玩具屋カイくんの販売日誌(164) “はっちゅーね”の不思議 (その1)
投稿日:2012/08/15 22:04:38 | 文字数:1,250文字 | 閲覧数:85 | カテゴリ:小説
アーチストは自分の思いを作品に込めますが、何か不思議な人形が生まれたみたいですね。
ここは、ゆくりさんの雑貨店「ゆっくり」。
さきほど、ちょっと不思議なことが起こった。
売場に並んでいる、話しかけると答える人形の“はっちゅーね”。
そのしゃべり声が、デフォ子さんの声にそっくりだったというのだ。
自分のバッグから携帯電話を取りだして、モモちゃんは、りりィさんに聞いた。
「デフォ子さんに、かけてみるんですね」
「ええ、無理でなければ」
りりィさんはうなずいた。
「でも、何を聞けばいいんですか?」
りりィさんは、棚にいる“はっちゅーね”の頭をなでながら、言った。
「デフォ子さんのそばに、この人形があるかどうか、聞いてほしいの」
●変わったおしゃべりをする人形
いっぽう、こちらは、デザイナー支援施設の「ニコビレ」。
作業室で話をしていた、デフォ子さんやミクちゃん。
と、その時、携帯電話が鳴った。
「あ。あたしの携帯だ」
そう言って、デフォ子さんはトートバッグから電話を取り出した。
「もしもし、あ、モモ。うん、あたし。久しぶりだねー」
モモちゃんからの電話を受けて話す、彼女のそばに、ルナさんとミクちゃんがいる。
そしてその隣りに、デフォ子さんの“はっちゅーね”が置いてあった。
「うん、うん。そう、ゆくりさんのお店でね。そうか、テト・ドールの発売なんだ。え?何?あたしのそばに?“はっちゅーね”が?うん、あるよ。なんで?」
聞くともなく、話を聞いていたミクちゃんとルナさんは、思わず、隣りにある人形を見た。
デフォ子さんは、話を続ける。
「へえ、そこにある、“はっちゅーね”がしゃべったの?あたしの声で? ホントにぃ? ヘンなの」
その会話を聞いたミクちゃんは、目を丸くした。
「なんか、どっかの“はっちゅーね”が、やっぱり変わったしゃべり方をするみたいだね」
ミクちゃんと、ルナさんは、顔を見合わせた。
●こっちの声と、あっちの声
デフォ子さんは、話を続けた。
「そうなのかー。うん、こっちにある“はっちゅーね”も、変わったしゃべり方するよ。なんかヘンだね。」
仲の良いモモちゃんなので、いろいろしゃべりたいこともあった。
「そう、テト・ドールのデビちゃん、評判いいんだ。ふぅん。 え?天使のコスチューム?なにそれ、見たいなあたしも。アハハハ。 で、いまそこに誰がいるの?キディディの常連の、リンちゃん?」
その会話を聞いて、ミクちゃんは、オヤ?と思った。
ちょっと不思議な考えが浮かんだからだ。
そこで、隣りにある人形を指さして、ルナさんに言った。
「ねえ、電話の向こうの場所にも、この人形があるらしいね」
ルナさんはうなずいた。
「そうですね。で、デフォ子さんの声でしゃべったみたい」
「それで、向こうには、リンちゃんがいるみたいねえ」
ミクちゃんは、腕を組んだ。
「なんか、こっちの声が、あっちに聞こえてて、で、あっちの声が、こっちに聞こえるみたいね」
「まさかあ」
ルナさんは、目を見開いた。((゜m゜;)
(次回に続く
作品へのコメント1
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ご意見・感想
こんにちは! 残暑お見舞い申し上げます。
さて、今回ははっちゅーね人形の不思議の入り口ですね。こっちの声が向こうで、向こうの声がこっちになってしまう、不思議な人形ですね。
そして、デフォ子さんは、さすが冷静ですね。こういう人がいないと、シナリオの謎解きが円滑に進まないのですよね。
さてはて、はっちゅーねさんの謎とは? 楽しみです!
ではでは~♪
P.S 今日は久々に高音注意情報が出ました。こちらもかなり暑いですので、ご自愛下さいませ。2012/08/16 12:16:42 From enarin
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メッセージのお返し
メッセージ、有難うございます。
>こっちの声が向こうで、向こうの声がこっちになってしまう、不思議な人形ですね。
そうですね。ただ、この話はファンタジーではないので、どこかに「理屈」をつけたいと思ってます。
>さてはて、はっちゅーねさんの謎とは? 楽しみです!
有難うございます。でも「謎」は理屈がわかると、味気ないものですけどね。
その意味では、enarinさんの書かれてるSFっぽい作風や、ゲームとかは、表現が自由で多彩で、うらやましいですね。
>デフォ子さんは、さすが冷静ですね
そうですね(笑)こういう、天然のクールキャラは、書いていても頼りになります(笑)
また、感想を聞かせてください!2012/08/17 23:53:33
tamaonion
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