「すぅー、髪といてー」
「リリちゃん待ってて〜」

 今日は久しぶりに暇ができたので、ちびリリちゃんとお出かけです。どうしようかなあ、本屋もいいけどカフェ開拓にも行きたいし、あ、でもリリちゃん出してもいいような場所にしないとな……。そんなことを考えながら今日着る服を考える。
 因みにリリちゃんの服は頑張って作ったワンピース。あの子のデフォルト衣装って、個人的にボカロ衣装の中で一番際どいと思う。そんな服を着せて、外に出るわけにもいかないからね。

「リリちゃん、あなたメイクする?」
「めいく?」
「うん、私が出かける時にやってるでしょ?粉付けたり、リップ塗ったりするやつ」
「あ、顔キラキラするやつ!やりたい!」

 結構乗り気の返事が返ってきたので、私はメイク道具一式が入ってるポーチと置き鏡を机に広げた。リリちゃんに似合う色の化粧品あるかなあ、考えるだけでワクワクする。
 リリちゃんの年齢はよく知らないけど、メイクに興味はあるんだろうなーというのは何となく知ってた。いつも鏡越しに覗いてるの丸見えだし。それにちっちゃいとはいえ、姿は(私の中で)世界1美しいと謳われるVOCALOIDのLilyだ。化粧したらめちゃくちゃ美少女に決まってる!宇宙1間違いなし。異論は認めます。


☆★☆


 まずは化粧下地、次にファンデーション。これらは肌をきめ細かく見せる為なんだけど、正直要らねえ…って思った。スベスベなんだもん。一応、毎日のスキンケアとして化粧水&乳液はしてるけどさ?この、なんなんだ私との違い……ずるいぞリリちゃん。
 その次はチーク。ここからはいろんな色があるので選んでもらうことにした。

「リリちゃん、頬に塗るのどの色がいい?」
「…ねえすぅ」
「何?」
「これ、四つあるでしょ?オレンジふたつとピンクふたつ」
「?う、うん、そうだね?」
「このふたつずつ、何が違うか分かんない」

 ………だよね〜〜〜〜!!!!私もなんでこんな似た色持ってるのか分かんないもん!!たまに混ざるよ!!!!…とりあえずオレンジとピンクどっちがいいかだけ選んでもらおう。それから、色選択は最後のリップだけにしてもらおう。


★☆★

 アイシャドウ乗せたり、ライン引いたり(リリちゃんは二重のりを付ける必要は無かった。楽ではあったけどずるいぞ)、マスカラつけたり。目元は自分でやってても疲れるけど、人の、それも米粒サイズのおめめにやるのは体力使う……。因みに、リリちゃんには普通のブラシじゃ大きすぎるので、ネイルで使おうかなと思って買っていたアイシャドウ用チップでやった。ありがとう百均。通おう。
 そしてリップ、リリちゃんは真っ赤を選んだ。うんうん、ビビットな色似合うな〜やっぱり。そして髪をとかして、宇宙1美少女の出来上がり。うーんこれは、異論を認められないですね。我ながら上出来だ。何より、リリちゃんがご満悦で私も嬉しい。

「すぅもメイクしたでしょ?早く行こ!」
「ごめんまだ待ってて、髪の毛ボサボサだからコテで巻かなきゃ」
「コテ?私もやりた――」
「コテはダメ!!!」

 リリちゃんにそこで大人しくしててね、と言ってコテを手に取った。家にいるLilyさんもそうだけど、あの綺麗な髪にダメージを与えるわけには行かないし、火傷させちゃったら元も子もないからね。
 人に見られるくらいにはまとまった髪にケ〇プをして振り返ると、リリちゃんの目がパンダになっていた、っておい。

「目ぇかゆーい」
「我慢して!うーん待っててね、もっかいメイクしよっか?」
「早くお出かけしたいんだけど…」
「あなたその顔で外出るつもり?」

 鏡の中の自分を見たリリちゃんは、なにこれ…って顔をしている。そうよ、それがメイクをした女子の宿命なのよ、目なんて擦ったらパンダになっちゃうの、覚えておきなさい。目元周辺だけメイクを落として、もう一度やり直し。可愛くなるのにも精神力使うんだぞこのやろー。


