吹きすさぶ風の中に薫る
春の便りは、窓から流れ込んで来て。
怠惰な午後の憂いを溶かし、
ささやかな幸福へと変え
また消えた。

あなたの面影は、
凍える夜とうだる暑さの狭間にて
確かに見えてるのに、
声も手も届かない。

どうして何も言わずに
行ってしまうの、
雨が散らす花と共に。
気象予報、夏日連なる。
「返して、返して」
萌ゆる、淡い暖かい陽を。

翌日の朝は憎いほど暑く、
青く高い空だった。


融雪という指標を持たぬ
この都市においては、
曖昧の合間を穏やかな季節が
通り抜け、
気付いた時にその姿は
既に遠くなっている。
そうしてやがて、
春は完全に消えてしまうのだろうか。

もしも引き留める事ができるのなら、
その姿を捉える事ができるのなら。
あなたが投錨した後の一日一日を
大切に過ごしていきたいんだ。

記憶のスケッチブックに色を塗ろう、
鮮やかな花々と晴れ空で。
最後のページまで周期は続く。
そうすれば、
あなたを失う事はないんだ。
きっと!

(春の陽の光は
穏やかに街を照らす。
満たされぬ日々も、
ささやかな幸福も。
そんな時を愛しているから
惜しく思うよ。
だけど見送るよ。
だけどまた戻って来てよ。)

永遠は無い、ない
いつかあなたも僕も
消えてしまう
季節は境界を無くし
無機質が星を覆う
風も光も止んでしまう
そんな未来は
行きたくないよ
あなたを連れて行きたいよ

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

春を見送る

ボカコレ2022春ルーキー参加曲その2。動画には載ってないシンガロングパートの歌詞ものってます

閲覧数:153

投稿日:2022/04/24 02:04:16

文字数:603文字

カテゴリ:歌詞

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