くるりと旋回
遅れて回る長い髪が視界を横切る
それを邪魔に思うでもなく振り下ろした刃を、『それ』の硬い甲羅が弾く
ちっと舌打ち一つして後ろへ飛ぶ
舞い上がる砂塵がなんともチープだった

「ミク、今舌打ちしただろ」
「あ、ばれた?」

後ろからかけられた声にてへへーと舌を出した
こうすれば「しょうがないな」と呆れ顔で許してくれることはもう知ってる
今回も例に漏れずに小さく溜息をついただけの兄さんは、下ろしていた狙撃用の銃を狙撃用にしてはらしくない持ち方で構えた

「兄さんがこんな前に出るなんて珍しいね?」
「しょうがないだろう?ミクでも苦戦してるみたいだし」

他に誰も居ないしなと、『それ』を鋭い目で見ながら兄さんが言う
普段はヘタレなんて言われてるけれど、こういう時の兄さんは物凄く頼りがいがあって格好良い
もしかしたら流行のギャップ萌えってやつかしらとこの場に似つかわしくないことを考えた
目の前には硬い甲羅を持つ大きなカブトムシみたいなモンスター
みたいっていうのはそう、頭にあるのが角じゃなくて触覚っていうのと、大量の小さい目
それとありえないくらいに発達した牙のせい
象牙かなんかかと見間違えんばかりのそれは、やっぱり見た目どおり破壊力抜群らしい
触覚も奇妙な動き方でいやに翻弄される
どうにもやりづらいと眉を顰めたところで隣に目をやった

「ところでそれ、そういう持ち方でいいの?」

視線の先の銃
どこからどう見ても狙撃用
ましてや兄さんはスコープもしてる
なのに今や敵前
ましてライフルかなんかみたいな構え方
なんとなく異様

「んー?・・・・・・あぁ。・・・駄目だろうけど、実践はそうも言ってられないし?」
「そこで疑問系なんだ・・・」

なんか不安と肩を落としたところで『それ』が動いた
ガスンとかなんとか重たそうな音を立てながらそいつが歩く
一直線に目指すのはこちら

「とりあえず、暫く時間を稼ごう。もう少ししたらメーちゃん達も来るし」
「えっ、来てくれるの?」
「あっちは楽勝で片付いたんだって」
「お、なんとなく嫌味っぽい」
「ていうか、嫌味なんだろうね」

だからできるだけ二人で頑張ろう
その言葉を皮切りに二人走り出す
私は左から
兄さんは右から

「ていうか!兄さんそれ以上近づいて大丈夫なの?!」

危なくないの狙撃手!?
思わず悲鳴

「あんま良くないからサポートよろしく!」
「なにそれぇ?!!」

また悲鳴
考えてるのか考えてないのか分からない兄さんにハラハラしながら、とりあえずこっちに注意を向けておけばいいのよねと一人意気込んだ

「よしっ」

掛け声一つ
不規則に動く触手をかわして『それ』の目の前
ダンッと飛んだ先の無数の目

「ここならちょっとは効くでしょ?」

言って、左から右へ勢いよく剣を振った
狙いを定めたわけじゃないけれど、それでもいくつかの目は潰せたようで
ギャーとかなんとか大声上げて『それ』が暴れだす
振り上げられた触手が振り下ろされる

「っ、やば」

まだ地面に足はついていない
避けようにも、避けられない
触手はもう目前
当たったら痛いんだろうなと思いながら、少しでもダメージを減らすために剣を横に構えた
けれど予想していた衝撃は来ず
目の前をいくつかの弾丸が走った

「え」

的確に触手に当たるそれのおかげで当たりはしなかったものの

(下から?!)

そう、弾は下から飛んできた
慌てて見下ろした先にはやっぱり兄さん
と、いうことは

「エッチ!!パンツ見たでしょ?!!」
「いやいやいや!今言うべきはそれじゃないと思うんだけど?!」
「でも見たんでしょ?!兄さんのエッチ!!」
「ていうか!!こういう場なんだから短パンとか穿いてきてよ!不可抗力だ!」

やっと地に足ついたところで大乱闘
マフラーを両側から引っ張って報復
苦しいという兄さんのタップで手を離した

「最低。ほんっとに最低!」
「うぅ、せっかく助けてあげたのに・・・・」

今が敵前とかなんとかおかまいなし
あーもー最低とそっぽを向いたのが運のつきだった

「へ?わ、きゃあ!!」
「ミク?!!」

いつの間にか足を取られて宙吊り
もちろん逆さまで
心配そうな、焦ったような兄さんの声を聞きながら
でもこっちが心配なのはもっと別のこと

「ちょっと!離してよ!パンツ見えるでしょ?!!」
「・・・・・・えぇー・・・・」

そこなのぉーと
兄さんの困り果てた声
いやいや、これは女の子からしてみたら一大事なんですってば!
両手でスカートを押さえているせいで剣が振れない
ひっくり返った頭に血が集まってくらくらする
ついでに頭に血が上ってイライラする

「あーもー!ぶった切ってやるんだから!!兄さんあっち向いてて!!」
「・・・はい」

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

モンスター

RPGというかSFというかそういうの読みたいです。尻切れですみません。

一応考えてた各自の装備というかなんというか。

ミク→剣 刀ほどじゃないけど細身のやつ
   たまに人様の武器使う(例)ルカの投げたナイフ等
リン→双剣+アイテム(爆弾系)
   どかーん!!派手なのがいいよね派手なのが
レン→双剣+アイテム(毒・麻痺系)
   毒とか麻痺とかでリンのサポート 回復系も使うというか爆発物以外は使う
ルカ→飛び道具(中距離全般)
   投擲もするしライフルも連射するオールマイティ 近距離時はランス
KAITO→狙撃銃 物陰からこっそり卑怯に
    狙撃銃以外も使えるけど滅多に使わない リンの爆弾作ってるのはこの人
MEIKO→大剣
    ため攻撃大好き 正面から正々堂々 ルカのナイフもたまに使う




KAITO兄さんラッキースケベ。

もっと見る

閲覧数:98

投稿日:2010/12/25 16:21:29

文字数:1,992文字

カテゴリ:小説

オススメ作品

クリップボードにコピーしました