#81「使命」



「ルカさん!これって!」

「ええ……ここにリンがいないとなると、本当なのでしょうね。」


ルカさんが悲しい顔をした


「これがあいつの……女王の悪戯だと思いたかったのに……リンがいないんじゃ、これじゃ……ほんとに……くそっ!こうなったら!」


ルカさんが踵をかえして、森に向かって歩き出す


「待ってください!ルカさん!僕も連れて行ってください!」


僕はルカさんの背中にむかって、そういった


「は?……でも、あんたは危険な目に遭わなくてもいいのよ?」

「わかってます。けれど、ルカさん一人で行かせるわけにはいきません!」


僕だって、メイコさんやリンちゃんを助けたい


「ふざけないで!人間が来たところで、何もできやしないわ!」

「そうかもしれません……それでも、僕は、メイコさんやリンちゃん、それにルカさんを見捨てることはできません!」


僕に迷いはなかった


「言ったじゃないですか……僕らはすでに【家族】だって!家族は助け合わないと!」


僕の言葉は、今のルカさんになら届いていると感じた






ルカさんは、黙って僕の方に戻ってくる


「……あんなのでもね、私の姉なのよ。いつも、自分を犠牲にして、本当にムカつくけど、私の唯一の姉なのよ……リンも私にとって、恩人なのよ、家族なのよ」


ルカさんは顔をあげずに、小さな震える声でそういった




「……あなたの力を私にかし……なさい」


あの強気のルカさんが、初めて僕に助けを求めた


「もちろんです!行きましょう!」


僕は強く頷き、歩きだす



「カイト兄!」


僕の後ろにずっといたミクが、僕を心配そうに見る

今までの話を、全部聞いていたはずだ


「大丈夫、絶対に帰ってくるから」


僕がミクの頭をなでる


「あ、あの!私も……ついて行っちゃだめ……かな?」


ミクが僕とルカさんを交互に見る


「駄目よ!これは私たちの問題。あなたには関係ないわ」


ルカさんは、ミクのことを信頼していない……

それはわかる


「で、でも!マイちゃ……リンちゃんがピンチなんでしょ?だって、そのカチューシャをあげたのは私だもの!それに……私、リンちゃんにひどいことを……」


ミクの気持ちもわからなくはない


「そんなの私には関係ないわ。あなたはここにいなさい」


ルカさんがはっきりという

ミクが僕に「助けて」と目線を送る


「……ミク。今回はルカさんの言うとおりにするんだ。」

「え?!」


ミクは驚き、悲しそうな顔をした


「いいかい、ミク。僕はリンちゃんを必ず連れて帰ってくる。それが僕のやらないといけない事だから……」


もちろん、メイコさんも助ける。

ルカさんやメイコさん、そしてリンちゃんとの約束を守るため……


「ミクは、ミクのやらないといけないことがあるだろう?ミクは孤児院のみんなを頼む」


僕がそういうと、ミクが下をむいて少し考えたあと


「……必ず、マイちゃんと一緒に帰ってきてね!約束だからね!」


と言った


「わかってる……行ってきます」

「うん、行ってらっしゃい」



ミクがいつもと同じ笑顔で送り出してくれた

これでミクとも約束が出来た

必ず、リンちゃんと一緒にここに帰ってくるんだ

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

妖精の毒#81

これ……俗に言う、「死亡フラグ」じゃないだろうか……

それにしても……
こんなにも投稿が滞っているのに、あんなにいろんな方が見てくれているなんて(・へ・。)
あらためて、みなさんの大切さとありがたさを感じました
ありがとうございます

閲覧数:335

投稿日:2012/11/15 01:11:17

文字数:1,398文字

カテゴリ:小説

  • コメント2

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  • Turndog~ターンドッグ~

    Turndog~ターンドッグ~

    ご意見・ご感想

    作者が死亡フラグを疑ったらホントに物語がその方向に勝手に進んじゃうから!
    (だからうちのとこのヴォカロ町では一度グミちゃんが死んだ…なんて言えない←)

    カイトも。ミクも。ルカさんも。
    強い想いのもとに。
    そして大切な誰かのために。

    2012/11/16 00:01:16

    • しるる

      しるる

      私は死亡フラグは、あらかじめ立てておくことで回避できるのでは!
      と、勝手に今、思いましたww

      サブタイトルは「強い想いのもとに」ですねw

      2012/11/20 19:06:59

  • イズミ草

    イズミ草

    ご意見・ご感想

    ルカさん、随分素直になりましたね……よかった……。

    犯人が誰かは分かりませんが、きっと心に深い傷を負った寂しい人。
    あんなに人間を拒絶していたルカさんの心を少しでも開くことができたカイトなら、
    その人の傷や憎悪や負の感情を癒やすことが出来る筈。
    カイトさんは例え沢山自分傷ついても、誰かのこころを優先するような、優しくて強い人だから。
    そんなカイトさんおミクも好きになった。

    私は信じてるよ!
    気をつけて……いってらっしゃい。

    2012/11/15 15:10:42

    • しるる

      しるる

      今回の一つのテーマはルカの心情の変化ですね

      さて、犯人の心をどう理解するか……
      決めてないぞ←

      頑張れカイト!

      2012/11/20 19:05:06

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