これは俺が中学のときの話だ。
俺は女遊びがすごく激しかった。
まぁ、粋がってたんだ。若さってやつかな。
俺が女遊びを始める前、彼女が居たんだ。イイ奴だった。                             

そんなイイ奴放っておいて俺は女と遊んでた。女騙しまくってる俺カッコイイ!とか思ってたかもな。
笑っちゃうよな。その子はどうなったかって?それを今から話すんだよ。
じゃあ、始める。                                                     

「レン・・・嘘ついてない?」
                                              
そう聞いてきた彼女の表情はとても可愛かった。不安で満ちた顔をしていた。
                                       
「リン、どうしたんだよー!俺が嘘つく訳ないじゃんー!」
                               
俺はゲラゲラ笑いながら嘘をついた。
                          
「本当だよね・・・?」
                                             
「彼女」は今にも泣きそうだった。
                                             
「するわけねーだろ?あー、もう!そんな顔すんなって!」                                
いかにも「優しい彼氏」らしい慰め方をしてみる。大抵の女はこれで落ち着く。リンもそうだ。
後は営業スマイルをプレゼントするだけ。な?簡単だろ?
                                     
「うん・・・そうだよね・・・レンが私に嘘つく訳ないよね。」
                               
リンは笑った。そう、やっぱり一緒。
                                          
「だろっ?この話はおしまいだ。」
                                         
「うん!!」
                                   
リンの笑顔は綺麗だ。
どこぞの恋愛小説の様に「彼女の笑顔は向日葵のように美しい。」と言ってあげたいぐらい綺麗。                  



まだ気づかないのですか。
本当に救えない。
あなたは彼女を傷つけているのです。
失ってからでは遅いのです。
そもそもあなたに私の声は聞こえていますか。
なぜ分からないのですか。
あなたのその無邪気な心が彼女を殺すのです。                                          

あの夜以外リンは学校に来ていない。まったく、なんなんだよ。今日、リンの家にでも行こうか。
               
「レンー、今日空いてる?」
                                      
・・・ちょっと位いいよな?
                                              
「がら空き。」
                                      
「やったぁ!じゃあ、学校終わったらあたしの家ね~!」
                                   
リンは何してんだろ。あー、早く来いよー。                                         

何も知らないくせに。
私はあなたを許さない。
許しはしない。
あなたが憎いです。                                                     
プルルル・・・という電子音が鳴り響く。
ったく・・・なんで俺だけ留守番なんだし・・・。
俺は苛つきながら受話器を取った。
                                            
