雨の中走った次は廊下走って、弾丸かよ?全く…。

「浬音!」
「…っ!放して!」
「走るな!落ち着けって!」
「鳴兎のせいだ!全部鳴兎のせいなんだから!変な事言うし、変な話するし、
 よく解んない事いっぱいするから!熱でも出たらどうしてくれんの?!」

真っ赤になって涙目で文句を言い連ねて居たが、ヤバイ、激ツボ!心でも読んでんのかこいつは!!いや、違う、何考えてるんだ、しっかりしろ俺!

「ご…ごめん…。」
「謝るんなら時間戻せ!キス返せ!よく判んなくてびっくりして密さん拒んじゃった
 じゃない!嫌われたらどうするのよっ?!」

それ俺のせいか?まぁ元を糾せば俺か?聞いてない事を次から次へと…そして追っ駆けて来たの俺だけじゃないんだけど気付いてない?そこの影から皆見てるし聞こえてちゃってるぞー?

「嫌われたりはしないだろ。」
「鳴兎には判んないよ!私がどれだけ嬉しかったかも…どれだけ救われたかも!離れる
 のがすっごく寂しいとか…一緒に居て落ち着くとか…私がずっとずっと諦めてた物
 全部くれたんだから!」
「好きなら好きで良いじゃないか。」
「だ…だってどうしたら良いか…初めてで解んないもん!!」

その年で初恋ってどんだけレアだよ?!畜生可愛いなコノヤロウ!と言うかその顔止め!理性が持たんわ!わざとか?!わざとやってんのか?!皆見てるし聞いてるっつの!

「密さんに言えば良いだろ。あの人が好きでもない人間助ける様な御人好しじゃない
 のは、もう判ってるだろ?」
「でも…さっき避けちゃったもん…。」
「何で避けたんだよ?」
「思い出しちゃって…。」

何を?と聞くまでも無かった。トマトみたいな真っ赤な顔でこっち見たから。そんな顔されるとこっちも色々思い出して感染った様に顔が熱くなった。誰か止めて下さい、後ちょっと何かきっかけがあれば多分俺はケダモノに落ちます。いっそぶん殴って下さい。

「嫌なキスなら犬か何かにされたとか、事故だとか思って忘れてカウントしなきゃ
 良いだろ。」
「…そんな事言われたって…。」
「もう無し無し、悪かったって、リセットしちゃって。」
「鳴兎が…!鳴兎があの時泣きそうな顔なんかするから…っ!」

一瞬、古い記憶が甦った。真っ白い天井と、涙でボロボロになって心配そうに俺を覗き込んでいた家族の顔。もう二度と、他人の物を欲しがったりしないと決めたあの時の…。

「…っ!…やっ!鳴…!」

柱の影の物音も声も、ついでに携帯で撮ってるシャッター音まで全部聞こえてたけど、多分頭の中のネジ数本は飛んでた。抱き締めて、何度も何度も唇奪った、拒む隙すら与えずに。

「何回目だっけ…?もう良いや、数えんの飽きた。」
「ん…鳴兎…も…ダメ…!」

落ちたのは俺かよ…。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

DollsGame-71.クフェア-

馬鹿一名追加

閲覧数:253

投稿日:2010/08/18 14:37:44

文字数:1,157文字

カテゴリ:小説

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