幾十(いくそ)たび 夢視し宵の 女郎花
実(さね)をも知らで 逢ふこともなし

本州以南から闊歩を進める極彩色
縦縞に横縞に淡黄褐色
林間に複雑な三重網を張るのが習性
天鵞絨が引かれたら石畳に鼻緒の花畑
馥郁に酔う暇をお持ちなら
和服の胸辺りをご確認

嗚呼 今宵も回り逢えた獲物様
真珠の肌血と肉と成って下さいまし

今宵も蜘蛛が舞う時間

浅紅深紅鮮紅真紅
記憶に礎くは泡沫を揺らす間もなし
絡まる四肢に死屍累々 そんな夢幻も目覚めが悪ければ
至上の慈しみを保って甚振って終焉に散逸させませう
雲居の雁行くに見つからず萌芽落とし願ふも叶わず
ただ 笑ふ

「あちきを 落とせるかえ?」


行灯に染み流下する油の琥珀
光に徴集虫は貪る蠢動
己の自己所有欲に手足を動かす習性
如何とも成難い迂愚劣る暗い味の凡容
興に耽る暇をお持ちなら
絹紐の硬さをご確認

嗚呼 哀れにご存知無い
光が与える物は闇だけでございますのに

玉の緒の根は生涯大事にお持ちなら
大層波瑠璃の煌き
ならば其の底を紅差し指強く押し当て

気付くと皆はこう零し堕とすが籤

シ リ セ バ サ メ ザ ラ マ シ ヲ

今宵も蜘蛛が舞う時間

浅紅深紅鮮紅真紅
記憶に礎くは泡沫を揺らす間もなし
絡まる四肢に死屍累々 そんな夢幻も目覚めが悪ければ
至上の慈しみを保って甚振って終焉に散逸させませう
雲居の雁行くに見つからず萌芽落とし願ふも叶わず
ただ 笑ふ

「あちきを 切れるかえ?」

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

女郎蜘蛛

閲覧数:95

投稿日:2009/05/19 01:15:09

文字数:631文字

カテゴリ:歌詞

オススメ作品

クリップボードにコピーしました