BATTLELOID STAGE3 「真意」

投稿日:2014/06/08 00:42:31 | 文字数:4,318文字 | 閲覧数:164 | カテゴリ:小説 | 全3バージョン

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説明は BATTLELOID「BEFORE GAME」を参照してください


いまだ一緒にいるリンとレンを信用できないミクは、彼らの真意を問う。
帰ってきたのは意外な答えだった…。


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TEXT
 

[A区画 街‐3エリア]
「いえーい!」
 メリーゴーランドに乗り、楽しそうに声を上げるリン。
「…リンものんきだなあ…今サバイバルの真っ最中だっていうのに…」
 レンがその様子を見てあきれて呟く。ミクはその隣、何とも言えない表情で立ち尽くしていた。
 …そう、今三人がいるのは遊園地。このゲームの真っただ中、三人(主にリン)はこうしてレジャーを満喫していたのである。
 一体なぜこうなったのか?


 カイトを倒した、次の日。ミクはすぐに誰かと戦いに行くべく、まずはB区画を目指すことにした。
 だが、それにさも当たり前かのように双子もついてきた。
 しかも、事を急ぐのは良くない、ここには遊園地があるらしいから遊んで行こうとリンが言い出して、現在に至るのだ。
 先ほど、三人はレジャーを満喫しているといったが、少なくともミクはそうだはなかった。
 …この二人は、いつまでついてくるのだろうか。
 通常ならこうして二人がついてくるのはうれしいことなのだが、今は訳が違う。
 メイコ姉さんに見せられた裏切り。今はそういうことが十分起こりうる現状。
 今目の前にいるこの二人だって…そりゃ、いつもからすごく仲が良かった。ボーカロイドたちの間でも評判の仲だったくらいだ。
 でも…今は…。
「…ミク姉?」
 いつの間にかリンがメリーゴーランドを降りて、心配そうにミクを見ていた。それはゲーム前のリンと全く変わらない顔。特に何か企んでいるようには…見えない。まあ、リンがポーカーフェイスが上手なだけかもしれないのだが。
「さ、次行こ?次はジェットコースター乗りたいな!」
「あ、俺も!…ほら、ミク姉も乗ろう?」
 レンがミクを促した。
「う、うん…」
 ミクはあいまいに返事を返す。
 確信が持てない。二人を…信じていいのか。


 この空間には、ゲームに参加しているボーカロイド達以外、人はいない。
 つまりこの遊園地にも人はいないわけで…タダで乗り放題という天国のような状態なのである。
 それもあってかリンのテンションはマックスで、あれよあれよとアトラクションを回っていく。
 レンはそれに振り回されつつもだんだん楽しくなってきたようで、いつの間にやらリン同様に盛り上がるようになっていった。
 ミクは…もちろん、盛り上がることなんてできない。不安でしょうがない。実は一瞬のすきを狙われているんじゃないかとか、もう私は何かの策略にはまっているんじゃないかとか…。不安はどんどん想像を生み、そして精神をすり減らす。
 直接…二人に聞いてみようかとも、ミクは一瞬考えた。…だが…返答が…怖い。


 結局、この日は丸一日遊園地で付き合わされる羽目になった。ゴーカートやフリーフォール…少なくとも十以上のアトラクションに乗った。
 夕方、最後はみんなで乗ろうよと、三人は観覧車に乗った。ちなみに、ミクはほとんどのアトラクションに乗っていなかった。
「うわあ…高い…」
「すげえ…日が水平線に…」
 リン、レンが思い思いの感想を漏らす。だがミクは俯いて座ったままだった。
「…ねえ、ミク姉?」
 リンが様子を窺うようにミクの顔を覗き込んだ。
「…なんか、困ったことでもあったの?」
 リンが優しく問いかけるも…ミクは首を振る。
 本当はこのまま放っといて欲しかったのだが、レンがさらに尋ねてくる。
「メイコ姉さんやカイト兄さんのこと…気にしてるの?あれは…仕方なかったろ、状況が状況だったし、それに…」
「だったら、」
 レンはミクに元気になってほしくて言ったのだろう。だがそれがミクの気に障り、黙っていられなくなった。
「どうして二人はことあるごとに私を助けてくれるの?」
「え?そんなの、決まってる。俺たちは仲間だから…」
「違う!」
 ミクは叫んだ。
「違うわ!仲間なんて…このゲームに…!」
 なぜミクが勝ち残って人間になると決意したのか。もう、誰にも信用されないと分かったからだ。
 本意ではないとはいえ、ミクはメイコを倒してしまった。一度そういうことが知れてしまった以上…戦いたくないと相手を説得し、信用を得るのは難しい。…いや、生存がかかるこの状況、もうミクを信じてくれる人はいないだろう。
 ミクには…もう、勝ち残る以外の選択肢は…ないのだ。
「あなたたちだって…そうでしょう?こうやって私の味方をしている裏で、何か企んでいるんでしょう…?」
「違うよ」
 リンが即答した。
「私は…ううん、私たちはね…勝ち残ることに興味はない…というか、したくないんだ。…レンと、戦いたくないから」
「…え…?」
 意外な答えにミクは言葉に詰まった。リンの言葉を受け、更にレンが言う。
「このゲームで勝ち残れるのは一人…だろ?だったら俺は…いつかはリンとやりあわなきゃいけなくなってしまう。だから…」
「だから私の味方をしてるって?」
 ミクのその声は、少し怒りの感情がこもっていたが…リンは気づかず言った。
「だけどね、せっかくなら…誰かのために戦いたいなって…。ミク姉には、私たちがデビューしたころから、とってもお世話になってるし…ね?」
「…でも!」
 ミクは叫んで立ち上がる。わからなかった。こんな状況で、そんな善人ぶった考えを持っているなんて。
 ミクはマイクを持った。
「二人がそう考えてても…私は違う!私は一人でいい!だからあんたたちはここで…」
「倒せばいい」
 レンがさらっと言った。ミクの歌おうとした口が、止まる。
「分かってる、分かってるよ。そんなこと言ったって、はなから信用されないのは。…でも、最悪、リンと一緒にいられるなら、それでもいい」
「このゲームにそぐわなくたっていい。私たちは二人で…私たちのままでいたいから」
 静かに、それでいて優しく語りかけるように、双子は言った。その瞳は、寂しさこそ含んでいたが、澄んだ純粋なまなざし。
 そうか…とミクは思った。二人はこのゲームが始まっても、いつものままだったんだ。
 私とは違って。
 ミクは自分が情けなくなって、双子のほうが断然大人な気がして…思わず泣き崩れてしまった。
「私達、ずっと、一緒だよ…?」
 リンが優しく、ミクの肩に手を置いて、呟いた。
 赤い夕陽が、三人を照らす。ミクから落ちた涙が、輝いた。





