~第六幕~ 裏切りの使者
俺は紫の国から来た者。
この黄色の国を滅ぼすためにやってきた。
よし、この国の王女を「悪の娘」に仕立て上げよう。
絢爛豪華な貢物。
俺は王女に甘い誘惑をささやく。
「貴女は王女なのだから。我慢しなくていい。」と。
「お金が足りないなら奪いなさい。」
「反逆者には罰を与えなさい。」
「口うるさい他者の戯言はお聞きにならぬよう。」
「貴女は王女なのだから。」と俺は言い続けた。
まだ王女は幼かったため簡単に言うことを聞かせられる。
幼い王女。
純粋な王女は簡単に悪の道へと導き、
争いのきっかけとなる種をまく。
哀れ、十四で散る命。
「嗚呼、おろかな娘よ。」
たちまち王女のお気に入り。
位を上げてもらい、俺は大臣へ。
そして相談役も命じられた。
青の王子の恋を知りながら、俺は王女に青の王子の浮名を教える。
けれども時は経ち、王女のお気に入りは新入り召使。
召使は王女の弟。
王女は弟がお気に入り。
もしもの時のために手をうっておいてよかった。
王女が幼かったころに、
「王女様、これから言うことは必ず守ってくださいね。」
「えぇ。」
「貴女の弟様のことはもう、話してはいけません。これは私とのお約束です。」
「どうして?」
「お城の禁則だからです。」
もちろん、そんな禁則などはない。
だが、あの召使が、計画の邪魔をせぬよう、静かに見張っていようではないか。
青の王子の恋を知った王女は、嫉妬に狂う。
最後の決断は
「緑の国を滅ぼせ。」
と。
あの召使が俺の元にやってきて兵士を貸してほしいと言いに来た。
「もちろんいいぞ。だがなぜだ?」
「・・・王女様のご命令です。」
王女は夜空を見上げている。
俺は後ろからそっと近づいて、
「王女様、お茶にしましょう。」
王女はなぜか顔を拭いてから振り向いて
「あら、がくぽ。珍しいわね。」
「いえ、王女様が悲しそうに夜空を見ていましたので。どうかしました?私に話せることですか?」
王女様は大きく首を振る。
「そうですか。そういえば、あの召使がたくさんの兵士を貸してくれと頼みに来ましたが、何かご命令でも?」
「え!?」
「はい?」
「レンに兵士を貸したの?」
「えぇ・・」
「なんてことをしてくれるのよ!がくぽはこの城から出てゆきなさい!」
王女は大声で叫ぶ。
これも計算のうちだ。
俺はさっさと城を後にする。
悪の使者は王女を導いて、破滅の苗を育てる。
散ると知って、嗚呼いとおしい。
いとしいおろかな王女様。
筋書きどうりに赤い鎧の女剣士が立ち上がる。
俺は怒りに狂う民衆に異国の武器を貸し与え、わが国からの増員もつれてきた。
怒りと悲しみを注ぎ込み、ついに花咲く革命のバラ。
ついに王女は囚われた。
民衆は歓声をあげる中、一人背を向け立つ男。
俺は眉をひそめた。
「王女は何処に?」
悪の使者は面を上げ王女の姿を探す。
紫の者の中で俺だけが双子の違いを見分けられた。
あの召使。最後の最後で邪魔をした。
ならば俺は、王女を
苦しめず、
見せ物にせず、
せめてこの手で終わらせよう。
異国の使者の俺は刀を片手に、一人路地裏を歩きながらい思う。
ついに見つけた我が王女。
終わりを告げる鐘が鳴る。
赤と青が剣を振り下ろしたとほぼ同時に我が王女はしゃがみこむ。
?
どういうことだろう?
俺も涙を流していた。
俺が導いたのは、
国の女王か?
それとも己の愛なのか?
裏切りの使者、がくぽは、
国の王女をだますだけでなく、
自分自身もだまされていたのです。
最後に「白の娘」を見てみましょう。
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