「なんかおもしろいことないかしらねー。」
大きなあくびをして、メイコさんが呟いた。
「知りませんよっていうか人の店で何くつろいでるんですか。」
毎日毎日飽きもせず遊びにくるメイコさん。
僕は正直少し苦手だ。
両親が二年前に他界して、僕には両親の残したこのアクセサリーショップだけ。
調音(しらべね)アクセサリーショップ。
母さんがつくったアクセサリーを、父さんが売っていたんだ。
・・・今は僕がつくって売ってるんだけど。
「相変わらず冷たいわねーリヲンは。」
メイコさんは一ヶ月前にこの店を訪れた。
僕がつくったアクセサリーを気に入ってくれたらしく、たまにくるようになった。
いつのまにか毎日用もなく遊びにくるようになった。
悪い人じゃないんだけど、メイコさんの自由っぷりには振り回されることも多くて、よくわからない人って感じだ。
「じゃ、そろそろ帰ろうかな。また明日くるからね!」
「えー・・・。では、また。」
クスって笑って、メイコさんは帰っていった。
苦手だけど、いい人だってことはわかる。
多分毎日くるのも、僕が両親を亡くしてるからだと思う。
でも、やっぱりな・・・。
「って3時!?もう始まっちゃうじゃん!」
慌てて店内の小さなテレビをつける。
『ミュージックフライデー!こんにちは、司会の重音テトですっ。』
『欲音ルコです。』
ミュージックフライデー。
毎週金曜日の午後3時から始まる音楽番組だ。
人気歌手をゲストに呼んで、インタビューしたり歌ってもらったりする番組。
歌うことが何より大好きな僕にとって、この番組は週に一度のお楽しみなのだ。
『今日のゲストは、今をときめく大人気グループ、VOCALOIDの皆さんです!』
『今まで素顔を隠して活動されていたVOCALOID。今回、初めて素顔を公開されますっ。』
「えっ!?」
僕が1番大好きなグループ、VOCALOID。
テレビでもライブでも声だけで活動している謎のグループ。
あまりの美声に「実は全員ロボットなのでは」なんて噂もまことしやかに語られているほどだ。
『それでは登場してもらいましょう。初音ミクさん!鏡音リンさん&レンさん!KAITOさん!MEIKOさん!』
わぁぁっという歓声とともに、5人が登場。
僕、大興奮。
「ミクさんツインテール可愛い!鏡音さんたち似てるなぁっ。KAITOさんはマフラーしてるんだ!MEIKOさんは・・・え?」
スポットライトを浴びて笑うMEIKOさんは、どう見ても、
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「嘘・・・でしょ?」
僕は画面から目を離せないまま、固まった。
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