機材と掃除用具をワゴンに乗せて運んでいる途中、ついつい愚痴が零れた。

「それにしてもこのゲーム案って誰が考えてるんだろうね?社長じゃないんでしょ?」
「みたいだねぇ。」
「面倒って言うか、馬鹿って言うか、まぁ、偉い人の考える事はよく判んない。」
「でも結構楽しく…。」
「アリエッタ――――――――――!!!」
「やかま…しいっ!!」
「ゴファッ?!」

気が付けばモップでラリアットをかましていた。ドップラー効果引き連れて『アリエッタ』と絶叫する様な馬鹿は記憶する限り一人。

「シャルさん、大丈夫ですか?!もぉ、ディー酷いよ、せめて手でやろうよ。」
「触りたくないっ!バカヲタが感染る!」
「むしろ感染れ。」
「黙れ馬鹿。」

香澄は昔から大人しくて人見知りで、よく私の後ろの隠れてた。近所のいじめっ子や、大きな犬から庇った事もあった。いつも一緒だった、何処へ行くにも、何をするにも、私達は一緒だった、何でも2人で半分こして来た。

「と、そんな事より、アリエッタ、頼みが!課題の…!」
「あ、私今回Jokerでお手伝いは出来ません。」
「………………………棄権して来る。」
「あああ~待って、待って下さ~い!ダメですよ棄権なんて!」
「けどなぁ…意欲が…。」
「頑張ってください!何なら私、アリエッタの衣装で応援しますから。」
「それは…アリだな。」

どうしてこんなにイライラするんだろう?取り敢えずコイツの非常識な程の馬鹿っぷりが頭には来てると思う。何回言っても香澄を『アリエッタ』って呼んでるし。こーゆーのって何て言うんだっけ?二次混?こんな変態香澄の側に置いといたら絶対危険よね。駆除しないと!

「ダムをおかしな路線に引き込まないでよ!」
「だからモップで殴るな!」
「どうしたの?ディー…何か怒ってる?」

怒ってる?私怒ってるの?そうかも知れない、ずっと一緒に居た香澄がおかしな方向へ引っ張られてるから…そのせいに決まってる。

「あれ?ラビット何してんだ?そんな影に隠れて。」
「…修羅場かと…。」
「ほら、ディーがモップなんか振り回すから…。ラビット様、大丈夫ですよ。」
「……………………。」
「ん?どした?」
「あの…課題…。」
「課題?」
「その…だ、誰も居ないなら…頼もうかと思って…。お前だったらゲルニカも
 懐いてるし…。」

顔を少し赤くしてラビットが俯きながら話していた。この子と言い、花壇と言い、香澄と言い、大人しくて、可愛くて、素直で…やっぱり皆こう言う子が良いって思うんだろうな。何か目の前に壁が見えるみたい、私にはどうやっても越えられない壁が…。

「良いよ、俺で良いなら。」
「本当?!本当か?!うんざりとかしてないか?!」
「してないよ、何、うんざりって。」
「ねぇ、ディー、サポートに付いたらどうかな?メイクとかも判るし…。」
「…やらない。」
「え?」
「このバカヲタには関わりたくないの!」
「あっ…ディー?!」

いつも一緒だった、何処へ行くにも、何をするにも、私達は一緒だった、何でも2人で半分こして来た。

「…一緒とか…絶対認めない…絶対違う!…あんな奴…。」

じゃあ分けられない物はどうなるんだろう…。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

DollsGame-91.枝垂桜-

ぶった斬れ

閲覧数:183

投稿日:2010/08/27 09:42:35

文字数:1,337文字

カテゴリ:小説

  • コメント1

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  • 帝唖

    帝唖

    ご意見・ご感想

    ツンヾ(゜д゜*三*゜д゜)ノデレ!

    2010/08/27 18:20:27

    • 安酉鵺

      安酉鵺

      (●口●´)違う!デレてないから「素直じゃないっ子」だ!

      2010/08/27 20:22:20

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