彼の名前は、仮にKとしておこう。

彼は弟の友人である。今は高校1年生で、誕生日的に見れば15歳で、それはつまり私と10歳差だ。
つまり、私が10歳のときに生まれた赤ちゃんなのである。
ほにゃほにゃしてみんなに可愛がられてるときに、私はすでに小学校で分数の計算とかを習ってたはずだ。
それなのに、それなのにどうしてだろう。
たった15年の間に赤ちゃんだった彼は私の身長をかなり追い越し、私が解く気もない式を解いてしまうほどに成長した。
10年のリードがあったにも関わらず、私はまだあの頃のままで、彼はいつの間にか立派な男性へと成長していたのだ。

…といっても、彼の生い立ちを詳しく知っているわけではないけれどww

話を元にもどそう。
あれから電話で、私は軽くてんぱったというか、なんて答えたらいいのか分からなかった。
その焦りや緊張は、さすがに彼に伝わったらしい。
そして彼は、それを予想していたみたいだった。

『とりあえず、デートしたいですw』
「え?」
『俺はmさんのこと、色々と知っているけど。きっとmさんは俺のこと知らないですよね』
「えっと、それはまぁ…」

Kのことを知らないということよりも、私の何が知られているのかが気になる。
弟め、変なこと喋っていなければいいが。

『だから、デートしましょう。ちょうど見たい映画もあるし』
「何の映画?」
『マキュロス。俺も好きだし、L(弟の名を、仮にLとする)からも聞きました』
「あ、見たいかも」

なんというか、皆さん察しはついていると思うが。
私は、この歳でアニメが大好きな分類の人間にはいる。簡単に言えばオタクだ。
弟もどちらかというとそうだった。熱中しているほどまではいかないが、よく一緒にアニメを見たりする。

『今度の日曜日、どうですか?』
「あ、ごめん。日曜日はちょっと予定入ってる」
『まじっすか!?』
「土曜日なら大丈夫だけど、K君(ちなみにこの時苗字で呼んでいる)はどうかな?」
『えっと…ちょっと待ってください…』

正直、この時になって初めて疑念を抱いた。
日曜日が無理だと知った彼の反応が、あまりにも酷かった。
そしてふと、先週くらいにしつこく弟が「お姉ちゃんって日曜日予定あったっけ?」と聞いていたことも思い出す。
あのときは「別に」と、深く考えないで答えていた。
実際、予定が入ったのもこの電話をかける数時間前のことだ。
高校時代からの友人に、遊びに行こうと誘いのメールがきていた。
もしかしたらこれは、弟もつるんで何かの罰ゲームごっこみたいなことなのではないか。
よくある、某ファーストフード店で「スマイルください」って言う感じの。
それならきっと、日曜日のデートは弟達が尾行するはずである。
土曜日に変更ということはあり得ない。なぜなら、少なくとも弟はその日部活の練習試合があるはずだ。
どきどきしながら、黙ったままKの返事を待つ。

『あ、すみません…待たせちゃって』
「大丈夫だよ」
『土曜日、ですよね』
「うん」
『時間と待ち合わせ場所、どうしますか?』

あれ、弟いないけど大丈夫なの?\(^o^)/

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

年下の青色 その2

私:m
弟:L
彼:K

特に誰が誰という決まりはないので、ご自由に妄想してください。
そしてまだ続く予定です。

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投稿日:2009/12/27 19:29:52

文字数:1,303文字

カテゴリ:小説

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