　煤けた羽ひろげた天使が　今日もどこかで嗤（わら）う
　ただ儚く消えゆく生命（いのち）を　じっと見下ろしながら

跪いたまま　見上げる空
あなたを連れ去る飛行機雲
永遠に変わらないと思っていた日々を
何も言わずに引き裂いた

吹き消されるべき蝋燭なら
いくらでも　他にあったはずなのに　どうして
それが　あなただったんだろう
いっそ　私ならよかったのに

　白い羽をひろげた天使を　今日も探してしまう
　願いはまた空しく消え失せ　私はひとり

目覚めても続く　悪夢（ゆめ）の中に
この祈り　聞いてくれる聖者がいるのなら
どうか　私に教えてよ
あなたを返してほしいから

　誰のことも救ってくれない　そんなカミサマなんて
　いなくても同じでしょ？　私が殺してあげる

　それでもまた私は　天使を今日も探してしまう
　すべては　ただ儚く消え失せ　そして　あなたはいない
　誰も　ここにはいない

　どこにもいない
　