雑貨店「つんでれ」の近くにある、テッドさんの事務所「重音舎」(かさねしゃ)。
テトさん、デフォ子さん、テッドさんの3人が机を囲んで話をしていた。
「だいじょうぶ、ウタちゃんならできるって」
「そうかな」
デフォ子さんは、テトさんのことばに頬を赤くしてうなずいた。
ちなみにウタとは、デフォ子さんの本名だ。
さっきまで、ここに3人のお客さんが来ていた。
1人は、ゼロジー文具のソニカさん。
先ごろ、ゼロジー文具から発売した「ミク・ドール」のデザインの文具が、若い女の子たちに大人気になっている。
毎日、1日に何人も、「この柄のぬいぐるみは、どこで買えますか」という問い合わせが、ソニカさんのもとに来ているのだ。
テトさんと、デフォ子さんが作った「ミク・ドール」の人形の柄は、いくつかのバリエーションがある。
デフォ子さんのデザインのうち、黒い色にデザインした「クロミク」が、ダントツに売り上げを伸ばしているそうだ。
●クロミク・ドール誕生
この「クロミク」をもとに、くらしの雑貨を作らせてほしいというのが、
さっきのもう1人のお客さん、「ルートート」社だ。
相談を受けたソニカさんが、一緒にテトさんたちのところにやってきた。
「ウタちゃんの描いたクロミクを、ブランド化したい、ってね」
テトさんが、さっきルートート社の人が持ってきた企画書を見て言う。
「すごいじゃん、ウタちゃん」
テッドさんが、メガネを押さえて言った。
「うん、でも、あたしにできるかなぁ」
デフォ子さんが、ちょっと心配げに言う。
そこにルコ坊が、3人にコーヒーを持ってきてくれた。
「ブランド化っって、なに?」
「新しくクロミク・ドールのイラストを描いて、それをトートバッグとかティッシュケースとか、いろんな生活雑貨にするんだって」
テッドさんが、ルコちゃんに教える。
「へぇ、すごーい」
「そうすると、ブランドだから、ブランド管理が必要なんだよ」
「ブランド?」
ルコ坊が聞きかえす。
テッドさんが説明する。
「ウタちゃんがイラストやデザインをして、テトさんが素材や商品化のイメージのマッチングをして、それが、くらしのグッズになるんだ」
「うん」
「でも、そのクロミク・ドールというキャラクターのアイデアは、ウタちゃんやテトさんたちのものなんだ。だから、それをしっかり守ったり、いろんな人に“使っていいですよ”と許したりする」
「そうなの」
「それをここ、重音舎でするんだよ」
●みんなでブランドを作る!
テッドさんの事務所の「重音舎」は、彼の絵本のキャラクターのライセンス管理や、ブランドの管理もやっている。
「ね、そのクロミクは、トートバッグやケースのほかに、何かになるの?」
ルコ坊が聞く。
「うん、ゆくゆくは絵本とかにも、したいっていうの。さっきの出版社の人が話していた」
さきほど来た、3人目のお客は、「グーグレ出版」の企画担当の人だったのだ。
「なんだか、すごいことになっちゃったな。あたしなんかでできるかな」
デフォ子さんは顔を赤らめながらも、ちょっと固くなっていう。
「だいじょうぶ、大丈夫!どんと行こうよ、ウタちゃん。みんなで“クロミク”、盛り上げていこうよ」
「そうだよ」
テッドさんも励ます。
ルコ坊は、活気あふれるみんなの顔を見て思った。
ブランド、か...。みんな、張り切ってるなあ。
「みんな、ガンバってね。でも、アタシだってできるんだよ」
「ん?なにを?」
ルコ坊はニコニコしながら、キッチンのほうに向かっった。
「新しいの淹れてくるね。アタシのコーヒー・ブランド」
ちょっと考えて、テッドさんは笑った。
「そんなギャグ言うなんて、おじさんのお株うばったな」
コーヒー・ブランド...ブレンド、ね( ´,_ゝ`)
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