テトが一番早く異常を感じ取る。
「そんな・・・馬鹿な・・・
NOIS反応が・・・・・・消えない・・・」

砂埃の後ろには、まだ巨大な影が見えた。

「・・・!!!」
ミクは、砲台の予備動作を聞き逃さなかった。
飛んできた弾丸を手でしっかりと受け止めた。

舞っていた砂埃が自然と晴れ、またその巨体が姿を現した。


前側の装甲が少しえぐれてはいるものの、動作には全く影響が無いようだった。

ルカが力無くへたりと座り込む
「無理だよ・・・もう、終わりなんだ・・・
デルさんでさえ出来なかったんだから・・・
私達が倒せる相手じゃないんだよぉ・・・」

その言葉を聞いて、ミクは前を睨みつけ、言った。

「ルカ姉、違うよ。
確かに私達は勝てないかもしれない。
だからといって投げ出したら、そこで終わりなんだ。
だから・・・”無理”って言わないで。」
言い終わるとミクは鞘から剣を引き抜いた。
「カイ兄!いつでも撃てる状態にしておいて!!
そして、私が合図したら撃って!!
あと・・・リン!アナタも準備しておいて!
カイ兄が撃ったらすぐ行って、思いっきりその剣振り下ろして!!
・・・さあ、いくよ・・・」
そう言うと、相手に向かって駆けだした。
距離が半分に縮まった所で、ミクは”神速”を発動し、剣を地面に着けて加速した。

剣はみるみるうちに紅蓮に染まり、熱気を帯びる。
ミクは機体の凹んだところをその剣で斬りつける。
斬られたところが熔け出す。

「カイ兄!!!」
ミクは横に飛び退きながら叫んだ。
カイトは慌てて銃を構え、撃つ。
その爆音と共にリンが駆け出す。

大剣を振りかざし、両手に持ち替える。

「うああああああああああああああッ!!」
声を上げながら、リンは剣を振り下ろした。

金属を切り裂く嫌な音がして、目標の動きが止まる。

「・・・・・・NOIS反応が
・・・・・・消えました!!!」

テトがか細い声で言う。

その瞬間、その場に歓声が鳴り響いた。

リンは、大破した機体をただ呆然と眺めて、立ちつくしていた。
そこにミクが駆け寄り、肩に手を置いて静かに言った。

「勝ったんだよ・・・私達・・・」

リンはミクの目を暫く見つめたあと、そっとミクに寄り添った。

「ミク姉・・・私、やったよ・・・・・・」
リンはそう言って笑った。
ミクは答えるように微笑んだ。

日は、沈みかけていた。
綺麗な夕焼けの光が、2人の影を伸ばしていた。

「さあ、帰ろう。みんな手当しなきゃ。」
メイコが皆に言った。

ミクとリンは並んで歩いていた。
リンが何気なく振り返ると壊れた機体の裂け目から赤い光が点滅しているのが見えた。

・・・その点滅はどんどん早くなっていく

リンは嫌な予感がした。

ついに点滅が止まる。

「ミク姉!!! 危ない!!!」
リンは絶叫してミクの身体を突き飛ばした。

その瞬間、リンの身体を黒い閃光が貫いた。

リンは・・・力無く地へと倒れ込む。
リンにはレンの叫びは聞こえなかった。
続く

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緑閃 拾伍

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投稿日:2009/11/28 06:30:18

文字数:1,262文字

カテゴリ:小説

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