☆★☆


「よし出来た…さ、リリちゃん出掛けよっか!」
「えーもう疲れたー」
「…よしかごの中入って!レッツゴー!」

 まだ少し駄々をこねるリリちゃんを半ば無理やりかごバックの中に入れて、部屋を出る。いつの間にかオートロック?かなんかになってるの、すげぇのな。
 共同リビングを覗くと、しるるさんとターンドッグさんが談笑してた。あ、しるるさんパピコ食べてる。

「あ、すぅさんだー。アイス冷凍庫の中にあるよ?」
「本当ですか!?じゃあ…」

 冷凍庫に向かおうとしたらバッグの中からリリちゃんが睨んできた。ごめんって。

「アイス、後でいただきますね。今からちょっとお出かけするので…」
「え、今から?」
「もう4時半だよ?」

 そう2人に言われて初めて気づいた。あああ思ったよりメイクに時間かかったみたい……。夕飯食べてきます、とあたかもそのつもりでした風を装ってリビングの戸を開けた。てへ。


★☆★


 思ったより帰りが遅くなってしまった…。リリちゃんとメイク見て回るのは楽しいけど、待ってそんなにオカネモッテナイ。

「リリちゃん、買い物楽しかったね…ってあれ」

 かごの中から出すと、リリちゃんはこくこくと船を漕いでいた。今日はでかける前から大変だったもんね…。リリちゃんをベッドに運んで、布団を被せてちゃんと寝かせ……ようとする前に私が寝てしまった。

 床の痛さで起きて、異常な目の乾きと微妙に取れてるメイクを見てびっくりしたのは数時間後のお話。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

リリちゃんとおしゃれ【かなりあ荘】

お久しぶりです、すぅです。
部活も引退、受験生…なのですが、実は専門に進学が決まりまして。この夏休みは課題をこなして体験入学行って、という感じです。

ということでメイクのお話でした。1回しちゃうとあれですね、しないと気が済まないというか。でもリリちゃんしなくても良さそう。肌荒れそう……。

またこれから再開していきたいですね〜。
それでは。

閲覧数:575

投稿日:2017/08/06 18:07:59

文字数:2,284文字

カテゴリ:小説

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  • Turndog~ターンドッグ~

    Turndog~ターンドッグ~

    ご意見・ご感想

    私がけものフレンズに一喜一憂している間にこんないい物が!!

    大学入って始めて気づいたんだけど、女性って化けるよねえ、化粧で……
    高校が派手な化粧厳禁のところだったんだけど、同じ高校から大学に行った同級生の女子が進学後に初めてあった時『誰だお前!』になってて仰天したよ……

    ちびリリちゃんをメイクアップって何というかこう、着せ替え人形的可愛さがね?
    と言おうとしたら弩直球で着せ替え人形な事に気がついた。自分で考えたアイテムでありキャラクターなのにね!
    あとかの有名なリカちゃん人形を『リリちゃん人形』と覚え間違えたことがあるのは私だけでいい。

    ああ、俺も新しいの書かないと……でも最近とうとう厨二ハートが枯渇したので四獣が書けない……
    ラブコメにでも挑んでみるか(無謀

    2017/10/11 22:49:09

  • ゆるりー

    ゆるりー

    その他

    遅れましたごめんなさい!!!(土下座)

    ちびボカロの中では、ちびリリちゃんが一番大人っぽい喋り方のような気がします。
    米粒サイズのおめめにメイク…指先がちょっと震えたらもう大惨事が予想できますね(´・ω・`)
    パンダになってしまっても、ちびリリちゃんはかわいいと思います。
    なんだかしるるさんはいつもアイスかお菓子を食べている気がしますね!
    ああ…メイクをしたまま寝てしまう…しんどさの極みですね…。

    【小さなドレッサー(10)】
    ・リ◯ちゃん人形とかで使うサイズのドレッサー
    ・コスメ道具を置くにはきびしいかもしれないけど、ドレッサーはちびリリちゃん専用に作られている

    2017/08/24 22:24:14

    • すぅ

      すぅ

      大丈夫ですよ…!

      他の子たちがどう喋るかは分からなかったので、とりあえずうちのLilyさんを幼くした感じ…とイメージしてました。
      大惨事ですね!そしてその努力を打ち消す威力をパンダ目は持っているのです、恐ろしや。
      しるるさんって甘いもの似合いますよね、多分!
      しんどいですよね…下手したらどこかに付いてるやつですもんね…。

      わーいありがとうございます!ドレッサーは汎用性高いですからね!!リリちゃんも喜びます!

      2017/09/02 22:44:51

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