ついに、この日が来たんだ。
いつもはしないメイクにゆるいウェーブのかかった髪の毛。そしてあのドレスを着た自分。
レンもテトちゃんもテッド君も「似合う」と言ってくれたんだ。
私は大きな不安とほんの少しの希望に胸を膨らませ、パーティー会場にレンのエスコートで足を踏み入れた――――
「リン、踊ろう。」
レンが私に手を差し伸べる。
私の着ているドレスに合わせて作らせたらしい、白いタキシード姿のレンは、昔絵本で見た王子様そのものだった。
私はそっとレンの手の中に自分の手を滑り込ませ、ステップを踏む。
周りから聞こえる声も気にならない。
私は夢中でレンと踊っていた。
「少し休憩しようか?」
レンの誘いにうなずいて、私とレンはバルコニーへ向かった。
熱く火照った体に夜の空気がひんやりと触れて心地が良い。
少し休んだところで私はレンに声をかけた。
「ねぇ、レン。私はレンのお母さんに認められなきゃいけないんでしょ?
いつ会うの?」
「ああ、そうだな。 もう行ってみるか?
ちなみに、ホールの真ん中あたりにいるあの人が俺の継母ね。」
レンが指差すほうを見ると、たくさんの人の中で、長い黒髪の目立っている人が見えた。
その人は、もちろん若々しく美しいのだが、少し近寄りがたい雰囲気を持っているように私は感じた。
じっと見ていると、レンの継母はおもむろにこちらを振り向いた。そして、にやりと唇を曲げて私に微笑んで見せた。
なぜか、背筋が凍るような感じがした…のは流石に気のせいだろう。
「リン? どうかしたか?」
ふとレンの声で我に返った。
「ううん。なんでもない。 あ、今から舞台であいさつするみたいだから、あれが終わったら行こう?」
「そうだな。」
私とレンは近くにいた使用人から飲み物を受け取り、会場に戻った。
「あれが跡継ぎのレン様ですって。隣にいる子は彼女かしら?」
「レン様のお隣にいる子の来ているドレスは、昔アン様が着ていたものにそっくりだわ!!」
さっきは踊っていたから気が付かなかったけど、周りの人は私とレンを見て何やらこそこそと話しているようだった。
私は悪いことを言われているような気がして、自分の体がこわばっていくような感じがした。
「…リン。大丈夫。俺がついてるから。」
「え?」
顔を上げると、レンが私を見て少し不器用な表情で微笑んでいた。
レンは今までずっとこういう風にたくさんの人に噂されたりするのが当たり前の状況で育ってきたんだ――――
私はレンに申し訳なくなり、
「ごめん。もう大丈夫。ありがとう。」
と微笑み返した。
私の顔を見て、レンは
「そうか。それならよかった。」
と、いつもの眩しいぐらいの笑顔で笑いかけてくれた。
少し胸が痛んだのは、
この笑顔を隣で見る権利は本当は自分にはないということを思い出したから。
そして、レンの継母に会うことを心のどこかで自分が拒否していたから。
私とレンのニセモノの恋の終わりは、もうすぐそこまで、近づいていたんだ―――――
彼らの恋の結末は13,リン視点
ようやくパーティーです!!
ここまで長かったなあww
本当は12話ぐらいで終わる予定の小説だったけど、いろいろ詰め込んだせいで長くなりそうです←
そういえば、インフルエンザが流行っていますね><
私のクラスも学級閉鎖になってしまいました…
皆さんも気を付けてください!
コメント1
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ご意見・ご感想
絢那@受験ですのであんまいない
ご意見・ご感想
学級閉鎖!?大変だねえ…紅華は大丈夫??
レンの本当のお母さんに合わせて衣装を作ったとか?
リンはメイクしなくてもありのままで可愛いよ!!
次はお母様に挨拶かな?
怖そうwwがんばれー!
2012/02/07 16:33:41
紅華116@たまに活動。
二人とも、コメントありがと^^
チミー>
私はめっちゃ元気だから大丈夫b チミーも気を付けてね!!
同感!!リンはメイクなしでもめっちゃかわいいもんねwww
予想どおり、次回は継母さんへあいさつですねww
何が起きるかはお楽しみに♪
れっちぃ>
ついに始まりましたよww
なかなか思うようにかけないから難しい><
今回のレン君は今まで書いた小説の中でも一番かっこいいイケレンを目指しました←
さりげない気遣いをされるときゅんとしてしまうよねーww
継母さんは怖いwww 次回はまぁ、なんかいろいろと起こるみたいです←
2012/02/08 13:04:27