1)
「ちゃんと前を見て歩きなさい」
「ほらほらしっかり前を見て」
頭に降りかかる言葉の雨で
いつも体は冷え切っていた

手をつなぐそのぬくもりでさえも
あなたを雁字搦めにするための鎖であるかのよう


幼いころはそれがすべてで
幼いあなたにはそれだけが世界で
反抗虚しく「言うことをきかない子」と
丁寧に説明書きまでされていた

そんなあなたへ
「躓いて!」転んで泣いて喚き散らして
「あたしはこんなに弱い生き物」って世界に言うのよ!
強いあなたなんて、どこにもいないのよ!
両手を差し出して言いなさい
「痛いよ、1人じゃ立ち上がれないよ」って泣いて言うのよ!
笑って「大丈夫」って言うには
あなたはまだ、早いのよ。
泣いていいの
堪えなくてもいいのよ。



2)
「だから言ったでしょ言うことをききなさい」
「ほらほらこぼさないで」
ママとあたしの世界は一緒なはずなのに
どうしてこんなに寂しいのだろう

飲み込んだ口回りを拭くその手は
本当にあたしのために拭いてるの?

積み木を重ねて高くなるほど期待をされて
いつしか眼差しが怖くて仕方なくなってた

小さな唇が拙い言葉をこぼして
でもその言葉は決してママには届かないのでした
抗うことは「愛されない」こと
深く心に刻まれました

そんなあなたへ
「逃げて!」イヤなことからは逃げ回って
「あたしは嫌なものはイヤなの」って顔を横に振るのよ!
「イヤ」なんて大人になったら言えなくなるんだから!
聞き分けのいい子になんて、なれやしない
「オレンジよりリンゴが好き」って言ってやりなさい
「そうなの」って瞬きキラリさせるには
あなたは、まだ子供なの
地団駄踏んでいいの
いい子じゃなくていいのよ


C)
あなたは弱くて小さい
すぐに「イヤ」って言うわがままな子
でも、そんなあなたは
とてもかわいらしくて愛おしい子

3)
そんなあなたへ
「欲しいの!」ってもっともっとって言って
「あたしに頂戴もっとママの声を」ってせがみなさい!
眠る前、絵本を読むときのママの声が心地いいって
「ゆりかごよりもママのお膝がいい」って甘えなさい
この先どんな後悔や罪を背負っても
あなたは、ママにとって大切な子なの
怯えないでいいのよ
求めることを怖がらないで

愛されるために生まれたのよ

ライセンス

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オレンジより

幼い私にあてた、言葉だったり願いだったりすること。

閲覧数:2,149

投稿日:2020/06/07 08:30:20

文字数:967文字

カテゴリ:歌詞

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