「もしもしー、鏡音ですがー。」
                  
『あ、レン君・・・?』
                                    
この声は・・・リントさんだな。どうしたんだろ。
                                    
「あ、リントさんですか?」
                                               
『うん、そうだよ。』
            
あれ?なんかいつもと違うな。
                                               
「どうしたんですか?」
 
『うん、実はね・・・リンが死んだんだ。』
                                           
は?何言ってるんだ、この人は。
                                             
「ちょっ、リントさん冗談キツイですよー。何言ってんですかー。」
                                
だって、リンが死ぬわけないんだ。あんなに綺麗に笑ってたリンが。
                                
『俺が冗談でこんなこと言うと思った?考えなよ。』
                                   
「は?リンが死ぬわけないでしょ?大体なんで・・・」
                                    
やばい、俺今声震えてる。
                                              
『自殺、睡眠薬多量摂取でね。』
                                             
自殺?リンが?なんでだよ。ありえない。
                                               
「リントさん、冗談ならほんとにやめてください。」
                                    
『残念だけど冗談ではないんだ。事実だ。』
                                       
体の力が抜けていくのが分かる。受話器は手から滑り落ちた。
                                
『・・・レン君?ちょっと、聞いてるの?』
                                         
言葉が出ない。リントさんが何を言ってるのか分かんないや。
                                 
「はい。」
           
震える手で受話器を拾い上げる。
                                               
『それで、葬式の件なんだけど・・・』
                                        
葬式?あー、葬式ー葬式ねー。うん、分かった。
                                          
「・・・はい。」
     
『レン君、参加できる?一応、リンの彼氏だし・・・』
                                   
なぜか「一応」と言う言葉が胸に刺さる。
                                          
「はい、参加します。」
         
『うん、分かった。8月29日だよ。』
                                            
「はい、分かりました。」
  
『じゃあ、切るね。』
    
信じられない。リンは本当に死んだのか?いや、きっとこれはドッキリかなんかじゃないのか?
そうであってくれ。リンが死ぬはずがない。

そして、8月29日。葬儀場にて。
                                
「あの、リンちゃんがなんで・・・」                                                    
「明るくていい子だったのに・・・。」
                                            
親戚らしき人たちが暗い顔をしてそう言った。
ここにいるのは、リンの家族、親戚、友人、そして俺だ。
あぁ、リンは本当に死んでしまったのか。
                                       
皆がリンに花を手向ける。リンの死に顔はとても綺麗だった。
でも、生気は感じなかった。
俺もリンに花を手向けた。リンの頬を撫でる。あぁ、冷たい。
当たり前なのだ。でも、その当たり前はあまりにも残酷だった。
気づいたら泣いていた。
やっぱり、頭では理解していても実感できなかったんだなぁ。
                                     
「リン・・・。」
                                       
そしてリンは燃やされ壷に収められた。                                         
葬式が終わった後、俺はリントさんに呼び止められた。
                                    
「レン君、君へのプレゼントだ。」
                                              
リントさんの手には手紙。女の子らしい可愛い封筒のそれは遺書だった。
                               
「リンからだよ。」
     
リントさんは優しく微笑んだ。でも瞳は暗かった。
                                      
「ありがとうございます。」
 
俺はそう言って遺書を受け取った。
まだ開けられてない。
リントさんは立ち去る際に耳元でこう言った。                                         
「この人殺し。」
      
はい?今なんと?俺が人殺し?意味が分からないんですが。何で俺が・・・。
あ、俺人殺しじゃん。間接的に殺してね?
誰をだって?会話、状況からして鏡音リンですよね。
リン、ごめんね。ごめんなさい。
                                             
俺はその場に崩れ落ちた。                                                


おしまいおしまい。面白かったろ?あれから10年だ。早いもんだなぁ。
で、俺今どこにいると思う?
正解は、ビルの屋上でーす。なんでここにいるかって?
飛び降り自殺だよっ!言わせんな恥ずかしい!
そう言えば、遺書読んでなかったなぁ。
俺、臆病者すぎだろ。
俺は黄ばんだ封筒を開ける。                                                 
『鏡音レンさんへ                                                   

レン、レン、愛してるよ。大好き。私、何で死んじゃったんだろ?あはは。
レン、私のこと忘れちゃやだよ。
ねぇ死にたくないよ。ねぇ、分かる?分かる?
あー、ね!これでいいんだよねっ!ははは、あははははははははははは。ねぇ、レン愛してるよ。大好き大好きなの。愛してる愛してる。だからさ、ね?レンも愛して。           
                                       鏡音リンより』         

うん、俺も愛してるよ。だから今ここにいるんだ。リンごめんね。辛かったよな。俺、馬鹿だった。
リンは今も苦しんでるんだよな。リン、今解放するからね、待ってて。
                              
なんだか下が騒がしい。どうしたんだよ。まぁ、どうでもいいや。
俺は今終わるから邪魔しないでね。
俺は今から落下する所を見る。はは、まるで蟻みてぇ。俺も蟻になっちゃうんだよな。
いってきまーす。
          
俺はビルから飛び降りた。
  
(リンはきっと「おかえり」と言って微笑むだろう)
                                      
君にあったらまずただいまを言おうか。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

ただいま、今度こそ愛し合おうか。

意味は分かりましたか?

あー、レンが遺書を読んで女遊びをやめる方がよかったかなー。
まっ、いいか。
メッセにてそれぞれの答えをどうぞ!                            

