「そいやああぁぁぁぁああああ!!!!」



――――――――――雪合戦。



「ほっ」



-―――――――――雪玉を投げ合うだけの楽しい遊び。



「どりゃああああああああああああ!!!」





―――――――――――――――のはずが。





いつの間にかカーブやスライダーやシンカーやシュートやナックルの乱れ飛ぶ超次元戦場へと変貌していた。



……って待て待て待て待て!!!!


「ちずさんっ!!?」

「はい? なんですかー?」

「なんだそりゃ!? 雪玉でなぜそんな超変化球を投げられるっ!!?」

「うちのボカロ達と遊んでるうちになんかできるようになりました!」

「カオス!!」


そんな理由でそんな超必殺球投げられるようにならんよ普通。

……って、迂闊に止まってると酷い目に合う。


「ハッハッハァ!! 喰らうがいいです、私の『曲がる魔球《カーブ》』をっ!!」


ちずさんの投げた雪玉が鋭く曲がり、俺の顔面向かって斬りかかってくる。


「うおっあぶねっ!!」


間一髪回避。後ろの雪が鋭くえぐれる。こえー。


「もー、当たってくださいよー!! 雪だるま作れないじゃないですかー」

「人を何だと思っている小娘が!! そんなもんはどこぞのヘタレ裁判官にでも投げつけとけ!!」


って、そしたら雪りんごさんがゆるりーさんからカイトを借りれなくなるからやめとくか。



「やってるねー」


ふと玄関の方から声がして振り向くと、どっぐちゃんが3人の人影を連れて現れた。


……げげっ。


「Turndogさーん!」

「やっほー、Turndog-!!」

「結構積もってるわねぇ……」



――――――――――ミク、グミ、メイコ。


すげぇー助っ人を連れて来たなぁー。死んでしまう。


「ちずさーん、どーよ、この3人助っ人でやってみない?」

「……ルカさんは?」

「あ……」


しまったという顔をするどっぐちゃん。

現在ルカさんはリンとレンとカイトを連れて黒毛和牛サーロインを食べに行っているが、その事情を知らないちずさんにとってはただ単にルカさんが来ないという事実しか見えない。


「えっと、ルカさんはちょいと所用で来れないって……」

「そっかー……うーんなんかちょっと冷めちゃったなぁ……」


テンションの上がり下がりがすごくわかりやすいですねうん。

と、その背後から。


「遅れてすみませ~ん!」


雪に足を取られながらイズミさんが走ってきた。

それを見てティンと来たのか、ちずさんがイズミさんの元に駆け寄る。


「あの、私冷えちゃったんでちょっと休んでます! 交代しません?」

「ほぇ? いいですよ!」


快く承諾したイズミさんは俺とメイコたちとをちらちらと見比べて―――――


「……す、すみませんターンドッグさん、こっちについていいですか?」


申し訳なさそうに、しかし迷わずメイコたちの後ろへと。

正しい判断だと思います、7割ぐらい。イズミさんの安全を考えれば正しい判断でしょう。





だがあえて言おう―――――今の俺、死亡フラグ絶賛建築中じゃね?


「おっし、じゃあちょいとハンデ戦過ぎるけど……Turndog、これでいいわね?」


メイコの確認の声が飛んだ。ええ、優しいTurndogさんでございますもの、大切な仲間であるイズミさんの安全を第一に考えましょう。





――――――――――メイコ・ミク・グミ・どっぐちゃん・イズミさんの破壊連合軍+保護されたお姫様VS――――――――――俺。










…………………………\(^0^)/…………………………










10分後。


「あれ? Turndogどこ行った?」

「逃げたんじゃない?」

「えー、Turndogはそんな人じゃないと思うよー」

「グミちゃん優しいねぇ」

「他の皆がちょっと酷すぎるんじゃない? Turndogは何も悪くない!」

「あんた天使ね」

「全くね。あんたがヴォカロ町の存在じゃなかったら、Turndog今頃惚れてるんじゃないかしら?」

「ルカちゃんもいるしそれはないんじゃないかなぁ。私も他に気になる人いるし……♪」

「爆弾発言ktkr!!」

「よっしゃ、その話とこの一面の雪を酒の肴に一杯やりましょうか!」



「あ……あの~……」



『『うん??』』





「いつまでもコントしてないでTurndogさん助けてあげましょうよ――――――――――――――!!!?」





イズミさん、あんたがこの場で一番の天使だ。惚れていいですか。


ヴォカロ町きっての戦闘軍団withどっぐちゃんの猛攻により、俺は巨大な雪だるまの下敷きになっていた。ちずさんが20分かけてもできなかったことを10分で成し遂げるあたりなんというかもう笑えてくるね。


何が起こったかというとこうだ。

まずどっぐちゃんとミクが高速の雪弾を俺の周囲に機銃掃射の様にばらまいて俺の動きを封じた。

その間にメイコが作り上げていた直径3mの巨大雪玉を地上20mから投擲。グミが音波で玉の底面と地面の雪をふわふわの状態に仕上げるという圧死防止措置を取っていたが、それでも雪玉は俺を身動きできなくなるまで雪の中に埋もれさせた―――――もとい押しつぶした。

そして更にその上からグミが同じく機銃掃射中に作成していた直径1.5mの巨大雪玉をたたき込んで、ちょいちょいとデコレーション。因みにイズミさんはこのデコレーションを考えただけであとはずっと後ろで鎮座状態らしい。


結果。





Turndogのスノーマン式圧砕アートの完成―☆










……………助けて。





自分の考えたVOCALOID達が、戦術に長けた最高の戦士たちであったことを確認し、嬉しくもあり哀しくもあった俺でしたとさ。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

dogとどっぐとヴォカロ町!Part12-3~芸術的な戦術式雪合戦~

雪合戦も突き詰めれば敵を殲滅する武器になります(えっ
こんにちはTurndogです。

まぁこの人たちならこれぐらいやるよね!
この人たちの方に混ざったらイズミさんやることないよね!www
そんなわけで後ろの方でポカーンとしてるイズミさんの前では音速の雪合戦が展開されているわけですよ。
多分ちずさんが作ってた雪だるまはこれをモチーフにしたんでしょう。
まぁそんなんどうでもいいから助けてください←

※この後メイコとグミちゃんはホントに日本酒呑みながら恋バナを始めてしまい、結局飲めないミクとどっぐちゃん、後イズミさんがTurndogを救出しましたとさ。
とりあえずグミちゃんその話についてkwsk。

※※この話はゆるりーさんの『Winter scenery【かなりあ荘】(http://piapro.jp/t/4BHU)』と『【かなりあ荘】こたつむり(http://piapro.jp/t/TNy5)』の間の話です。

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投稿日:2014/03/05 22:39:20

文字数:2,467文字

カテゴリ:小説

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