A1
小鳥の振りをして
しのび込むの
蔓薔薇絡みつく
白いアーチ抜けて

始まる黄昏と胸の鼓動
急いで駆けてゆく
社交辞令は投げ捨てて
鍵をかけて

B1
ここにいるの
たった一人いるの
“迎えに来た”と
膝折りかしずいて？
淡くとろけて
広がる影絵
覗き込む　夢の筒

S1
アエルノアエルノ
傾けていいの？
呼吸さえも
ただ
潜めて探して

エルノアエルノ
お伽のおもちゃ
片目だけの世界で
恋をしてるの


A2
想いは秘めるほど
美しくて
我儘零れ咲く
薔薇の園へ変わる

開いたパラソルの
向こう側で
鏡は映してる
ほんとも嘘も
脱ぎ捨てて
求める横顔を

B2
眠りの中
あなたがいて
ふわり
吐息の距離が
近付き重なる
囚われの身に
成り果てた蝶は
もしかして
嬉しいの？

S2
アエルノアエルノ
“傾けていい”と
露の降りた
その
囁き探して

エルノアエルノ
耳を澄ませば
星のようなビーズが
流れて消える


C1
何処へ揺れるの
覗く程遠い人
まっすぐ進めずに
不器用な私
複雑な遊び

S3
アエルノアエルノ
傾けていいの？
ミルク皿を吸う
仔猫の真似して

エルノアエルノ
後ろからそっと
抱き寄せるその腕に
まだ気付かない



【譜割り・()は一音分】

A1
ことりの
ふりをして
しのびこむの
つるばら
からみつく
しろいアーチ
ぬけて

はじまる
たそがれと
むねのこどう
いそいで
かけてゆく
(しゃ)こうじれいは
なげすてて
かぎをかけて

B1
ここにいるの
たったひとり
いるの
むかえにきたと
ひざおりかしずいて？
あわくとろけて
ひろがるかげえ
のぞきこむ
ゆめのつつ

S1
アエルノ
アエルノ
かたむけて(いい)の
こ(きゅ)うさえも
ただ
ひそめてさがして

エルノ
アエルノ
おとぎのおも(ちゃ)
かためだけの
せかいで
こいをしてるの


A2
おもいは
ひめるほど
うつくしくて
わがまま
こぼれざく
ばらのそのへ
かわる

ひらいた
パラソルの
むこうがわで
かがみは
うつしてる
ほんともうそも
ぬぎすてて
もとめるよこがおを

B2
ねむりのなか
あなたがいて
ふわり
といきの(きょり)が
ちかづきかさなる
とらわれのみに
なりはてた(ちょ)うは
もしかして
うれしいの

S2
アエルノ
アエルノ
かたむけて(いい)と
つゆのおりた
その
ささやきさがして

エルノ
アエルノ
みみをすませば
ほしのような
ビーズが
ながれてきえる


C1
どこへゆれるの
のぞくほどとおい
ひと
まっすぐすす
めずに
ぶきようなわたし
ふくざつなあそび

S3
ア
エルノ
アエルノ
かたむけて(いい)の
ミルクざらを
すう
こねこのまねして

エルノ
アエルノ
うしろから(そっ)と
だきよせる
そのうでに
まだきづかない
.