気が付けば呼び出した鳴兎を皆が囲んでいた。

「ちょーっとお話良いかしら?ウサギさん。」
「ご愁傷様。」
「よく判んないけど面白い事になってるみたいだね。」
「女性に傷を付けるのは感心しませんね。」
「紳士だと思ってたけど変態だったのね!」
「お前が浬音に噛み付いたのか?」

皆に迫られて流石にうろたえてるみたい…。止めた方が良いよね?私がテンパッちゃったのが悪いんだし。と言うか今鳴兎の顔もまともに見れないっ!

「あの…もう良いですから!私が勝手にびっくりしただけで…もう止めて下さい…。」
「良いの?浬音ちゃん。」
「いっそ同じ様に噛み付いてやれ。」
「それは罰じゃなくてある意味ご褒美にな…痛っ!」
「品の無い事言わないの!」
「浬音さん、貴女はどうしたいですか?彼に文句なり、質問なりはありませんか?」

言いたい事は無くも無いけど、でも皆の前で言うのも恥ずかし過ぎるし、第一ハレルさんにも言われたくない…。と言うか皆、何だかんだで面白がってるだけみたいな気もするし…。

「浬音。」
「…っ?!」

急に名前を呼ばれて思わずクッションを掻き抱いて顔を隠した。どうしても無意識の内に唇に目が行っちゃう…ってこれじゃまるで私が欲求不満の痴女みたいじゃない!大体何であんな事したのよ?!私のファーストキス…!!

『2回目。いや…3回目かな?』

あああぁ…もう!思い出しちゃうし!2回目ってどう言う事?!自慢じゃないけど私誰とも付き合った事無かったし老若男女含めたってキスした事なんて無いのに…!それに2回目ならどっち道ファーストキス奪ってるんじゃない!段々腹立って来た…何で私がこんなモヤモヤしないといけないのよ!!

「…の馬鹿…。」
「え?」
「り、浬音ちゃん?」
「鳴兎の馬鹿――!!この変態!!痴漢!!何であんな事したのよ?!どーしてくれんの!!」
「わわっ?!ちょ、落ち着いて!!」
「おい、クッションで殴るな!ホコリ飛ぶ!」
「あはははは!浬音キレたー。」

ズルイ、悔しい、何でこんな思いしないといけないの?!英語で変な事は言うし、キスは奪うし、首に歯型まで付けるし、気になって色々思い出しちゃって、密さん拒んじゃうし…!もうヤダ!

「ちょ、痛い、痛いって!」
「うるさい!自業自得でしょ?!何でキスなんかしたのよ?!」
「えぇっ?!」
「キス?!」
「…自分でバラしてどうする…。」

火が点いたかと思う位顔がカーッと熱くなるのが自分でも判った。気付くと居たたまれなくて部屋を飛び出していた。

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DollsGame-70.ピンクカーネーション-

よく走る子だ

閲覧数:168

投稿日:2010/08/12 04:54:15

文字数:1,062文字

カテゴリ:小説

ブクマつながり

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