朝日が差し込む早朝、ある家の中から、慌ただしく動き回る音が響いた。
「わあぁっ!ちょっと待って!」
鍋が吹き零れそうになるのを見て、リンは慌てて火を止めた。
「ふぅ…」と一息ついて、リンは全ての料理の出来上がりを確認する。
「うん、今回もばっちりね」
今でも要領よく出来るわけではないが、以前より上達した腕前に満足感を覚えた。
朝食の支度を終えたリンは、今も寝室で寝ている人物を起こすために階段を登る。
登った先の奥の部屋―――、そこがリン達の寝室だ。
そのドアを開けれて部屋を覗けば、二人用のベッド上に愛しい彼は寝ていた。
リンは静かに歩み寄って、彼の肩に手をかける。
「レン、そろそろ起きないと―…っわぁ!?」
突然リンはかけた手を引かれ、気が付けば寝ていた筈のレンに向かい合う形で抱き締められていた。
「…いつから起きてたの?」
髪に鼻をすり寄せられるくすぐったさを感じながら、リンはレンの胸の中で質問した。
「ん~…リンが来る少し前かな?」
そう言いながら、レンはあちこちに鼻をすり寄せてくる。
(まるで犬みたい…)
そう考えながらもその行為から生じるこそばゆい感覚に、リンは幸せを感じてつい頬を緩ませた。
「…ってじゃなくて、もう朝ごはん出来てるから起きてよ!」
危うく本来の目的を忘れかけていたリンは、慌てて緩んだ顔を引き締めレンに訴えた。
「じゃあ、後五分だけ」
レンは抱き締める腕の力を少し強くして、言葉と行動でその意志を示した。
しかしその願いも、リンは手のひらで軽くレンの顔を叩いて却下した。
「だ~めっ!そう言って、昨日は15分もこうしてたじゃない」
睨んで自分を見るリンとレンはしばらく視線を交わし、やがて根負けしたレンが渋々腕からリンを解放した。
「それじゃあ、冷めちゃう前に降りて来てよね」
そう言って乱れた服装を整えながら部屋を出ていくリンに、ベッドに座るレンは手を挙げてそれに答えた。
*
「ごちそうさまでした」
「お粗末様でした♪」
両の手を合わせてレンが食事の終わりを告げ、リンはそれに笑顔で応えた。
「じゃあ、食器片しちゃうね」
「あ、僕も手伝うよ」
それから二人は一緒にテーブルの食器を片したりしながら、いつものように他愛のない話をした。
「何時に帰れるの?」と聞かれたら
「定時には帰れるよ」と答え
「今日の夕飯は何?」と返されれば
「カレーだよ」と返事をする
二人にとってそれはいつもしている、当たり前で、幸せな時間。
そしていつもの通り、幸せな時間は過ぎていく―――
レンは玄関で靴を履き、振り返ってリンから鞄を受け取る。
「………」
鞄を手渡したリンの表情は寂しげで、頭のリボンはやや垂れ下がってるように見えた。
そんな彼女を見てレンは微笑みながら、優しくリンを抱き締めた。
「いってきます」
そう言って、リンの額に優しく口付けをする。
リンは頬を紅く染め照れ臭そうに笑い、レンの頬に口付けを返した。
「いってらっしゃい」
互いの紅く染まった顔を見ながら、二人は幸せそうに笑いあった。
(いつもの日常の、いつもの幸せ)
【新婚みね】いつもの幸せ【音坂さん】
音坂さん(http://piapro.jp/otosaka)の影響を受けて、新婚鏡音です^^*
甘い作品を目指して書きましたが…甘い、のか?(汗)
単にウザいだけじゃないのか?;;
…書いてて楽しかったからからいいや♪(・∀・)←
なんだかんだで、続きも書いてみたいと思ってたり(・ω・)
まあ、気分次第ですwww
本家の音坂さんの作品は、こちらのサイト(http://nanos.jp/keyring/)にございますので、どうぞお立ち寄りください♪
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