病室から街明かり華やかエーテル・・・。

今日も私は麻酔によって眠りがもたらされている。

こうしないと夜が眠れないからだ。

魔の午前二時・・・。

「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!」

私は叫び声を上げた。

またあの子の首を絞める夢を・・・。

また医者がやってきて、麻酔注射が打たれる。またすぅーっと夢の中へ誘われていく。

私はどうしてんなことになってしまったのだろうか。



私はひとりの子を持つ主婦だった。父親にそっくりで、ちょっと私にも似ている。

「ねぇねぇおかーさん」
「なーに」
「そこのガチャガチャやりたーい」
「だーめ」
「えー」

私は幸せだった。この子も幸せかどうかわからないけど、何不自由なく育てたつもりだ。

この子に父親なんていない。というより居て欲しくない。
それよりも、この子には父親のことなんて忘れて自由に育ってほしい。それだけだ。

今日も、幼稚園から手をつないで帰っていく。幸せだ。

「今日の晩御飯何にする?」
「んんーとね、オムライス!!」
「わかった、とりあえずスーパーで卵買おうね。お手伝いしてくれる?」
「はぁーい」

私は母親として、一人で育てていく。

・・・つもりだった。

数日後。いつもの帰り道。

「きょうね、おとぉーさんにあった」
「え?どういうこと?」
「ようちえんにね、パパきた」
「パパなんて言ってた?」
「パパのこどもになれってぇ」

まさか、あいつが?この子に?
ありえなかった。

さらに数日後。

「これみて」
「なにこのぬいぐるみ?」
「おとーさんからもらったのぉ、かわいくない?」
「捨てなさい!!そんなもの」

抱えていたぬいぐるみを車道に投げ捨てた。
それを大型トラックが跡形もなく吹き飛ばしていった。

「うえ~ん!!おかぁ~さんのばか~!!!」
「今度もっと可愛いの買ってあげるから・・・」
「・・・ほんと?」
「うん、本当。おかーさんは嘘つかない」

この日から父親によるプレゼント攻撃が始まった。
俺も結婚したから俺の娘にもう一回なってくれということだった。

これが私の“炉心融解~メルトダウン~”の始まりだった。



その数日後の深夜二時、私はタバコに火をつける。

憂鬱な気分だった。あの子があんなこと言うなんて・・・。

「わたし、おとーさんのこどもになる!!」

頭を抱える。なぜ私の子を取ろうとするの?なんで?

テレビでは核融合炉の説明を加えながら司会者を取り囲み、原発問題の話をしていた。

「核融合炉に飛び込みたい・・・」

ただただ溜め息を漏らし、呟いた。



その後ずっと父親は私にもこの子にも揺さぶりをかけた。
拒み続けた。ずっとずっと。

それと裏腹に私によるこの子への態度は悪くなっていく。
さらに子供が離れていく・・・その繰り返しだった。



家庭裁判所で争って私が負けた頃には、もう疲れきっていた。

その日の昼・・・。

私は悪いことをしていたこの子を叱りつけていた。

「なんでこんなことばっかりするの!!」
「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」

私は日頃のストレスからもうたまらなくなり、強く頬を叩いた。

「わたしが、おとーさんのこに・・・なれば・・・」

泣きながら呟いた。

頭に血が登った・・・。私は首を絞める。

「おかーさん、ぐるじい・・・おがぁーさん・・・」

切れた唇から溢れる言葉は泡のよう・・・。



今でも忘れない。

今の私は医療刑務所にいる。

懲役8年だそうだ。

私のいない今の世界は歯車が噛み合っていることなのだろう。

きっとそんな世界だ。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

炉心融解~メルトダウン~

炉心融解の二次創作小説化です。

ニコ動で原曲がもう聴けないのは寂しいことですね。再うp希望です。

これまたgdgd文であることをお詫びします。

この作品へのご意見、ご感想喜んでお待ちしております!!

閲覧数:304

投稿日:2012/04/28 15:11:17

文字数:1,516文字

カテゴリ:小説

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