BATTLELOID「STAGE13 表裏」-(1)

投稿日:2014/05/25 19:44:09 | 文字数:4,336文字 | 閲覧数:150 | カテゴリ:小説

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※概要はBATTLELOID「BEFORE GAME」を参照してください


UTAUとの激突はこっちにも及んでいた

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[G区画 街‐1エリア]
 どうする。
 レンは困惑しきっていた。なんて運が悪いんだ。…とは言ってもこのままやられるわけにはいかない…!
 どうする、どうする、どうする!?





「…いないわね…」
 一方のグミたちはレン探しに手間取っていた。
 付近には戦闘の跡。倒れているユキも見つけた。騒がしさが収まった直後にやってきたわけだし、そう遠くに逃げることもないだろう。
 それよりも。別の理由で、グミは少しイラついていた。
「ねえ、グミちゃん、見つからないみたいだし、探すポイントを変えて…」
「…リリィ」
「へ?」
「あんたいつまで私の後ろをつけてんのよ…!」
「そりゃ私はグミちゃんの…」
「違う!二人いるんだから手分けして探そうって言ってるの!」
「あ…ああ!分かったわ!」
 じゃあ外見てくる、とリリィはいそいそと駆け出して行った。
 去っていった彼女を見て、一つ大きなため息をついた。
 …とにかく、レン君探しを再開しましょう。
 そう思った矢先、リリィの歌声が響いてきた。
「『WAVE』!」
 ドカンと光線がぶつかる音。その先に、探していた人物を見つけた。
 でかしたわ、リリィ!グミはすぐさま援護に向かう。今彼の目はリリィのみをとらえている。ここで一発入れれば、倒せなくとも、十分こっちにチャンスが…!
 しかし、リリィのほうを見た時、異変に気付いた。
 何かが、誰かが、こっちに向かってきている。
「リリィ、危ない!」





 くそ、見つかった!
 手分けされた上にさらに外の方に向かわれたせいで、レンはあっさりリリィに発見されてしまった。
「『WAVE』!」
 レンを視界にとらえたリリィはすぐに攻撃を仕掛けてきた。
 レンはすぐに動いた。だが物陰のない場所にででしまった。
 駅はそう広くない。まだ外に出られれば何とかなったかもしれないが、もうそれも叶わない。グミの追撃も来るだろう。
 どうすれば…。レンが考える前に、グミの声が響いた。しかしそれはこちらに対する攻撃ではなく、ただ一つのメッセージだった。
「リリィ、危ない!」
 一体何がどう危ないのか、レンからは全く分からなかった。
 リリィはそれを聞いて慌てて体を伏せた。
 直後、リリィの頭上を光線が通った。
「『クランベリー』!」
 さらに響くグミの歌声。
 いきなりな事案が連続で発生し、レンは一瞬困惑した。しかしすぐにこれは脱走のチャンスだと思い直し、走り出した。
「あ、待ちな…く!」
 リリィの声が聞こえたが、どうやらレンどころではなくなっているらしい。すぐに柱の陰に身を隠した。
 何があったか知らないが、本当に運がいい。
 誰もこちらに向かっていないことを気配で感じると、レンはそっと様子を見た。
 …誰かが、入ってくる。
「どういう、こと」
 グミがその誰かに向かって言った。怒気を含んでいる。
 リリィはグミの後ろに立ち、不安げな表情を見せていた。
「別に、どういう訳でもないさ」
 声の主は、デフォ子。隣にリツも立っている。
「言ってくれるわね、あなたたちは本部の人間なんでしょ。ゲームの進行を妨げてもいいの?現におかげでレンを逃がしちゃったじゃ」
「グミちゃん!…無駄よ」
 いきり立つグミを、リリィが止めた。声が震えている。何かを、怖がっているのだろうか。
 ふっ…とデフォ子がかすかに笑ったように見えた。
 しばらく沈黙が続いた。
 …待てよ、とレンは思った。今このうちにここから抜け出せば、無事にミク姉やリンと合流できるのではないか。
 そっと、レンは動き出す。静かなので物音を立てれば見つかってしまう。
「…もう一度言うわ。どういう事」
 再びグミが言った。やはりこの状況に対して怒っているようだ。
 レンはそろそろとデフォ子たちの背後に回り込むことを試みる。二人の背後に出口がある。もしかするとグミ姉たちに見つかるかも知れないが…見つかったとしてもすぐには対応できまい。
「…!」
 その時、ふと、リツと目があったような気がした。すぐに隠れる。この駅は柱が多くて本当に助かる。
 改めてリツを見ると、デフォ子を見ていた。
 もしかして報告されてしまったか、とも思ったが、デフォ子は特に周りを見ようともしないので、そうではなかったらしい。
 とにかく出口は近かった。ここで外に出られれば…。
 その時、デフォ子が口を開いた。
「話してやろうか、目的」
「…何よ」
 グミが慎重に返した。
「…私たちを倒して、どうするつもり?」
 リリィは強気に返す。
「ふーん、戦う気なんだね」
 おとなしく降参すればいいのに、とリツも返した。
 デフォ子が一瞬後ろをちらっと見ると、続けた。
「ボーカロイドの抹殺、さ」
「…は?」
 グミは相当驚いたのか変な声で返事を返した。
 …抹殺?
「そうさ、このゲームはもともと仕組まれたもの。私たちはその全貌を聞いて、あの方のもとについたんだ」
「なんですって!?」
「お前たちが全員消えれば…この電子の世界で私達が日の目を見ることができるようになるからな」
 デフォ子は笑う。
「な…え…」
 グミは言葉にならない返事をかえす。
「…じゃあ、私たちの生き残り人数が少なくなるのをずっと待っていたってこと!?」
「そういう事だ」
「く…!」
 リリィは唇をかんだ。
 現在の生き残りはミク、リン、レン、ルカ、グミ、リリィの六人。そしてあっちのUTAU勢も六人。
 もう一対一になるまで、生き残りは減っていたのだ。
「さて、じゃあ、消えてもらおうかなっ!」
 真っ先にリツが動いた。
「『Drリアリスト・カバー』!」
「『WAVE』!」
 リリィがすぐに応戦する。
「グミちゃん!」
「…あ、うん!」
 半ば心ここに非ずだったグミだが、リリィの声で我に返った。
「…とにかく、」
 今は深く考えず目の前の敵を倒そう、そう思い直した。
「『敗北の少年』!」
 空間に響き渡るグミの歌声。
 その光線は明後日の方向だったが、光線が壁に突き刺さると、轟音と共に粉々に砕け散った。
「…!」
 すさまじい火力を目の当たりにしたリツは少しおびえたような表情を見せた。しかしデフォ子は何食わぬ顔だった。
「なるほど…さすが、相棒候補に挙がっただけのボーカロイドだな」
 意味深な発言、見透かしたような視線。今度はグミがおびえる。
 さっきから色々なことが起こりすぎている。抹殺?相棒?一体何なの?





