夏風が、窓を優しくノックする。
私はその窓を開けてみると、何処からか迷い込んだ鳥の声が聞こえる。
私は、読みかけの本を置き、
「何処から来たんだい?」
と、笑った。
午後三時。
案外シンプルな世界でいう、おやつの時間。
私は、心にも“目隠し”した。
【想像フォレスト】イアとドラマと「JOYSOUND石化中」【原曲者に謝れ】
「イア、ちょっといい?」
急に呼び止められ、私は嫌々───いや、笑顔で振り向いた。
「マスター?どうしたんですか?」
「うん。ちょっとしたお知らせがあるのよ」
───チッ、こっちはさっさと家帰ってレンきゅんのDVD見ようと思ってたのに!
「そのお知らせとは?」
「ドラマのオファーが来たの!しかも主役よ!」
「!」
「これでイアのファンは更に増えるわね♪」
───あんなキモイ奴が更に増えても困るんですけど。レンきゅんみたいな可愛い子はいないわけ?
「そうですね。私も嬉しいですっ」
「そうよね!それじゃあ打ち合わせの日は──────────」
***
マスターから打ち合わせの日などを聞くと、私は時速120㌔(自分でも信じられないくらい速かった)で帰宅し、レンきゅんのDVDを見た。
何?悪いの?私だってドラマのお仕事は嬉しいけど、それとこれとは別なのよ!!
*
「はぁ……可愛い、可愛すぐるよレンきゅん!どうしてアナタはレンきゅんなの?←」
*
「レンきゅんのウィンク……くそ、あそこの観客呪ってやる………」(^言^)
*
「あぁ…マジカルぬこレンレン………レンきゅんの裸美味しそー」
*
「うぅ…悪ノ召使、涙線崩壊……」・*:.。. (ノ´ω`・。)・*:.。.
「でもRR娘より私を守って欲しいゎー」
*
「くそ!液晶邪魔だァ!!!」
*
***
で、打ち合わせの日─────。
「こんにちゎ~!初音ミクでぇ~す。今日はよろしくお願いしまぁ~す」
げ。こいつ、新人潰しに定評のある初音ミクじゃん!
「あ、あの……どうしてミク≪様≫がこちらに…?」
「へ?アナタのマスターから聞かなかったの?私がこのドラマの監督を務めるんだょ!」
「は、はぁ…」
うわー。絶対最悪な作品できるじゃん。マジ最悪。クソ最悪。
「と、いうことでぇー、打ち合わせ始めまぁーす!」
*
元々、このお話は某曲(「想像」と「フォレスト」をくっつけた曲名)を元に作られたドラマで、『感動モノ』を『笑いモノ』に変えたいという、ネギ娘のなんとも我侭な提案から生まれたのだった。
ドラマの名前は「JOYSOUND石化中」。
ネギ娘によると、「JOYSOUND侵略」という夢を見るメデューサが、ある男の子と出会ったのをきっかけにJOYSOUNDを侵略し、さらに世界侵略までしてしまうという、なんともクソなストーリーだった。
因みに私はそのメデューサ役で、男の子は見知らぬ子だった。──レンきゅんだったらいいのに。
こうして、ドラマの収録が始まった。
***************
「よーい、アクション!」
++++++++++
カメラが町外れの森の中を撮る。
次に人目につかない家(という設定)を撮り、やがて窓辺に座る私を撮った。
私は独り言のように呟く。
『あーぁ…JOY侵略したいな……』
私は読みかけの本を置く。
そして本棚に手をし、決まりどおりに何冊か奥に押していく。
そして………
- ゴゴゴゴゴゴゴ…… -
本棚がスライド状に開き、視界に“秘密基地”が広がる。
そう、これはJOY侵略の為の“秘密基地”なのである。
+
JOY侵略の方法はとても簡単である。
それは「石化させること」。
私は昔、“目を合わせると石になってしまう”と、両親から聞いた。
その時はショックしかしなかったが、今となってはこの力が必要不可欠なのだ。
『ふふふ…』
私は不敵な笑みを浮かべる。
『待ってろJOY。いつかお前らをこのフォレス子様の手によって石にしてやろうじゃねーかァ!』
「オーホッホッホ。さぁ、跪きなさい!」と言っても違和感のないぐらいのヤンキーオーラを出させる。
ふふ、どうよ!私の演技力は!!
+
JOYが石化している想像をして、外を眺めていた。
私は口元がちょっとニヤッてしそうなとき、
『郵便でーす』と、喋り声が聞こえてきた。
私はドテッっと大胆に転んだ。
いや、転ぶでしょ!だってあそこアドリブなんだよ!カメラなかったらお腹抱えて笑えるほどウケるじゃんか!?
その時─────
『ダイジョブダイジョブ?』
─────ドアが、実に簡単に開けたのだった。
++++++++++
「はい、カーーット!お疲れ様でしたぁー!」
……なんとか無事終わったようだ。
さすがの私でもとっても疲れた。家帰ったら例のDVD見ようっと。
「イアさん、よかったょー!」
ネギ娘が私に話しかける。
もちろん私は疲れていないような笑顔を向け、
「はい!こんな素晴らしいドラマに出させていただいて、とっても良かったです!さすがは『伝説の初音ミク』だけありますね!」
「もぅ~、お世辞はやめてょ~」
───お世辞以外に何がある。
「お世辞なんかじゃありませんよ~」
「あははー…それじゃあ、行きますか」
「?行きますって…何処に?……あの世?」
「いやいやいや、あの世なわけないから」
───なぁんだ、ネギ娘だけあの世逝けばよかったのにぃ
「打・ち・上・げ・だょ!」
「…はい?」
「もぉー、収録終わったら打ち上げ。これ、常識だょ?」
「……」
「ネギ鍋が美味しいお店に予約を取ってあるから、それじゃあさっそく行k─────」
「すみません!私今日はパスさせていただきます!!!」
私はそう叫び、収録スタジオを飛び出した。
その際、ネギ娘は私の絶叫に思わず頭からひっくり返っていた。
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