それは蒼のボーカロイド達が現実世界で過ごせる様になり、その生活に慣れ始めていた時だった。
「みーちゃん!」
「みーちゃん!」
『お仕事ですよ!』
・・・何故か二人組の子供が現れた。
その二人は現代人がしないであろう服装をしていた。黒髪短髪、銀色の瞳を持つ子の服は陰陽師の式服を少し女の子風にアレンジされており、もう一人の茶髪の髪を巫女の様に一つに結んでいる金色目の子は巫女服を陰陽師の格好をしている子に合わせる為だろう、所々にそれらしい工夫がされていた。
取り合えず玄関前で考えられたのはそれ位だ。レンは玄関を開いた状態のまま、一時停止していた。開けた瞬間上記の言葉を最後は二人声を揃えて言ったのだ。少なくともレンの頭は混乱していた。
え、ちょ、何この展開。つーかこの子達誰? 来る場所間違ってねーか? そもそもみーちゃんって誰よ? ミク姉? ・・・いやいやそんな事知る筈無いだろうしなぁ・・・。
レンが頭の中で考えている間にその目の前にいる二人は不思議そうに首を傾けた。
「いないのかな? みーちゃん」
「いないのかな? みーちゃん」
「でもさ、銀」
「なぁに、金」
「みーちゃんじゃ解らないんじゃないのかな? みーちゃん、て言うのはうちの家系での呼び名だから」
「あぁ、そっか! 気付かなかったね」
「しょうがないよ、何時も私達はこの呼び方だもん」
「しょうがないよ、何時も僕達はこの呼び方だもん」
「ねぇねぇ、レン君」
「ねぇねぇ、レン君」
『蒼ちゃんはいm・・・』
「何してんの、銀ちゃん、金ちゃん」
『あ、みーちゃん!』
「み・・・みーちゃん!?」
レンが驚きの声を上げるとマスター―蒼は少し気まずそうに笑った。
「あ、ごめんね、レン。水晶(ミナアキ)、それが私の陰陽家での名前なの。“蒼”は・・・表名(オモテナ)、みたいな感じかなぁ・・・」
「は・・・はぁ・・・。で、この子達は・・・」
『みーちゃん!』
「あぁ、ハイハイ。銀ちゃんも金ちゃんもちょっとは黙りなさい。中入っててよ、私も支度するから」
『ハーイ!』
黒髪短髪の子、銀と茶髪一つ結びの子、金はニッコリと笑うと、驚いているレンの前をスルリと走り抜け、パタパタとリビングまで駆けて行った。ミクとメイコの驚く声が聞こえてきた。「ちょっと蒼! これ如何いう事よ! 説明しなさい!」と言うメイコの罵声が聞こえたのも気の所為ではないだろう。
「・・・説明は銀ちゃんと金ちゃんに任せるとして・・・レンも行っててよ」
「あ・・・ハァ・・・」
色々と突っ込みたい事があるのだが、取り合えずレンはリビングに向かう事にした。
「どうも、始めまして! 蒼ちゃんの従姉妹の金です!」
「どうも、始めまして! 蒼ちゃんの従姉妹の銀です!」
宜しくお願いします! と声を揃えて二人は言うと行儀良くペコリと頭を下げる。其れにつられ、メイコ達も頭を下げた。
「あの・・・お二人は・・・どう言う・・・」
ミクが聞き掛けるとその先はもう分かってる、とでも言う様に金と銀は声を揃えて
『双子です!』
と言った。
「因みに銀がお姉さんで、」
「金が妹ちゃんなんだよ!」
「お・・・おね・・・!?」
「うん、どっちも女の子!」
「うん、どっちも女の子!」
「・・・で、今日は蒼に何の様で・・・?」
同じ事を繰り返して言う二人に少々ウンザリしながらもメイコは二人に聞いた。
「これからお仕事です!」
「これからお仕事です!」
「いや、仕事って・・・今日蒼は何の仕事も入ってないって・・・」
『そのお仕事じゃありません』
「え?」
その言葉に皆が目を見開くと二人は続ける。
「僕達の家は陰陽家です」
「だから物の怪払いなんかもするんです」
「悪霊払いとかもね」
