どうしよう。鏡音くんを、叩いちゃった。というか、告白された。
そんな内容のメールを、グミに送った。すぐに返信があって、明日グミの家に集まることになった。ミクちゃんも、来るのだという。
昨日、ミクちゃんは私の前で泣いた。鏡音くんと別れたのだと言って。始め私は、どうして私の前で泣くの、と思った。
「鏡音さん、私とレンが一緒にいたの見て、辛そうだったでしょ? 私も、同じだから、きっとわかってくれるかなぁ……と思って」
その後、ミクちゃんはそう答えた。その答えに私は、確かに、と納得した。
どうしよう。お風呂に入って、ベッドに入っても、全然眠くならない。
はぁ、と私は溜息をついた。

 翌日。土曜日、休日である。
 私は指定された時間にグミの家へと向かった。
 インターフォンを鳴らすと、グミのお兄さんが出てきた。確か、がくぽさんだったかな。
「こんにちは。お邪魔します」
「あぁ、こんにちは。どうぞ入って。……おーい、グミ!」
 挨拶をすると、向こうも笑って返してくれた。ばたばたと階段を降りる音がして、グミが見えた。
「入って入ってー! あっ、お菓子持ってくからね、がく兄」
 そう言ってグミはリビングに行った。私は、何度も行ったことのある部屋、つまりグミの部屋に行った。
「あ、いらっしゃい」
 部屋に入ると、のほほんとした声が聞こえた。
「ミクちゃん」
「ねぇ、レンを叩いたってホント? 告白されたってのは? デマじゃないよね?」
 ミクちゃんは私に質問をした。勢いが強くて、少し後ずさってしまった。
「ぜ、全部、本当なんだよ。……どうしよう、ミクちゃん」
 合わせる顔がないよ、と私は呟いた。
「いいのよ、レンは一度叩かれないとだと思ったし。……私にはできなかったし」
 ミクちゃんは笑った。
 そこに、グミが入ってきた。
「はい、麦茶。……それで、何があったの。詳しく話して、リン」
 グミは私に訊いた。
「えっと……昨日の放課後、鏡音くんが、ミクちゃんと別れた理由を教えてくれて、それが……」
 私は口を噤む。やっぱり、昨日の出来事が信じられなくて。
「それが、リンを好きだってことだった。ってことね」
 グミが私の言葉を繋ぐ。私は頷いた。
 一口、麦茶を飲む。冷たいそれが、喉を潤す。そこで初めて、喉が渇いていたことに気が付いた。
「……うじうじしてても意味ない! ねぇ、どっか行こうよ。そうだ、カラオケとか!」
 ミクちゃんは立ち上がって言った。それから麦茶を一気に飲み干した。
「いいね、行こう」
 私も立ち上がった。
「そうだね……カラオケなんて久しぶり」
 グミも言った。

「じゃぁ、初めは、私!」
 ミクちゃんがマイクを持って選曲する。そして選んだのは、今人気のアイドルの恋愛ソング。
「ミクちゃん、すっごい上手だね。本人よりも上手だと思うよ」
 私が言うと、ミクちゃんは、「ありがと」と笑った。
「次、私」
 マイクを手にする。予約しておいた音楽が流れ始める。私のお気に入りの曲。この歌は英語だから、初め何を言っているのか、まったくわからなかった。そういえば、英語が好きになったのはこの音楽のおかげだっけ。
 この歌、私と、鏡音くんとミクちゃんの関係に似てる。歌いながら、私はそう思った。
「リンちゃんだって、上手じゃない」
 歌い終わると、ミクちゃんがそう言った。
「ね、この曲さ、あんまり意味わからなかったんだけど、リンたちに似てるね」
 グミが言った。
「あは、そうかも」
 私が答えた。
「え、どうして?」
 ミクちゃんは疑問を発した。
「この歌、登場人物は3人。『私』と『彼』と『彼女』ね。それで、『彼』と『彼女』は恋人なの。それで、『私』の好きな人は『彼』だから、かな」
 私はミクちゃんに説明した。「なるほど!」とミクちゃんはぽんと手を打った。
「それは確かに似てるね。結末は?」
「『私の方が彼にはお似合いなのに』で終わる。『彼』と『彼女』は付き合ったままよ」
 グミが言った。
「そっか。じゃぁ、そこからは違うんだね。じゃぁ……『私』と『彼』をくっつけなきゃ」
 ミクちゃんが言った。
「え……それは」
 私と鏡音くんのことを指してるのだろうけど、初めわからなかった。鏡音くんを叩いたこと、謝らなきゃかなぁ……?
「ほら、次はアタシでしょ」
 辛気臭い顔しないの。グミは私にそう言って、歌い始めた。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

彼女なんかより5 Rin side

またリン視点で進みます。いつ終わるのやら……。

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閲覧数:325

投稿日:2012/07/24 15:10:54

文字数:1,829文字

カテゴリ:小説

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  • 目白皐月

    目白皐月

    ご意見・ご感想

     こんにちは、目白皐月です。

     グミは何を歌うんでしょうね。どかんと元気が出そうな曲のイメージが、何となくあります。女の子で揃ってカラオケというのも、華やかでいいですね。

     で、ちょっと読んでいて気になったのですが、「結末」を考えて話を書いていますか?
    「結末」を考えずに、その場の勢いや「ただ、なんとなく」だけで話を書いていると、どこで終わらせたらいいのかの判断がつかず、ずるずるとあてもなく書き続けることになってしまいます。例えて言うなら、大海原をひたすら漂うボートのような状態になってしまいます。
     おせっかいですが、気になったので。

    2012/07/25 23:33:31

    • 水乃

      水乃

      こんにちは、目白皐月さん。メッセージありがとうございます。

      そうですね。「切ない?」という感じよりも「パワフル」な感じがしそうです。

      どういう風に終わらせるか、というのは決めています。
      ですが、どのようにしてそこに持っていくか……という部分で「大海原をゆらゆら」という状態になっているんだと思います。
      全然お節介じゃありません。ありがとうございました。

      2012/07/26 00:48:29

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