やあ諸君。吾輩は猫である。
前回は突然すまなかったな。あの酒女に見つかって追いまわされ、挙句の果てにわが自慢の土管城に風穴をあけられてしまい、修理していたのだ。案外小さな穴だった故に、簡単に済んだがな。
そういえば、この町に来た次の日だったな、あの酒女とよく似たにおいを持つ青いのに出会ったのは…。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
○月△日 ▼曜日 天気 曇天
昨日はえらい目にあった…。あの赤い酒女のおかげで、外もおちおち歩けず、住居を作れなかった。人間は心の中では何を考えているかわからぬし、「礼言わなきゃ」と言って吾輩を油断させ、あの妙な技でふっ飛ばす気かもしれない。
まぁ、この町はかなり広いし、隠れる場所も多い。酒女に出会った場所から離れれば、何一つ困ることはないだろう。
そう思って歩き出したそのときだ。
ごおおおおおお……。
空気が吸われている音がした。それも生半可な音ではない。あたりの空気が一直線に引き込まれ、渦を巻いて1点に集まってゆく音だ。
これはまさか、あの酒女のメイ何とかか!?そう思って身構えた。
次の瞬間、遠くで濃縮された空気が、巨大な波を伴って――――――
「卑怯は…褒め言葉だああああああああああああああああああああああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
恐ろしい声量と気圧の波に似合わぬ、脱力する言葉のおかげで、踏ん張りが利かず、吾輩は吹っ飛ばされてしまった。
声の主は、自分の声で吾輩が吹っ飛んだことに気づいたようだ。
「うわっ!やっちゃった…これじゃめーちゃんと同じじゃないか…。目の前に何もいないことを確認して撃ったのに…。」
そう言って地面にはいつくばってる吾輩の元に駆け寄ってきあのは、青い髪に、青いマフラーを首に巻いた優男っぽそうな人間だった。だがこの男…酒女と同じ、人間に見えて全く違う、異質なにおいを持っている。
こいつも同類か!まさか酒女に言われ、吾輩を殺しに来たのか!?
くっ…まだ体の自由が利かぬ…ああ、吾輩の旅もここまでか…。
そう思った時、吾輩の体は不意に抱きあげられた。
「けがはないかい?猫ちゃん。」
青いマフラー優男は微笑を浮かべてそう言った。
この優男、酒女の仲間ではないのか?しかし、酒女と同じ匂いを持つのだ、油断はできん。だがしかし、今すぐ吾輩を殺す気はないようだ。
「ぼくはこう見えても獣医のもとで修業したことがあるからね。どれどれ…。ふむふむ。骨はどこも折れてないし、内臓に痛手もないみたいだね。筋肉の痙攣で動けなくなっているだけだ。安心していいよ、猫ちゃん。」
それぐらい吾輩はわかる。銃弾の嵐を潜り抜けたことも、崖から落ちたことも、電線に引っ掛かりかけて体を焼かれたこともある。これ以上の大怪我をしたことなど数えればきりがない。それに比べれば大した異常でないことぐらい、自分の体なのだからわかる。だがしかし、外側から見ただけでこれほどのことを判断するとは、こやつ、いったい何者だ?
そう思った時、優男の後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。
「お~い、カイト何やってんのぉ~?」
そこに来たのは、酒女ではないか!やはりこ奴ら、グルだったのか!?
「いやあ、朝の発声をしてたら、猫ちゃんをふっ飛ばしちゃって…。」
「ふうん?ってああ!?この子、昨日あたしが殺しかけちゃった猫ちゃんじゃない!?」
「ええ!?ってことは昨日の朝のメイコバ―ストはこの子に撃ったものだったのか!?何やってるんだよ!僕のあれと違って、めーちゃんのメイコバ―ストは兵器じゃないか!!昨日も廃墟だったからよかったものの、建物ふっ飛ばしちゃって…。一般人の間でメイコバ―ストがなんて呼ばれてるか知ってるかい?「ヴォカロ町の迫撃砲」だよ!?少しは気を付けなよ…。」
「わかったわよ、今度からは気をつけるわよ。」
そのやり取りを見ているうちに吾輩の体もすっかり回復した。
この優男は敵ではないようだが、どうもこの異質なにおいを持つ者に抱きあげられているのは居心地が悪かった。
吾輩は体をひねって飛び上がり、華麗に着地した。うむ、100点満点だな。文句は受け付けん。
「あっ、もう行ってしまうのかい?体はもう大丈夫なのかい?」
吾輩の言葉は人間どもには通じない。だがせめてもの感謝のつもりで、最大限の愛想を振りまいた。
「にゃあ♪」
とたんに優男の目がカッ!!と見開かれ、
「ぐほあっ!!鼻血がっ!!」
鼻血を吹きだしてぶっ倒れた。
「も~あんた相変わらずかわいいものに弱いのねぇ~。」
吾輩は呆れて、茂みの中に歩き出した。
今日わかったことは四つ。
一つ、この町の名前はヴォカロ町。
二つ、この町には普通の人間とそっくりだが、異質なにおいを持つ人間のような姿をした生き物がいる。
三つ、彼らには強力な音波を撃つ能力があること。その能力は一人ひとり違うようだ。
そしてもう一つ…。
あの青いマフラーの優男、おそらくロリコンかショタコンだ…!!