[E区画 街‐1エリア]
「なるほど、あなたの考えは一理あります。…ですが、協力はできませんね」
 フォン越しに、男の声が聞こえる。
「…どうして?実際に私たちは会って協力するわけではないのよ?」
「それは…つまりあなたに私の命を預けるに等しいと、みなせるからです。…あいにく私には、守らねばならない人がいますから」
 その声の後ろで、ねえねえ誰と電話してるの、と幼い少女の声が聞こえた。
 ユキちゃん、か…とすぐに理解する。
「分かりました。じゃあいずれ戦うことになってしまうけど…」
「…承知の上です」
「そう…」
「では…失礼します」
 電話がきれた。
 先生が一番話が分かってくれると思い電話したのだが…空振りに終わった。
 だが、彼女は気を取り直して再び電話をかけた。
「…もしもし、こんな時にどうしたのだ、ルカ殿」
「がくぽさん、…少し、話があるの。ちょっと時間、いいかしら?」





[A区画 街‐3エリア]
 夜。遊園地付近にあった宿泊用施設に、ミク、リン、レンの三人は顔をそろえていた。
 これから行うのは…作戦会議だ。
「さあ、どうする?」
 レンがフォンを取り出しながら呟いた。
 結局、ミクは双子と、最後まで一緒に戦うことにしたのだ。せっかく一緒にいてくれると言ってくれたのだ。やっぱり、否定して分かれるわけにもいかなかった。
「やっぱり、近いところから攻めていくべきじゃないのかな?」
 レンが言った。ここ、A区画 街‐3エリアは、街‐2エリアから、森‐1エリアを挟んで南、A区画の南端に位置する。つまりここから一番近いのは…B区画、ということになる。現在B区画にいるのは、いろはとミズキの二人。だが二人は接触しているわけではない。
「じゃあ、やっぱり順当にミズキさんからかな?」
 リンが言った。今、ミズキさんの所在は『B区画 町‐1』となっている。ここからB区画の草原エリアをはさんですぐ南の所だ。
ちなみに街と町の違いは、優劣はあれどビルなどが立ち並ぶエリアが街、住宅地のような階層の低い建物が並んでいるのが町である。
「じゃあ、まずミズキさんと戦って倒してから、次にいろはちゃんかしらね?」
 ミクが言う。いろはの所在は『B区画 街‐2』となっていた。そのエリアはB区画の東端でE区画に接している。ここからだと少し、距離がある。
「じゃあ、戦い方について考える?」
 レンが言ったが、リンが首を振った。
「大丈夫でしょ。ミク姉は一人でカイト兄さんに勝ったんだよ?これからは私たちも一緒に戦うんだし、きっと勝てるって!」
 確かに味方の数も多い。何も考えず突っ込んでも、相手が一人なら大丈夫だろう、というのがリンの考えだ。
 ミクも別に文句はなかった。というか、考えるのが面倒だった。
「じゃあ、そんな感じで。明日から動こうか。各自しっかり寝ような、特にミク姉」
 レンがミクを見ながら言った。
 そういえば最近全然よく眠れていなかったな、とミクは思った。
 でも、双子に対する不安、疑念はなくなったわけだし、今のところ先は明るそうだ。今夜は、久々にぐっすり眠れるだろう。





[B区画 街‐2エリア]
「…くるわね」
 いろははフォンを見て呟いた。いつもだったら、「くるニャー」とか猫語で言ったりするところなのだが、今は当然そんな馬鹿が通用する状態ではない。
 ミクリンレン。いろはも、彼らの仲の良さは十分に知っている。このゲームでも彼らが手を組むのも、きっとその仲の良さたる所以だろうと、いろはは思った。
 とにかく。いろはは悩む。このまま逃げるのもありだ…が。
 いろははあまり逃げるのは気が進まない。
 なぜなら。E区画では、リリィ、ピコ、リュウトが同じ場所にいるからだ。こっちはお互い手を組むには異色すぎる。おそらく…戦闘中だろう。逃げている最中に巻き込まれたらたまったものじゃない。
 それに、ルカがE区画といえど隣のエリアにいる。なんとなく、彼女とは出くわしたくないといろはは思っていた
…いいわ、迎え撃ちましょう。いろはは意を決した。
 大丈夫、私にだって勝算がないわけじゃない…。

しがないボカロ小説書き。生粋のミク廃。
書くものはなぜかバトルものばかり。
みんなを楽しませることができればなあと、思う。

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