突然現れた三月ウサギは泣いていた浬音をぎゅうっと抱き締めた。
「ふぐ…!ん~~~~っ!!んんんん~~~~っ!…ぷはっ…!」
「お、泣き止んだ。」
「…っの変態!!」
「痛っ…!」
手を解いた三月ウサギの脛にローキック…また地味に痛そうな。
「鳴…『三月ウサギ』さん、何してるんですか?こんな所で…。」
「食器の片付けついでに見えちゃったんで役得。」
「いきなり何するんですか?!」
「ん~…泣いてたし、誰もやんなかったから。」
「そんな痴漢行為頼んでませんっ!」
「帽子屋さんなら良いの?」
「なぁっ…!!!」
浬音が一瞬で耳まで真っ赤になった。頭から湯気が出ていそうな位だ。成程、これは確かに面白い!いじりたくなる!
「帽子屋なら良いのか。」
「帽子屋さんが良いのね。」
「そうか浬音は帽子屋が好きか!」
「なっ…みっ…皆して…そ…そ…そんなっ…事…はっ…!」
「わぁ?!倒れるな!!」
知恵熱でも出したのか、真っ赤なままよろめいた浬音を抱き止めた。…ん?何かマジで熱くないか?額に手を当てると明らかに熱かった。
「…って、本気で熱あるじゃねぇかよ!!」
「えぇっ?!…本当だ!熱い!」
「えっ…?え…?」
「早く休んで休んで!」
「あ…あの!自分で行きますから!う…感染るといけないので…!」
手を振り払うとフラ付いた足取りで浬音は厨房を出て行ってしまった。しかしあのままでは途中で倒れるのが関の山だろうと言う事で、直ぐに皆で後を追った。
「無理するな、手を貸す。何なら姫抱っこでも良いから。」
「遠慮しないでって言ったばっかりでしょ?」
「帽子屋さん呼ぼうか?」
熱のせいで少し混乱しているのか、赤い顔のままふるふると首を振る。こんな時まで遠慮しなくても良いと思うんだが…どうにも強情な。
「我が侭言うな。帽子屋さんは今仕事だから俺で勘弁して、ほらちゃんと掴まって。」
「うぅ…。」
「今日は抱かれっ放しだな、お前。」
浬音はそのまま唸りながらも大人しくウサギに抱かれて運ばれて行った。
「う~ん、難儀な子ねぇ。」
「てか病弱な女ってぶっちゃけ面倒臭…。」
「酷っ…!」
健康な女が好きです!
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