揺れてはいけない私の心は
ある少年によって
激しく揺さぶられてしまうのだ…
秘蜜~黒の誓い~ 第五話【哀れな少女と不思議な少年】
「はぁ…」
私は思わずため息をもらした
理由は言うまでもない。昨日のことだ
あの場では納得した…というよりさせられたけど
今考え直してみるとどうも納得できない
リンの言葉がなければこうはならなかっただろう
リンが悪いわけじゃない
でも
私の心がここまで乱されてる原因…
「違う…駄目だよそんなこと思っちゃ…」
一人でそう呟いた
コンコン
ドアをノックする音
「どうぞ…」
弱弱しい声で答えてしまった
「ミク…何かあったのかい?」
「何もないわ。ちょっと考え事してただけ」
「大丈夫か?」
「大丈夫よ。ありがとう」
「失礼致します」
そう言ってルカさんが入ってきた
「部屋で待ってろって言ったじゃないか」
「そうはいかないわよ。私は貴方の付き人なんだから」
ルカさんは一歩私によって
「ミク様、今日のこの喜ばしい式事、心よりお祝い申し上げます」
と、深々と頭を下げた
「そんなにかしこまらないでルカさん」
「そうはいきません。主の奥方となられるお方なのですから」
「じゃあ、俺達は挨拶に回ってくるから、それまでゆっくりしてるといいよ」
「そうするわ。ありがとう」
「では、失礼致しましたミク様」
そう言って軽く頭を下げて二人は出て行った
本当に…何もないんだよねあの二人
分かってるはずなのに疑ってしまう自分がやだ
もやもやが心に貼り付いて離れてくれない
今日結婚するんだよ…?
普通、幸せでいっぱいな表情してるはずなのに…
私…憂欝な顔してる
これじゃぁ皆様の前に出れないわ
そう思って私は外の空気を吸ってこようと思った
この式場は森の中といわんばかりに木に囲まれて
小鳥の囀りが気持ちいい
緑の葉が風で揺れる
その様子がとても微笑ましく感じる
「―――――っわ!」
いきなり強い風が吹いてきた
黒のベールが靡いて私の視界を塞ぐ
「ちょ、わっ」
髪も靡いてきて全く前が見えない
やっと前が見えたと思ったら
「―――?」
少年が立っていた
私と同い年くらいと
金髪の少年
「こんにちわ」
「あ…こんにちわ。貴方…」
「レンって言います」
「レン、ね。私はミク」
「ミク」
「うん。そう言えば…どうしてここに?」
「あ…散歩してて」
「そう、ここ、気分よくなるものね」
「うん。すごく落ち着く」
彼は私をまっすぐ見てくれた
がくぽさんとは違う瞳で
優しいけれどどこか寂しい瞳
「今日…結婚するんだね」
「あ…うん…」
「でも、気のせいかな。あんまり幸せそうに見えない」
「き…気のせいだよ?」
「気のせいじゃないと思う。だって、さっきも笑ってなかった」
どうしてわかったの…?
さっき、がくぽさんにもばれなかったのに
「結婚乗り気じゃないの?」
「そ、そんなわけじゃない…けど…」
「ミク?」
「がくぽさん!」
ルカさんとがくぽさんがやってきた
「なにしてるんだ?こんなとこで」
「あ、ちょっと外の空気吸いたくて」
ふとレンの方を見ると
ものすごく険悪な顔をしてがくぽさんを見ていた
「その子は?」
「あ、えっとこの子は…」
「ミク」
レンが私の言葉を遮った
そして私に手を差し伸べた
「少しでも、少しでもそいつを疑ってるんだった
もしそうなら俺ときて」
レンの言ってることの意味なんてすぐわかった
でもなんで
なんで知ってるの…?
「ミク、戻っておいで。そんな意味もわからないこと言う子供に付き合わなくていい」
私の腕が無意識にレンの手へと伸びる
レン 貴方は
知ってるのね…?
「ミク!」
がくぽさんが怒鳴って私の腕を引っ張る
「―――――ッ!離してよ!」
そうやってがくぽさんの腕を振り払った
そして私は
レンの手をしっかりと握った
するとレンは私の手を握ったまま走りだした
行き先なんて知らない
けど
けど
―――けど!
私は躊躇わなかった
私はレンと共に走った
走って走って
式場から二人で逃げ出した
「ミク!」
がくぽさんの声なんてもう届かない
聖なる誓いの場所で私は
全てを裏切って
許されない想いと共に
姿を消した
私は目が合ったその瞬間
レンを
愛したのだ
秘蜜~黒の誓い~ 第五話【哀れな少女と不思議な少年】
こんにちわこんばんはおはようございます芽衣です
…いつもに比べたら短い…かな?
この話、実は計4回書き直しております
1回目→ネタが詰まった 2回目→なんか無理やり感があった
3回目→間違って前に戻るボタン押してしまった
4回目→やっと投稿
今回難しかったんです…!
どうやって式場から逃げ出すかとかレンどういうタイミングで出すかとか(
なんだか次かその次くらいアウ○トの方向に進みそうで
自分でもハラハラしてます(:.;゜;ω;゜;.:)
ア○ウトにしてもいいのかなぁ…←
誰か教えてくれ!(は
素敵な本家様→http://www.nicovideo.jp/watch/sm10282629
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