しかし、スキルを取得するのに時間が掛かる上、攻撃にあまり適してないためあまり人数がいない。
まあキヨテルの場合、普通の魔法も使えるから大丈夫だろう。
意地でも使わないだろうが。




「ひゃあっ!!」
「おおおお、いい膨らみよのぅ・・・」

キヨテルと話している傍らで、なにやら騒がしい声が聞こえた。
まあいつものように、ゆかりがイアを怒らせたんだろう。

結月ゆかりは、ここよりずっと東の島国出身。
この国でのジョブは盗賊だが、本人は《ニンジャ》と言い張ってる。
ニンジャは、東方由来のジョブらしく、マキビシやシュリケンといった謎の武器を用いて敵を攻撃するらしい。
あとは諜報とか出来ると言っていた。
このパーティでも、ゆかりは主攻撃ではなく迎撃や諜報担当である。

「お望みならこれでさくっとやってもいい・・・」
「そんなこと望んでないからねイアちゃん!!!」

イア=マイグレックヒエンは長い杖を分厚い本を持っている賢者・・・と言いたいところだが違う。
袖から出したスティレットが証明しているように、イアも立派な攻撃部隊だ。
しかも陰から忍び寄り相手の命をあっさりと狩る、アサシンである。
武器としては先程のスティレットや、ダガーを投擲して相手を拘束するなど少し姑息だがまあそこはご愛嬌(イアの受け売り)


しかしまあ、忍び寄る点といい、武器を投擲する点といい・・・。
ゆかりとイアは、悉く技が似通っていることからお互いをライバル視している。
しかもゆかりがイタズラ好きというのも相まって。
まあイアにはアサシン兼賢者と、ジョブを兼任してもらっているのであまり大神殿からもお咎めはないが。


「全く、少しくらい仲良くしたらどうだ」
「だってー、イアちゃんが心開いてくれないんだもーん」
「私は絶対貴方には心を開きません」
「イアちゃんそれは流石に傷つくよ!?」



「そういえばミクちゃんはー?」
「居なくていい」
「そんなこと言わないのー!!」

ミク=ナルチーゾは大神殿出身の巫女で、このパーティの監視役。
ちなみに大神殿に仕える者の苗字は男性はナルツィッセ、女性はナルチーゾと定められている。
いつも手にしている聖書を使える数少ない人材で、回復やスキル上昇などパーティの縁の下の力持ちといったところか。
だが、ゆかりと同じにおいがする彼女のことが私は苦手だ。

「リンちゃーん!!」
「うるさい斬り捨てるぞ」
「うんまずはその剣をしまおうね、あと私一応神の使いだからね?」
「私はこんなフランクな神の使いを見たことがない」
「あぁーそれは分かる分かる」
「お前みたいな奴は特殊だろうな」




正直、こんなパーティで大丈夫か?
本当に、魔王討伐なんて出来んのか?
疑問の残るままだが、まあやれることをやるしかない。

世界には、勇者が必要なのだから。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【勇者魔王】第三章 前途多難な勇者パーティ

BGMはヤンデレオンパレードなすぅです。
いつか自己解釈やってみたい。


ということで今回はファンタジー三章です。
そして主役であるはずのりおんが行方不明。
さらに勇者であるはずのカイトが一言のみ。

あ、勇者パーティの皆さんの苗字は自然なもののフランス語とかだったりします(唐突
花言葉とかって面白いですよねぇ。
カイトとリンさんは迷い中だったりします。
あとゆかりんは日本人設定という←
だってニンジャだもん!!手裏剣ばばばっだもん!!!((

それでは。。。

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投稿日:2014/09/04 20:59:42

文字数:1,906文字

カテゴリ:小説

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