『親指姫は地下深く、もぐらの旦那待たされて
助けに来るのは渡り鳥、お花畑に連れ出そう』
取り敢えずあらすじを覚えていた親指姫を選んだんだけど…モグラなんて出て来たっけなぁ?でも『地下深く』って書いてあるから絞り込むのは簡単だった。この施設の中で一般人が入れる地下はホテルの地下にあるテナントと…。
「あった、あった。」
このアトラクションの「トラップハウス」だけだった。テナントにはシャッターが下りていたから、居るとしたら多分こっちだろうな…アトラクションは動いてないけど中には入れるし。
「うわ~電気点いてないから真っ暗だな…。おーい?誰か居るー?」
何か奥から物音が響いていた。取り敢えず居るのは間違い無さそうなので携帯をライト代わりに慎重に奥へと進んだ。
「おーい?すいませーん?」
「…誰…?!」
「お?」
返って来た声の出所を探して辺りを少し照らすと、隅の方に人の足先が見えた。
「居た居た、お待たせー。あ、親指姫は花壇だったんだ」
「…っ!!」
携帯を顔の方に向けると花壇は慌てて顔を伏せた。眩しかったんだろうか?
「どした?」
「…ごめ…す、少し、少しだけ待ってて!すぐ、すぐ立つから!」
暗い中ライトを下に落とすとガタガタ震えている手が見えた。多分こんな真っ暗な中に一人取り残されて恐かったんだろうな。少し宙を惑った手で花壇の頭をポンポンと撫でた。
「もう大丈夫、一人で恐かった?」
「ご…ごめんなさい!最初は全然大丈夫だと思ったんだけど、携帯の充電切れ
ちゃって、真っ暗で…!」
「あははは、よしよし、恐くないよー。」
「ごめんなさい!すぐ…すぐ動くから!」
「良いよ、見付けたんだし、此処に居るから。落ち着いたら行こう。」
全身ガタガタ震えていた花壇は時折深呼吸をしつつ落ち着きを取り戻して行った。
「大丈夫?」
「うん。ごめんなさい、足手纏いで…。」
「何で?課題は『姫を救え』なんだからさ、お姫様で良いんだよ。」
「…ありがとう。」
「歩けそう?暗いから気を付けて。」
「うん、大丈夫…あいたっ?!」
「暗い所に居てライト見たから目が慣れてないんだよ、はい、手。」
「ごめんなさい…。」
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