第四十五話 彼女の明日

 お依亜さんから、少しずつぬくもりが消えていく。
それを私は見守るしかできない。

 できるだけ苦しまず、楽に。
それが私がしてあげられる、ただ一つのこと。


 「馬鹿だと思うでしょう……?」


 こんなときでも、お依亜さんは笑っていた。
悲しそうに笑っていた。


 「でも、あの人もあなたも、それを望んでいるはず……」


 いいえ。
それはわからないわ。

 だってこの気持ちが何なのか、私にさえ分からないというのに。


 「嘘はつかないで……」


 嘘なんて付いていないわ。

 そうでしょう。
ねえ、答えて。


 「本当に、あなたは馬鹿ね……。あの人もだけれど」


 そう?
本当にそう思うの?


 「私も……だけれど……。」


 お依亜さんも?


 「こんな状況に、自分からなっておいて。己がしておいて、己が望んでおいて――」


 










 「――まだ、明日が来ると思ってるの―――」


















 彼女は、静かに瞳を閉じた。










ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
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ノンブラッディ

閲覧数:132

投稿日:2013/03/22 08:46:04

文字数:472文字

カテゴリ:小説

  • コメント3

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  • ハル

    ハル

    ご意見・ご感想

    ・・シリアスゥ

    2013/03/23 19:51:49

    • イズミ草

      イズミ草

      はい、私の真骨頂です。

      2013/03/23 22:02:21

  • Seagle0402

    Seagle0402

    ご意見・ご感想

    殺しちゃいましたか……イアちゃん(さん?)すごい人だったのに…←うまく言えません
    ルカさんは、若旦那とどうなるんでしょうか?イアちゃんとうまく入れ替われるのかなぁ。

    今まで読んではいたのですが、コメントしてなかったですね(汗)

    2013/03/23 10:11:23

    • イズミ草

      イズミ草

      そうなんです……。
      すごい人でしたね、確かに。
      でも、でも……こうするしかなかったんです……。

      2013/03/23 10:18:22

  • しるる

    しるる

    ご意見・ご感想

    あぁ……手にかけてしまって
    でも、その後、同じ手でリンちゃんの面倒をみていくわけで……

    2013/03/23 00:12:48

    • イズミ草

      イズミ草

      そうなんです……
      人生というものは、残酷なのです……

      2013/03/23 08:55:14

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