ゆっくりと、ミクは部屋を出て行った。
 誰もが声を発しようとはせず、狭い空間に、重苦しい空気と沈黙だけが取り残されていた。
 しばらくして、カイトが静かに音を立てないように、そっと立ち上がった。全員の視線がカイトに向けられ、カイトはうつむいて小さな低い声でつぶやくように言った。
「ごめん」
 そして、カイトも出て行った。その三文字が、何を意味するのかを、リンもレンも、勿論メイコも、嫌と言うほど理解したようだった。
「今日は、もうお開きにしよう。こんな雰囲気で練習したって、意味ないし」
 リュックを乱暴に持ち上げて方にかけると、レンはそれ以上何も言わずに、ドアをやはり乱暴に閉め、出て行った。よほどいらだっているのだろう、とリンは思った。
 うつむいたままのリンを残して、メイコは何も言わずに時計を見て、かばんを提げて帰っていった。
ひとりで部屋に残されたリンは、静かにひざを抱えてうずくまった。ひざに顔をうずめた。小さな時計の音すらも聞こえず、ただ、自分の心臓がどくんどくんと、妙にはっきりと脈打つ、小さな音だけが、聞こえていた。狭い空間にすら響かない小さな鈍い音だったが、まるで、耳から頭を貫くような、鋭い見えない刃のように感じた。
 その夜は、ひどく寒い夜だった。

 数日後、リンの元に一通の手紙が届いた。
 澪のテレビ番組のオーディションに受かったので、テレビに出演できるのだが、その明確な日時を記したものであった。
 恐らくこれと同じ内容の手紙が、他のメンバーにも渡っているだろう。でも、きっと、これは…。
 皆、出演を辞退します、とか言って、出られないんだろうな。はぁ、と小さなため息をついた。
 状況は、最悪だ…。
 リンは、もう一度小さなため息をついた。

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  • 非営利目的に限ります
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日常 25

こんばんは、リオンです。
バンド解散の危機、的な。
ここからリンちゃんが主人公らしく働いてくれると思います。
一日一回投稿も穴だらけですが、がんばっていきますので、
生暖かい眼で見てやってください><

閲覧数:204

投稿日:2010/11/14 23:24:45

文字数:740文字

カテゴリ:小説

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  • リオン

    リオン

    コメントのお返し

    こんばんは、ゆーささん♪
    リンちゃんがレン君にキスでもしてあげれば、レン君は必死になって皆をひとつにしてくれることでしょう。

    がんばります! これから復活していくはずですから!

    2010/11/16 18:42:43

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