亞北と俺は人目の少ない校舎裏へ移動してから改めてケータイの画面を視た。ひったくるようにケータイを奪った俺に少し面食らっている亞北、それに気づいて一言謝ってから、もう一度詳しく話してくれと頼んだ。亞北は何について謝られたのかわからなかったようで、キョトンとしてからゆっくりと話し始める。
「最近できたSNSの学生コミュでね、そこの専用掲示板・・・過疎ってるんだけど、何か見た事ある名前だなって思って・・・」
「悪い、俺ネットとかよくわかんないんだけど、つまりこれはネットの掲示板にかかれてるんだよな」
「うん」
“パンツハンター鏡音”。そのケータイに映し出された掲示板には、そう名乗る何者かの書き込みがあった。つい最近現れたそいつは、名前こそ出さないが初音先輩と思われる人物への恨み言を書いて、品のない嫌がらせを自慢げに語っていた。
「亞北」
「ん?」
「俺じゃない、これは俺じゃないんだ」
「わかってるよ」
校舎の影に隠れて灰色の壁に寄りかかる亞北は、セーラー服の胸元をぱたぱたと動かしながら、中に溜まった熱を逃がしていた。俺は汗を拭い、もう一度確認する。
「信じてくれるのか?」
「うん」
そう返事をしながら、伏せ目がちにようやく俺と視線を合わせる。
気の強そうな顔、取っ付きにくい雰囲気、いつも孤立していた彼女は、話してみると驚く程普通の女の子で、俺は少し照れていた。
「私ね、知ってるんだよ。下駄箱で、私の靴隠されそうになってた時、止めてくれたでしょ・・・。だから、鏡音くんこんなのとしないって知ってるの」
俺は一気に顔が赤くなった。なんだかこれ見よがしに格好つけたカタチになってしまったようだ。でも、そのおかげで、亞北は俺にこの掲示板のことを教えてくれた。
「しっかし凄いな、よくこんなの見つけたよ亞北」
「検索してたら結構簡単にヒットしたよ」
「なんだよ、ひょっとしてクラス全員の名前検索したりしてるの?」
「そういうわけじゃないけど」
ドキッとする。もしかして亞北は、俺の名前だけ検索したのだろうか。あの下駄箱の一件で、俺がブログか何かをつけてやしないか調べたのかもしれない。俺がどういう人間なのか興味を持って・・・。
「私、許せない」
「え?」
「鏡音くんの名前語って悪質さを自慢してるこいつが!」
「あ、ああ、そうだ、そうだよ!」
「一緒に犯人を捕まえようよ!」
亞北は俺に向き直って拳を前に突き出してきた。
その夜、親のパソコンを借りて亞北から教わった掲示板を確認した。事件後のここ数日書き込みは四回ほど行われている。一回目は初音先輩に振られた怒りを、二回目はクラスの連中を嫌っていること、三回目はメイコ先生をエロ教師と罵り、最後の書き込みで再び下着を盗むという犯行予告を書き込んでいた。もしやるなら初音先輩が再びプールの時間になり、俺達のクラスが自由時間になる明日。俺にまとわりついていた倦怠感はもうない。明日、いよいよ真犯人を捕まえられる、そう考えると武者震いした。
ただ、正直亞北は巻き込みたくなかった。もし犯人が複数のグループだったら亞北の身が危ない。でも亞北はきかなかった。
「鏡音くんケータイ持ってる? 持ってないんでしょ。その場で犯人を捕まえてもシラをきられたらおしまいだよ。だからケータイで証拠写真を撮るの。下着を盗む決定的瞬間。だから犯人が現れるまで待ち伏せするわけ。でも場所は女子更衣室じゃん。鏡音くんじゃ待ち伏せできないでしょ、それとも女装する?」
意地悪っぽく笑った亞北。本当は、そんな役回り恐ろしくてたまらないはずなのに、亞北は俺に心配かけまいと強がっていた。もし雲行きが怪しくなったら、俺が飛び込んで亞北を護る。その夜は興奮で眠れないかと思ったが、驚く程すんなりと眠りについた。
つづく
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