 抹殺…だと?
 デフォ子たちの話を陰で聞いていたレンは、険しい表情をしていた。
 そうか…奴ら、裏でそんなことを…!
 すぐにでもミクかリンと連絡を取りたかったのだが、そんな話を聞いてしまっては話は別だ。
 一刻も早く、こいつらを蹴散らしておきたい。ここに二人しかいないという事は、他の奴らはサポートに回っているか…。
 ほかのボカロの抹殺に向かっているか。
 現実的なのは後者だろう。ここ以外には、ミク姉とリンの組、そしてルカ姉が一人で動いている。二×三グループでそれぞれを相手しようと…。
 …最初から、か。そうか。
 レンはひとまず様子を窺うことにした。個人的には相打ちとかしてもらいたいものだが、そうは運ばないだろう。
 デフォ子とグミの表情の差が全く違うし、それに…。





 …とにかく、目の前の敵を倒すのが先!
「『ディスとピア・ジパング』!」
「『ジッタードール』!」
 グミに合わせて、リリィも歌う。
 デフォ子、リツは二手に分かれる。
「リリィ、りっちゃんが行ったわ!」
「分かってる!」
 グミとリリィも分かれ、一対一の展開になる。
「ほう?『バビロン・カバー』!」
「『林檎売りの泡沫少女』!」
 グミとデフォ子の打ち合いが始まる。
「…ふ、そんなんで私に勝てるのか?」
「あんたこそ、今のところさほど強いとも思えないわ!」
 デフォ子が目を細めた。
なるほど、さっきの驚きはどこへやら、完全に戦闘モードになっている。
 グミは一気に攻め込もうと突進してきている。
「『Palette・カバー』!」
 デフォ子の攻撃をひらりとかわし、グミは接近する。
「『地球最後の告白を』!」
 デフォ子は柱の陰に移動して対応する。柱は彼女の盾となったが粉砕された。
「『サテライト・カバー』!」
 デフォ子は攻撃直後の隙を狙いに行く。しかしながらそれを警戒していたグミはすでに体を伏せていたため光線は天井に激突、乾いた音をたてた。
 立ち上がりグミは追撃しようとするも、そこにデフォ子の気配がないことに気付いた。どうやら攻撃中に逃げたらしい。
「…どこ!」
 反射的に後ろを向く。しかしそこにもいない。
「やるな」
 不意に、デフォ子の声がした。
「…出てきなさい!」
「出てきたいのはやまやまだが、その前に聞いておきたいことがあってな」
「……」
 グミはとりあえず声の方向を探るようにした。とはいえ、リリィも戦っているのだろう、ドカドカとうるさく、近くにいるはずのデフォ子の声さえ聞き逃しそうだ。
「沈黙はどうぞ、とみなすぞ」
「『ニビョウカン』!」
 そこだ、とグミはある柱めがけて攻撃したが、手ごたえはなかった。
「…聞く耳はないのか」
 さっきよりも聞き取りづらくなった…?
 グミはさらに神経を集中させる。さっきみたいに動揺なんてしないんだから…。
「おまえ、なぜリリィと一緒にいるんだ?」
「!」
 グミは目を細める。一体なんだってそんなこと。
「…知らないわ。流れでそんな感じになってるだけ」
「そうか?さっきの様子だと完全に協力し合ってるようだったが…」
「何、それをあんたが気にしてどうするっていうの?」
「お前たちはゲームの参加者、つまり敵同士なのだぞ?」
「…そんなこと、分かってるわ!」
 グミは声を張り上げた。そうよ分かってる。あくまで私はゲームに勝つために戦ってるんだから!
「そうか。なら協力してやろうか」
「…は?」
「言葉通りさ。『ずれていく・カバー』!」
「…この!」
 グミは身構えたが、しかし光線は飛んでこなかった。
 しかし代わりに、今まで一緒にいた相棒の断末魔が、わずかに耳に入ってきた。
「え」
 戦闘モードだったはずの脳が一気に覚める。あんなに冴えわたっていたのに、今は動かない。いや、動こうとしない。
 何かがこみあげてくる。何かが…。
 いや、嘘、きっと…違う…。
 その時、しまっていたフォンが揺れた。それを見て…グミは泣き崩れた。
「ああああああ!!」

しがないボカロ小説書き。生粋のミク廃。
書くものはなぜかバトルものばかり。
みんなを楽しませることができればなあと、思う。

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