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
この優男のおかげで、彼ら―――異質なにおいを持つ者たちが敵ばかりではないということがわかった。
この優男にはその後もちょくちょく出会い、出会うたびに煮干しなどをくれる。くれるものは栄養バランスも偏らず、とてもいい奴だ。
だが、吾輩が愛想を振りまくたびに鼻血を吹きだすのはどうにかしてもらいたいものだ。
おっと、そろそろ行かなければ。
奴にそろそろ食いものをもらいに行かなければ。ん、旅はどうしたって?吾輩も年だ、しばらくここで厄介になるか、ここに定住することも考えておる。文句は受け付けん。…それに、旅を再び始めるには、この町のものと仲良くなりすぎてしまった。もう、時遅しと言ったところか。
未練がないわけではないがな。もし町のものと言葉を通わすことができれば、「一度また旅に出る。必ず戻ってくる」ということもできようが。
ふっ…旅猫たる吾輩も、ここの者たちのにぎやかさ、楽しさ、やさしさに感化されて、すっかり普通の猫まt…じゃない猫に戻ってしまったようだな。
しんみりしてしまったな。優男に何かもらって明るく行こうとしようか!
諸君!!また会おう!!
猫から見たボカロ~青いマフラーの優男~
どうもこんにちは、Turndogです。
なんかカイト「途中まで」やたらかっこいいんだけどwww自分の中ではバカイトなんですがこの人。
そして猫…長きにわたる旅をここでやめてしまうのか…?すべては最終回で明らかに!!…っていつだろう最終回。いや自分の中では構想はできてますがいつ書くかというのが。まだ第3回ですし。
とりあえず乞うご期待!!
☆豆知識其の二☆
猫の住居について
猫は旅を続ける中で、毎日寝るための住居をこしらえる。
町にいるとき、町と町までの間の道。どんな所でも住居を作るが、町にしばらく住むのでもなければ一晩しか使わないにもかかわらず、やたらとクオリティが高い。
冒頭の土鍋タワーは四十もの土鍋を崩れぬよう積み上げたもの。土管城は組み上げた土管を漆喰で固めあげたもの。
しかも猫は壊れた住居を修理する腕まで持っている。土管城の修理などたやすいことだったのである。
しかしこの住居の話には一つの謎が付きまとう。これまでに猫が作った住居は全部で32549戸。一日一戸としても、百年近くかかる計算だ。いや、中には滞在用に作った、長期間使用もあったであろう。それを考えれば…猫の年齢は、恐ろしい数字を導き出す。
猫よ、お前は一体…?
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青蝶
ご意見・ご感想
ちょおおおおカイトがあああああwwww
すごい変なキャラにっwwww
めーちゃーんwwwwwww
下のコメントも読みましたが↓
不等号の端が宇宙の果てに届いたってwwwwww
差、ありすぎwwww
2012/11/04 16:28:16
Turndog~ターンドッグ~
青さんには悪いが…
この頃の私の中ではカッコイト成分は1/1000にも満たなかったっ!!(おいおいおい
まだめーちゃん無双www
えーだってバカイトだし―(棒
2012/11/04 19:46:29
june
ご意見・ご感想
カイトもかww
でもやはり めーちゃん>>>>>>…カイト
なんですねwww
カイトは通学路へ向かt…((ry
2012/07/14 23:32:20
Turndog~ターンドッグ~
カイトもですwwwだって似てた方がこの二人らしくていいじゃない。
おや、不等号の端が宇宙の果てに届いたようd(どんなだwww
その曲はダメダァー?(゜ロ?)アタフタ(/ロ゜)/アタフタ
2012/07/15 19:25:46
しるる
ご意見・ご感想
猫…きみはやはりそうだったか
住居数から君の正体には気がついていたよw
見た目は猫、頭脳は天才 その名は…
迫撃砲か、メイコ最強説浮上w
カイトの認識ってバカイトであってたんだwww
続きたのしみにしてます
2011/12/15 22:04:25
Turndog~ターンドッグ~
その名は…名探偵コn(←猫「違うわっ!!」
カイトはたいていバカイトデスwwwたまにいますけどね、「カッコイト」が。
メイコはたいてい馬鹿力ですwwwたまにいますけどね、繊細なメイコ。
2011/12/16 01:10:23