『秘めた思いはいずこかに
     飛ばす願いは届くのか――』




悩みがあると、5年来共に付き合ってきた親友が言ってきた。
私は至って普通に引き受けた。内容の予想がついていたからだ。

「恋」についてだ。

彼女はどうも惚れやすい気質らしく、5年間の中で一目ぼれした人の数は
私が覚えている限りでは、15人はいっているだろうか。

毎度毎度、「今度こそ本気だ」と豪語し、私に好きな人のカッコよさなどを語ってくる。
そしてついに告白したかと思えば、1、2ヶ月ほどで破局してしまう。

その後、私にその人のここがダメだった、などとまた語る。
さすがに5年もそんなことをされると、最後の展開の予想など容易かった。

だから今回も、そう、だと思っていた。

まず、相手は同じ部活の先輩だということ。
煌く青い髪が「超素敵!」で、いつも部活後にアイスを食べるのだという。
事の始まりは、彼女が転びそうになった時、咄嗟に手を差し伸べてくれたらしい。
しかしそれと同時に彼の好物のアイスが落ちてしまったらしく、彼が泣き出したそうだ。
彼女は、彼の泣き顔に惚れたらしい。

次の日、お礼としてダッツアイスを大量に渡した所、満面の笑みを浮かべてくれたと。
そして、その笑顔にも惚れたと。


なんじゃそら。と正直に思った。
いつもどうでもいいようなことで、一目ぼれをしているらしいが…。
私はだんだん面倒臭くなってきて、話をまた今度にしようと打ち切った。
いや、ただ面倒だった訳ではないのかもしれない。

もう二年になるか。私はある人に恋をしている。
部活が違うため滅多に会えることは無いのだが、何故か好きになってしまった。
そういう、人を引き付ける魅力がその人にはあったのだと思う。
偶に廊下ですれ違う時、彼の周囲はいつも誰かがいた。

彼は…私が二年かけて見つめてきてわかったことは、アイスが大好きだってこと。
深い青色の髪と、青空のように透きとおった瞳。
私は彼女の話を聞いて、だんだん彼の事を言っているのかと思えてしまった。
いや、もう確信していたかもしれない。「彼」のことなのだと。

それでも私は自分自身を納得させたくて、彼女と彼の部活が終わるのを待った。
校門から少し離れた公園のベンチで何時間も待った。

ふと、薄暗くなってきた頃、私は見てしまった。
彼女と彼が楽しそうに話しているのを。

私が二年かけても手に入れられなかったその場所を。

目が熱かった。熱くて痛くて、喉が引っ込んでいく感じがした。
見ていたくなかった。気付かれないように駈けだす。

ぼろぼろと涙を零しながら、私は最も恥ずべきであろうことを考えてしまった。

裏切られた、と。

そんな風に考えなきゃ納得できなかった。
別に彼女が裏切った訳ではない。もちろん彼も。
しかし私の心はとても未熟で、自分の心を落ち着かせる術を持ち合わせていなかった。

気づいた時には自分の部屋で、枕にシミができていた。
帰ってからも泣き続け、いつのまにか寝てしまったのだろう。

重く痒い瞼を擦り、暗闇で明滅している携帯を手に取る。
着信とメールがいくつか。

いやな予感がした。答えはわかりきっている。

携帯を開くと、何件かの着信と、数十件のメール。

返信しないと怒られるし…。

言い訳みたいに呟いて、私は受信ボックスを開いた。
件名は『今日例の人と帰ってきたの!凄いでしょ??』。
瞬間、携帯を投げ飛ばしそうになるのを堪えた。
メールの内容はほとんど同じようなことしか書かれていない。

私は絶望した。

明日学校に行ったらこんな話を延々と聞くのかと。
私の好きな人の、魅力をまるで自分の物のように語るであろう彼女の話を。

そんな拷問を。



もう何日だろうか。
私はすっかり不登校になっていた。
怖かった。
あの二人が仲良くなっているところを見るのが。

彼女から毎日、雨のように連絡が来るがすべて返信していない。
家にも何度も来たが、一回も出なかった。
我ながらなんてくだらないことを…と思っていてもどうしようもなかった。

私はたくさんの流れから離れ、一つの場所から動けないでいた。

私は彼女からのメールの内容で彼と破局するのは何時だろうかと待ち構えていた。
しかし、告白はしてないものの、最近は毎日一緒に帰るのだと書いてあった。

私はとうとう、携帯をクローゼットの奥に仕舞い込んだ。
電源を消し、電池パックを抜いて。
傍から見たら私を正常だと思う者はいないだろう。

もう何も見たくない。
もう何も聞きたくない。
もう何も感じたくない。


虚ろげにベッドに身を投げ出し、視界に映ったのはぬいぐるみだった。
机の上の方に飾ってある、テディベアのぬいぐるみ。
これは誰にもらったんだっけ。
何故私はぬいぐるみを飾ったのだろう。

本々やることなどなかったからか。そのぬいぐるみを手にとってみた。
すっかり埃を被っているが、薄汚れてはいない。
しかし、左目が無く、右腕と尻尾が取れかかっている。

私は縫い合わせようと、裁縫道具を探したが学校に置き放しだったことを思い出す。

途方に暮れ、椅子に座る。
なんだか一つのことに没頭したい。

私はこのテディベアが自分の心に見えてきた。
思いが積もって、でもどんどん痛んでいく。

直そう。

私は何も考えないようにして外出の支度をする。
久し振りで少し手間取ったけど、なんとかできた。

父の静止を言う声がした、だがそれでも急いで扉に向かった。

変えられない日常と思うなら自分でぶっ壊してみればいい。
これが、まず最初の壁。変えてみよう。行動してみよう。

扉を開ける。天気は晴天。時刻は午後三時過ぎ。
ひとつの目的は、この子を直すこと。
ひとつの目的は、心の進むを道を探すこと。

「いってきます」


ライセンス

  • 非営利目的に限ります

日常を、ぶっ壊せ。 -Lin:Side-

やっぱ女の子は恋だよね。
クラスメイトの実体験を元に書いてみた。まさか一日でかけるとは思わなかった。

ここで補足を。
リンとレンは双子ということになっていますが、幼少時両親の離婚などで別々に暮らしています。
今では互いのことをすっかり…とまぁこれくらいで。

さて、ぶっ壊せ。なんていうからには、最後にはぶっ壊そうと思います。

日常をね。いや当たり前をかな?(曖昧

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閲覧数:196

投稿日:2009/09/03 17:18:06

文字数:2,420文字

カテゴリ:小説

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  • yu_lei

    yu_lei

    ご意見・ご感想

    リンはもう既にこの時点で日常をぶっ壊してる気が・・・。
    これ以上どうぶっ壊すというのか。先が見えそうで見えませんね。

    次作を楽しみにしてます!

    2009/09/05 03:09:19

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