「ようこそ。不思議の館へ」
不意に声をかけられて村娘は後ろを振り返る。
「どうしましたか?
何か驚くことでも?」
そこには少女がいた。否、少女ではない。人形だった。人形は黄色い髪をしていた。少女だった。少なくとも、最初から少女でなく人形と言い切る人間はそう居ないだろう。
「どうしました……?
別にその椅子におすわりになってくれてもいいんですが?
それとも何か用事でも? ああ、トイレならその廊下の突き当たりだよ」
少女人形の隣にはその生き写しとでも言わんばかりにそっくりな少年――いや、やはり人形であった――が立っていた。
「いや。大丈夫。心配してくれてありがとう。
……ところで、ほかの人間ってどこにいるのかしら?」
村娘は不思議に思って尋ねた。
≪Bad ∞ End ∞ Night No.02【自己解釈】≫
「あれー。ご主人様まだいないのー?
……がくぽに言われてきたからいいけど、誰もいないじゃん!」
その雰囲気をまさにぶち壊す声が洋館の一室に響いた。その声は、メイドから発せられたものだった。淡い緑の髪が彼女の性格を表しているようにも見えた。
「なんだー。グミもきたのかー。
……がくぽならここにはいないけど?」
少年人形はケタケタと笑いながら、言う。
「えっ?! まじでっ?!
やだー。がくぽに騙されたのかしら……」
「がくぽはいないけど、客人なら……」
少女人形のつぶやきに、メイドは村娘の方に目を向ける。
すると、まるで猫を被ったように表情を変え、
「ようこそ。不思議の館へ。
さぁ、お茶を召し上がれ♪」
メイドは気前良くどこからか取り出したティーカップと小皿を机の上におき、お茶を注いだ。
「ありがと……」
村娘は不審に思いながらも(実際には「この人めんどくさいから関わんないほうがいいや」的な雰囲気を醸し出そうとして――本人にバレそうだからやめただけなのだが)、一口お茶をすする。
「ようこそ。私がこの家の主人です。
どうしましたか? まあ、もう夜も遅いですし、『値踏み』をして……」
突然、青いマフラーをした男が話しかけてきた。主人は唐突にそう言ったので、村娘は尋ねた。
「あの……『値踏み』って?」
「ああ。別にそう慌てることではありませんよ。
宴をするというか、私たちが一見するというか……。
ともかく明確には決まってませんから」
村娘は主人の説明をどことなく聞いていた。
つづく。
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