「王女様。今日のおやつはブリオッシュですよ。」
そう言って、一人の召し使いが王女の元へブリオッシュを持ってやって来た。
「まぁ、レン。美味しそうなブリオッシュだわ。」
召し使いの名はレンと言う。
レンと王女は双子だ。だから容姿は殆ど変わらない。
「レンも一緒に食べませんか?」
レンは微笑みながら「えぇ。」とブリオッシュをナイフで小さく切り、王女の口へと持って行った。
「えっ!?」
「まずは王女様からどうぞ。」
王女は恥ずかしげに小さい口を開いた。
「おいしいですか?王女様。」
王女はブリオッシュを美味しそうに食べた。
「とても美味しいわ。次はレンが食べる番ね。」
次は王女がブリオッシュを小さく切り、レンの口へと持って行った。
「―美味しいです。王女様。」
「うふふ。よかった。」
………
昨日の事のように思い出す。
いつの日かのおやつの時間…。
今は、とてもそんな雰囲気で食べる事が出来ない。
今、王女様は国民を苦しめている。
そのため王女様は怯える日々を送っている。
僕は緑のあの子を、あの子を…
殺して、しまった。
取り返しのつかない事になっているのは分かっている。
何故なら今、城の前には王女様を殺しに国民が我が兵士達と戦う場面が繰り広げられている。
「馬鹿な人達。…さて、あの人達は私の元へ来る事が出来るのかしら。」
王女様は心にも無い事を口にした。
王女様は小さく震えていた。
分かっているんだ。自分の侵した罪の重さが…。
「王女様…。」
僕は何とかして王女様を助けたかった。
けれど、いくら考えても王女様を助ける方法が思い付かない。
いや、思い付いてはいるがそれを実行するかを考えてしまった。
しかし王女様を助けるにはこれしかない…。
「…王女様。此処で少し待ってて下さい。」
「えっ!?レッ、レン?」
僕は心配そうに見つめる王女様を背に自室へと向かった。
★★★★★
「王女様!!」
僕はあるものを手に王女様の元へと戻った。
「レン…。心配したじゃない…。」
王女様は目を潤ませながら僕に抱き着いてきた。
「レン。私…。―レン、その手に持っている服は何…?」
あるもの、それは僕の服。
「王女様、これを着て逃げてください。」
「えっ!?」
「大丈夫。容姿は似ているから皆にはばれないよ。」
王女様は僕から目をそらし強く僕を抱きしめた。
「王女様。いや、リン。僕は大丈夫だから早く。」
リンは小さく、震えた声で僕に言った。
「絶対…。絶対にまた私の元に帰って来てね…。」
服が冷たい。リンの涙で服が濡れているんだと思う。
僕はリンの頭を撫でた。
「絶対にまたリンの所へ戻るよ。だから早く着替えて。」
「…うん。」
僕はリンに服を渡し、後ろを向いた。
「……。」
リンの泣き声が微かに聞こえる。
泣きながら着替えているのだろう…。
「レン…。着替えたよ。」
「では、早く此処から逃げてください。」
リンは走って扉へ向かいドアを開けた。
「じゃあ、また後でね。リン。」
「絶対にまた私の元へ…」
バタン…
ドアが閉まった。
「さて。」
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僕はリンのクローゼットを開いた。
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