驟雨
夕立の中を 濡れながら
君と歩く 夏の終わり
草の匂い 蒸せた雨靄の道を
震える肩を 抱き寄せたかったけれど
君が 泣いているのに気付いて
僕は手を止めた
俯いた君の 横顔を伝う雫
胸ざわめく 蝉の声が響く
雨の中でさえ
慟哭の様な 遠い雷の音
君は立ち止まり 僕を見つめ
躰を寄せた
凍えた指を絡めて 言葉も何もなくて
微かな温もりを 確かめ合ったあの日
忘れない
通り雨過ぎて 風渡り花を揺らす
君の頬が 茜色に染まる
やがて陽が落ちる
途切れた時間 繋ぎ合わせる様に
君が傍にいた あの夏の日
まだ夢見てる
雲間に夕陽差して 二人の影が伸びる
もう一度振り返り 繋いだ手を離し
歩き出す
夕暮の中を 濡れたまま
坂を上る 精一杯の君の笑顔
僕は守りたかった
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