「魑魅魍魎共とかね」
「この世に起こる全ての事は、」
「人がいなければ、」
『唯の現象に過ぎないし、唯の“コトガラ”に過ぎない』
「人がいるからこそ、それは不思議なモノと化し、」
「人がいるからこそ、恐怖が生まれる」
『だから、人が一番この世で不思議で愚かで恐ろしいモノ』
「生霊とかは勿論生きてる人間の所為だし、」
「悪霊なんてのも動物霊は殆ど当て嵌まらない」
「大体の原因は、人間」
「大方の引き金は、人間」
「それを払うのが、私達の仕事です」
「でも、私達、まだ半人前なんです・・・」
「双子だから、次の跡取りだから、もっと、もーーーっと、修行しなくちゃいけないんです!」
「だから、護身龍である蒼ちゃんが必要なんです!」
「だから、蒼ちゃんも行かなくちゃいけないんです!」
「はい、其処まで。全く年に似合わない事ばっかり知ってるんだから・・・」
ポン、と銀と金の頭を叩いて、蒼はフウ、と付いた。その格好は金がしている巫女服をスラリと引き締めて青色で統一されたモノだった。髪も金がしている様な後ろで巫女の様に一束にまとめてあった。
「ワァ・・・蒼ちゃん綺麗・・・その格好・・・」
「そうかな? 動き易くはあるけど・・・あんまり着たくないんだよねぇ・・・」
ま、そう言ってても仕方ないけどね、と言って蒼は再び息を付く。
「で、今日の仕事場は?」
「此処から割と近い所にある廃墟ビルです」
「此処最近、あそこの前を通ると嫌な気配が伝わってくるんです」
「それに何だか段々その嫌な感じが増してってるんです」
「あ・・・あそこか・・・確かになんか不穏な空気は流れてたけど・・・其処まで酷いとは・・・ね・・・」
「早くしないと、誰か来ちゃいますよ!」
「あそこは幽霊スポットとして最近流行り始め・・・!」
其処まで言って銀は何かに気付いたらしい。蒼もコクリと頷く。
「よし、行こうか。めーちゃん、今日はちょっと遅くなるかも知れないから夕飯いらないよ」
「え? あ・・・分かったわ・・・。気をつけて帰ってきなさいよ!」
「大丈夫だよ」
慣れてるから、そう付け足して蒼はニッコリと笑った。そして其のまま家を出ようとした時、
「あ、私も行ってみたい!」
リンはスクッと立ち上がり、蒼に言った。「ちょっと、リン!」とメイコが一喝するも「だ・・・だって・・・」とリンも引き下がらない。
「どんな風に退治するのか気になるんだもん・・・。駄目?」
「・・・・・・。良い・・・けど。多分、リンには見えないよ。そういう類が。そう言う体質じゃ無いのは見て分かるし・・・。でも、何があるとは限らないしね・・・」
蒼は思案顔で何か考えていたらしいが、ふと今まで全く会話に加わっていないレンを見る。そしてレンを見た後、フ、と微笑んで、
「よし、レン、一緒に来てよ。レンは見える体質だし、其れなりに“チカラ”も有りそうだしね。銀ちゃん、金ちゃん、良い?」
蒼が二人に聞くと二人は互いの顔を見合い、そして数秒。コクリと頷き合うと、
『大丈夫です!』
と二人、声を揃えて言った。
「え、ちょ、待って下さいよ! 行かなきゃ駄目ですか、俺!」
「リンが行くならレンも行かないと不味いよ。それとも何? レンはリンがどうなっても良いと?」
「・・・・・・・・・・・・だあああぁぁああぁあっ! 分かりましたよ! 行きゃ良いんでしょ、行きゃあ!」
半ばやけくそになりながらもレンも行く事にしたらしい。リンが嬉しそうな顔をして「やったー!」と言う。
「・・・何も起こらなきゃ良いんだけどね・・・」
そんな蒼の独り言は誰の耳にも入る事は無かった。
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