設定

レン タラシ・馬鹿・ナルシ入ってる。
リン めちゃくちゃいい子。
リント リンのお兄様。レン大嫌い。レンを憎んでいる。        


ヒント 遺書(どこをどうどこまで読むかはさすがに教えられません)

答えが分かってもこの話の意味自体はあまり変わりません。
ゾクッとして頂けたら嬉しいです!/p^<いやん 

閲覧数:819

投稿日:2011/08/27 16:28:47

文字数:5,480文字

カテゴリ:小説

  • コメント3

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  • あきのき

    あきのき

    ご意見・ご感想

    初めまして、あきといいます!
    いや~・・・。なんというか深いですね。
    そして切ないっ!!
    レン!君にはリンちゃんというお嫁さんがいるんだかr((殴
    私には書けない感じの小説です。
    リンちゃんの遺言書って・・・。まさか・・まさかですよね←意味不

    素敵ですね・・!!ブクマ、ブクマ!!

    2011/09/02 22:02:02

    • なのこ

      なのこ

      初めまして、フォローありがとうございます!!
      深いように見えて浅いんですよ!ww
      せ、切ないだなんて・・・っ!ありがとうございますっ!
      そうだよ!!おい!ちょ、聞いてんのかYO!
      リンちゃんの遺書は・・・はい・・・まさかです・・・

      ブクマありがとうございます!

      2011/09/03 16:03:36

  • アストリア@生きてるよ

    「愛してる。だからさ、ね?レンも愛して。」

    ここかあああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!

    くっそ…何で本は2回は絶対読むのにテキストの方は一回で終わらせてしまうんだぁ…

    頭良いね、なのこさんは…

    レン!「いってきまーす」で済む話じゃないよ!死ぬのはリンちゃんが望んだことだから止めないけど!←
    「飛び降り自殺だよっ!言わせんな恥ずかしい!」
    どこがだああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!

    悪ノPね、謎解き…七つの大罪は最後のが出たら全部繋がる…はず。

    小説、漫画…全部持ってるんだけどなあ…ww

    あ、ブクマ報告でーすwww

    2011/09/01 18:38:46

    • なのこ

      なのこ

      そこもですぅううううううう!!!!!

      大丈夫です。私もたまにそうなりますから。
      あっ、頭良い!!?え、ちょ、タンマ!頭・・・頭・・・髪の毛のことですね!

      そうだ!!「いってきまーす」で済む話じゃないんだよ!!このやろっ!!
      首吊りも飛び降りもあまりして欲しくない死に方ですね・・・。


      小説第3弾早く出ないかなぁ・・・。

      ブクマありがとうございました!

      2011/09/02 07:32:53

  • アストリア@生きてるよ

    アストリアだす…

    ヤンデレか…
    リンもレンも可哀相だなぁ…
    やっべ悪いのはレンのはずなのにリントさん嫌いになっちゃう!

    私の解釈ですが、リンちゃんはレンが大好きで、色々遊んでいたことにも気づいてて、レンが嘘をつくのが許せなくて…
    「一緒に」って事ですか?あの遺言は。
    タイトルにも何かしらの意味が入ってますよね?「今度こそ愛し合おう」って。

    あっれ悪ノPの歌の謎解きやってるとおかしな方向に…深く考えすぎちゃう癖が…ぎゃあああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!

    だめだぁ……………………………………………………。

    2011/08/31 10:24:32

    • なのこ

      なのこ

      おぉ!!コメありがとうございます!

      リントは「レン氏ね」なはずですだから嫌いになっちゃうんです。

      リンちゃんは意外と鋭いですよw
      「許せなかった」と言うよりは「辛い」かな・・・?分からん←
      タイトルは特に意味はありません。オチがそんな感じだったので。
      レンが地獄(天国?)でリンに再開し、「ただいま」って言ってるだけです。
      生前の彼は馬鹿でしたからリンと愛し合えなかったんだと思います。
      リンちゃん死んで反省したのかなぁ。

      悪ノpの謎解き楽しいですよね!!!一回深く考えてみると頭が沈むという罠((







      遺書の「レン死ね」には気がつきましたか?(言っちゃらめなはずd(だって誰も気づいてくれないんだもん・・・。

      2011/08/31 15:39:20

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