大人たちの勝手な都合で、
ずっと一緒であったはずの私たちの未来は、
無残にも、二つに裂けた。

「亡くなった王さまが信頼されていた予見者さまの言葉だ。」
「それをないがしろにしては、先の王さまへの忠信が疑われても仕方のない事となるぞ。」

私たちのお父さまである、王さまが信頼していた臣下の一人が言った。

「さあリンさま、こちらへ。」
私は周りを見渡した。いつも一緒のはずのレンがいない。
「レンはどこへ行ったの?」
「レンさまは、もうリンさまとご一緒にはいられません。」
「予見者がそう、未来を告げたのです。」
私は相手をにらみつけた。
「うそよ!」
相手は恭しく返した。
「本当にございます。」
「じゃあ、予見のばあさまに会わせて!本当か聞いてみるから!」
「残念ながら、王さまのご病気の後、体調が優れないようで、お部屋から出てまいりませんので。」
「私がそこまで行くわ!案内して!」
「申し訳ありませんが、予見者の住まう部屋あたりは下層の召使などが住まうあたり。」
「そのような場所に、この国の君主となられる王女さまをご案内できません。」
頭を下げて恭しい態度をしながらも、
相手は私の言葉を何一つ聞き入れなかった。
「じゃ、レンはどこに行ったの?そこへ連れて行って。」
「・・・レンさまは、遠いところへ行かれました。」
「残念ですが、王さまのご信頼なさった予見者の言葉に従わねば、お国の安泰に影、が出来てしまうゆえ・・・」
「ご理解ください。」
「すべては、先の王さまも進められた道でございます。」

小さい私にその言葉のどれかでも、充分に理解できるわけはなかった。
ただただ、泣いて暴れて、部屋に軟禁状態にされた。


そして、しばらくした頃、おやつを持って現れた臣下の一人が私にこう言った。
「実はレンさまは近くにいらっしゃいます。」
「ただ、どうしても予見者の言葉に従うべきと唱えるものが多くおります。」
「もし、リンさまが星のご加護を受け、真実としてお国を安泰へ導けば、」
「レンさまもまた、その庇護の下におられることとなりましょう。」
「ただし、逆なれば、レンさまのお立場もきっと悪くなるでしょう。」

私はベッドの上で向こうを向いたまま、相手に言った。
「私がそのとおりにすれば、レンにまた会えるの?」
「お約束はしかねますが、私も何とかしてみましょう。」

こうして、私は国の君主となった。


やがては、

悪逆非道と呼ばれるこの国の。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
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悪ノ華  ~第四章 悪ノ娘reverse 2~

悪ノ娘、悪ノ召使、リグレットメッセージという曲を
書き手の勝手なイメージで二次創作したものです。

こちらは、個人の勝手な創造や捏造設定で書かれておりますので
実際の歌詞や、原曲者さまの裏設定とは違っております。
ご注意ください。

また、それぞれの歌に、ご自分でお持ちのイメージがあり
他のイメージを受け入れたくないという方は
どうぞ、ご自分のイメージこそ大切になさってください。
こちらのテキストなぞは、スルーしていってください。

※注意※
基本的に悲しいお話となります。
苦手な方は読むのは止めた方がよいかと思います。

閲覧数:215

投稿日:2009/08/02 22:25:45

文字数:1,031文字

カテゴリ:小説

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