アイ・ストーリー
第一話番外編「マスターの為に」

 僕はKAITO。VOCALOIDです。
 僕のマスターは『美冬』という名前で、とっても優しい人で
時々反応が面白くて、つい意地悪したくなっちゃうような人です。
 でも、そんなマスターにもこんな一面があります。
マスターのご両親は有名な音楽家で、マスターが子供の時から
家に家族が揃う事はほとんど無かったそうです。
 それは、マスターにとってあまりいい思い出ではなく
高校生になった現在(いま)でも、その状態は続いている……。

 だけど、そんな生活の中でもマスターが僕の歌を考えてる時が
『一番楽しい』と言ってくれる。
 それはVOCALOIDとしてだけでなく、純粋に『僕』にとっても
マスターの笑顔が、最高の『喜び』。

 マスターが笑ってくれるなら、僕は……。

「……あれ~?KAITOお兄ちゃんだ!」
「やぁ、リンにミクじゃないか。何してるんだい?」
 ここはマスターの家の近所にある大きな公園。マスターが
学校に行っている間は、僕はよくこの公園に散歩に来ていた。
「私はお散歩!ミクお姉ちゃんとは、さっきそこで会ったんだよ!」
「私も散歩中だったの。そしたら今度はKAITO兄さんが居たから
びっくりしちゃった!」
「あはは……。僕達ってやっぱり兄妹だね、考えてる事が一緒だよ!」
「えっ?じゃあ、KAITO兄さんも散歩?あは、本当!一緒ねっ!」
「一緒一緒~!!」
 
 僕達は思わずお互いの顔を見て笑ってしまった。
 『家族』が傍に居るだけで、こんなにも温かな気持ちになれる。

 きっと……これが『幸せ』ってものなんだろう。

「……あ。ねぇねぇ、KAITOお兄ちゃん。今度って
美冬ちゃんの誕生日だよね。何をプレゼントするの?」
「えっ?う~ん、実はまだ決めてないんだよ……。」
「そういえば、去年は何をあげたの?」
「去年は確か……ノートをあげたよ。」
「……は?」
 リンとミクが目をぱちぱちさせている。あれ?僕、何か変な事言った?
「ノートって、まさか……文房具の?」
「うん?当たり前じゃないか。何言ってるの、ミク?」
 リンとミクの様子がおかしい。あれ?あれ?
二人共、俯いちゃったよ?何か肩も震えてる……。
「ふ、二人共?どうしたの……。」
「KAITOお兄ちゃんの……アホ!マヌケ!アイスバカ!」
「えっ!?えぇっ!?」
 リンが突然怒鳴った。しかもアイスバカって、いったい……?
い、いや……今はそんな事より……。
「ミ、ミク。リンは何を怒ってるの?僕、何かした?」
 ミクに助けを求めたが、ミクの顔も怒ってるのがすぐ分かった。
「KAITO兄さん……。リンは……いえ、私達は
プレゼントの事を怒ってるのよ。
兄さん、一年に一度しかない美冬ちゃんの誕生日に
ごく普通のノートをプレゼントするなんて……信じられない!」
「え、ごく普通じゃないよ?ちゃんとマスターの好きな青色の……。」
『そーいう問題じゃないっ!!!』
 リンとミクが一気に詰め寄ってきた。何か怖い……。
「で……でもでも、マスターはすごく喜んでたよ?」
「……はぁ~~~。駄目ねぇ、お兄ちゃん。
乙女心がちっとも理解出来てないなぁ!」
 リンは僕の鼻先に人差し指を立てる。その隣で
ミクがうんうんと頷いている。
「お……おとめごころ……?」
「美冬ちゃんはお兄ちゃんに気を遣ったんだよ。嫌な顔したら
お兄ちゃんが悲しむと思って!……ここまで言わなきゃ
分かんないの!もう!」
「……!!」

 リンの言葉に衝撃が走った。知らなかった……。
 僕はいつの間にかマスターに負担をかけていたようだ。

 おとめごころ……何て奥の深い存在なんだ……!!

「リン、ミク……僕はどうしたらいい?何をプレゼントすれば
マスターに喜んでもらえるの?」
 ミクの瞳がキラリと光った。
「……一つ、良い案があるわ。それは……。」
「それは……?」
「ズバリ!手作りプレゼント作戦よ!」
「おぉ!ミクお姉ちゃん、ナイス!!」
「て、手作り……?」
「そう、自分の力で何か作るの。手作り程、最高のプレゼントはないわ!」
「な、なるほど……!」
 リンもミクも何だかテンションが高い。相槌を打つのがやっとだ。
「……と、なると。今度は何を作るのかが課題ね。」
「KAITO兄さん。兄さんは何が作りたい?」
「えっ?えっと……う~ん……う~ん…………あっ。」
「何か思いついたの!?」
「あ……いや、やっぱり、いいよ……。」
「いいから!言ってみて!!」
 うぅ……。リンとミクの目が怖いよぉ~……。
「……マフラー。」
「マフラー?」
「うん、最近寒くなってきてるし、作るなら実用性のあるものが
いいかなって……。」
「……いいね!お兄ちゃん、ナイス!
それで行こうよ!」
「あ……でも、僕、編み物やった事ないし……。」
「それなら、私に任せて!私が教えてあげる!」
「えっ?ミク、編み物出来るの?」
「マスターのお母様に教えてもらったの!
筋がいいって褒められたんだから!」
「へぇ~、じゃあ……お願いしようかな。」
「うん!私の教え方は厳しいよ~?覚悟してね、兄さん!」
「頑張れー!お兄ちゃん!」
「う、うん。頑張るよ!マスターの為に!!」

 こうして僕は、ミクの指導のもと、マスターに喜んでもらう為
手作りマフラーを作る事となった……。

……続く。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

アイ・ストーリー 第一話番外編

何か番外編が始まりました。しかも案の定、続きもの。番外編なのに。
本編では不明だったKAITO・ミク・リンの絡み、KAITOと千夏の会話
KAITO・ミクと秋彦の通話などの部分をKAITO視点で!やります!
第二話もKAITO視点の予定なので、練習の意味も込めて……かな?
文才無いんで、毎回長文は大変だ……。
この番外編も果たして前編後編で終われるのか……(謎)。

追記:第一話本編・番外編→完成。
   第二話本編・番外編→完成。
   Lied→一応、完成。

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投稿日:2009/04/01 04:26:02

文字数:2,245文字

カテゴリ:小説

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