#90「本音」



先代とリンちゃんに恨みをもっていた人物

メイコさんに睡眠薬を飲ませることができる人物

あのルカさんを投げ飛ばすことが出来るのは訓練された人物

僕が人間だとあらかじめわかっていた人物


そう、初めからこの人しかありえなかった



「やはり……あなたでしたか…………ハクさん」

「お見事です。まさか、人間に正体をあばかれるなんて思ってもみませんでした。いつも私の声を聞いていたはずのそこの女でさえ、気づかなかったというのに」


ハクさんはメイコさんを見下すように言った


「…………本当にそう思いますか?」


僕は静かにそう言った


「メイコさん……フードの女性がハクさんだって、気づいてましたね?」


そして、メイコさんの方を見る

メイコさんは僕と目を合わせようとしない


「メイコさん、さっき僕に……「あなただけでも逃げて……あの子は私たちがくいとめるから……」といっていましたね。【あの子】って……気づいてたんじゃないですか?」

「……ええ、そうよ。……でも、信じたくなかったわ、ハク」


メイコさんはハクさんを信頼していた

ハクさんの過去はもちろん、自分が利用されていたなんて思ってもみなかったのだろう

妹のルカさんを傷つけられ、大事なリンちゃんも大変な目にあった

だからこそ、ハクさんじゃないと信じていたかった……ということなのだろう



「あなたは本当に馬鹿な女王でやりやすかったですよ。先代は厳しく私を監視していたので、色々と動けませんでしたから」


ハクさんの言葉には、怒りがこもっていた


「……お願い、ハク。リンやルカ、そしてカイトさんを見逃して……私がかわりになんでもするから…………お願い」


メイコさんは泣きながらそう言って、ハクさんにすがりついた


「あなたは、何もわかっていないようです。私はそこの小娘に孤独と絶望の果てにいなくなってもらうのが望みなのですよ?どうして、あなたのお願いを聞けますか?」


ハクさんは、そういうと自分の脚にしがみついているメイコさんを蹴飛ばした

メイコさんは吹き飛んで立ち上がれなかった

体に毒がまわっているに違いない

リンちゃんも両膝をついて座っている





「ハクさんの本音……ですか、それは」


僕はうつむきながら、小声でそういった


「はい、姫様には目の前で大切なものが消えて行くのを見てもらいます。孤独と絶望を教えて差し上げようと」


ハクさんは礼儀正しくお辞儀してみせた


「そのためにメイコさんを捕まえて、ルカさんを呼んだのか……」


僕の両拳がふるえている


「そうです。まぁ、あなたまで来るとは思ってみませんでしたけど」




「あなたは間違っている!」


僕が大きな声で言い放った言葉は家中に響いた


「あなたは大きな勘違いをしているんだ!」




そう……あなたは…………

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

妖精の毒#90

前回、犯人を当てることが出来た方、おめでとうございますww

次回から、ハクさんが間違っている真実をカイト君が語ります

閲覧数:493

投稿日:2012/12/02 20:01:54

文字数:1,227文字

カテゴリ:小説

  • コメント1

  • 関連動画0

  • イズミ草

    イズミ草

    ご意見・ご感想

    あ、あなたは……?
    ああ! 気になるじゃないかww

    これからカイトさんがまたまたかっこいいことしでかすんですよね、わかりまs(ry

    2012/12/03 19:20:10

    • しるる

      しるる

      うーん。しでかしてくれますでしょうか?ww

      神のみぞ知る…w

      2012/12/03 20:54:40

ブクマつながり

もっと見る

クリップボードにコピーしました