だんだん暖かい日が増えてきた。
晴れた日は外に出ようと思える。

「………マスター…」

ん?

「どこか……行くんですか…?」

外に出る準備をしているのが気になったのか、モカが聞いてきた。
買い物がてら散歩しようと思っただけなのだが…。
そうか。こいつら留守番させなくてもいいのか。
行くか?散歩。

「みー!!」

……おい。
鞄の中に入り込んだコウが威勢よく返事をした。
中に入れたものを外に出してまで入っている。
そこまでして入りたかったのか、お前。

「みっ」

嬉しそうだな。
荷物入れ直すから出ろ。それから入れ。

「み~」

無理矢理コウを外に出す。
不満そうな声を出して暴れたが無視。
で、行くのか?
しばし悩んだモカは頷いた。


若干の風があるものの、外は暖かかった。
肩に乗っているモカが不安そうにしがみついてくる。
高くて怖いらしい。もしかして高所恐怖症なのか?

「み!み!」

相変わらず鞄の中にいるコウは落ちそうなぐらい身を乗り出している。
…頼むから落ちるなよ。
普段は使わない裏道をのんびりと歩きながら上を見上げた。
…あ。

「………マスター?」

上見てみろ。

「み?」

コウを鞄から出して肩に乗せる。
梅の花が咲いていた。
二人が落ちないかと気を使っていたから気がつかなかった。
白梅だ。花びらが白い。

「…………綺麗…ですね…」

モカが呟く。
ぽつぽつと枝に点るように咲いている梅の花は、風情があった。
沢山咲いているのとは全く違う。
一つだけ枝先に咲く花は誇らしげだった。

「み…」

コウが手を伸ばす。流石に届かない。
でも文句は言わなかった。
いいのか?

「……み」

何となく触れてはいけないような気がしたらしい。
大人しく頷く。
その気持ちはわかる気がする。
小さい花なのに、堂々と咲くその姿は大きく見えた。
少しの間そこに立ち止まっていた。


梅の枝を梅が枝、梅の香りを梅が香と言う。

「………詳しい…です、ね」

昔、本で読んだだけだ。大して詳しくはない。

「でも……綺麗な言い方……しますね…」
「み」

モカとコウは梅の花が気に入ったらしい。
ここで梅干しを食わせたらどうなるだろう。
…止めておこう。それは可哀相だ。

「み、み」

なんだ?

「……帰りも見たい、です」
「みっ」

帰りはルート的に違う道を使うつもりだったが…。
まぁいいか。
あの花を見に道を変えるのも、悪くない。

そうして帰り道、また三人で花を見るために立ち止まる。
夕暮れの中咲く白い花に、春の訪れを感じた。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

KAITOの種8(亜種注意)

え、待って。ジャンルなんぞww
何この妙なしんみりさwww
あ、梅が枝(うめがえ)、梅が香(うめがか)、と読みます。

梅…もうすぐ雛祭りだなぁ…とか思いながら書きました。
ボカロ雛壇がほしいです。
御内裏様が兄さんで御雛様がめーちゃんで、ミクリンルカで三人官女、左大臣右大臣ががっくんとレン………ピッタリじゃん!!
そこ、五人囃子いないとか言わない。
でもバナナイスで三人官女やってほしいとも思うww


桃色の花はこっちに咲いてm(ry
http://piapro.jp/content/?id=aa6z5yee9omge6m2&piapro=f87dbd4232bb0160e0ecdc6345bbf786&guid=on

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投稿日:2009/02/23 00:39:04

文字数:1,085文字

カテゴリ:小説

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