【二次創作】翻案・鎖の少女【掌編小説】

投稿日:2011/06/21 15:24:24 | 文字数:1,314文字 | 閲覧数:235 | カテゴリ:小説 | 全2バージョン

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この作品は、のぼる↑p様の楽曲『鎖の少女』(http://piapro.jp/t/H_dM)を元にした二次創作です。

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※この作品は、のぼる↑p様の楽曲『鎖の少女』(http://piapro.jp/t/H_dM)を元にした二次創作です。


『翻案・鎖の少女』 日枝学


 私に自由は無い。
 他の、本当は自由があるのに自由が無いと思い込んでいる人たちとは違う。言葉通りの意味で、私に自由は無い。生まれながらにして、私は自由を奪われていたのだ。
 誰にかって?
 それを口に出す自由すら私には無いのだ。
 言論の自由、職業選択の自由、宗教の自由、思想の自由、本来誰もが持っているはずの自由を、私は持っていない。精神的な意味でも、物理的な意味でも、私は自由を持っていない。
 人間の性質に、学習性無力感というものがあるらしい。どういうものかというと、長期に渡っての回避不可能なストレスを受け続けた人が「どんなに努力してもこの状況を回避することは出来無い」と学習し、無気力になることだそうだ。
 現在の私はまさにその状態である。自分の無力を学び、私は無気力になった。
 これは人間が元々持つ、防衛能力のうちの一つなのだと思う。精神的にどうかしてしまいそうになるのを回避する、心の働きだ。諦めることで、私は私の心を守っている。
 けれど、それでも時々心が痛むことがある。私と同じぐらいの年頃の人が、外で楽しそうにしているのを見ると、輝かしい顔で将来の夢や希望を語っているのを見ると、私の心は例えようもなく動揺する。とうの昔に諦めたはずの欲求が、諦めきれずに心の表面へ表出しそうになる。表出しそうになるそれを、私は必死に抑えつける。私の全てを動員して、それを抑圧する。
 考えてはいけない。考えたら欲求に飲み込まれる。まともならば誰でも叶える事のできる欲求に飲み込まれる。考えてはいけない。こんな、何もかもが決められた毎日とは全く違う、普通の毎日があることを、考えてはいけない。知ってはいけない。見て見ぬ振りをして、何も知らないまま生きていかなければならない。
 人柱としての役割を期待されて生まれた私は、その代わりに、多くの人から温かな言葉や好意の言葉を貰った。
 しかし私は知っている。彼らのその言葉は、全て、責任逃れのために存在している。自分が、人柱を犠牲にしてのうのうと毎日を過ごしていることに対する、責任逃れだ。私の人生を犠牲にしたことから目を背けるための、もしくはそうしたことによる罪悪感を減らすための責任逃れだ。
 私がもし、彼らと同じ立場になれば、きっと私も同じ行動を取るだろう。だから私は彼らを責めはしない。責めはしないけれど、それでも、どうやら私は人柱として向いていないらしく、たまに恨み言を言いたくなる。たまに、無いはずの自由を無理やり強引に掴み取って、全てのことから逃げ出したくなることがある。いやこの際もっと自分の心に素直になろう。たまになんてものではない。常に、だ。


 十八歳の誕生日を迎えた今日、私は決意した。
 私は何としても、この状況から抜け出す。他の全てのことを投げ出してでも、そのせいで私以外の誰かが不幸になってでも、この状況から抜け出してやる。

 これから私は、他の誰でもない、私のためだけに、生きるのだ。

なにかの素材になればいいな、っていうテキストと、好きな作品をモチーフにした掌編小説を投稿できればいいなって思ってます(2013.12.25)

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