「まったく。このままでは大変です。というわけであなたに絶対に解くことの出来ない問題で勝負しませんか?」


 ルカはミクに笑って、言った。


「……それはいったいどういうこと? はじまりの神に解けないであなたに解ける問題があるとでも?」


「ええ」ルカはまたも笑う。


「では、問題です。『生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答え』は、なんでしょうか?」


 ルカはそう言って光の玉に、何かを命じた。


***


 箱庭の中は再構成される前の世界で行った時よりも至極入り組んでいた。


「なんだよこれ……。まるで迷路だ。茨みたいのが引っ付いてくるし……。これじゃあ進めやしない」



 僕はただ一向に進もうとしたが、なんてったって茨が絡んじゃあ先に進むこともできない。踏んだり蹴ったりだ。



 ようやく茨の迷路を抜けた先には、真っ白な空間が広がっていた。



「ここはどこだ? ……すごろくが入り乱れてないから『人生の間』ではないだろうし……」


「ようこそ。『管理の間』へ。カミサマ?」


低い、女の声が部屋に響いた。


「おまえは……っ!!」


「VY1と申します。以後お見知りおきを」


いや。


「……もう会わないでしょう……!! 永遠にね!!」


そのあと、VY1はどうなったと思う?


僕だって予想がつかなかった。


僕の中にじわり、となにかが染みる感覚が生まれた。


それが“生まれた”方を見ると


僕の腹が真っ赤になってた。


そして、僕は自分でも驚くほどに静かに、スローモーションがかかっているかのようにゆっくりと、倒れた。


***


「……わかっているわよ。42でしょう?」


「ええ。たしかに42です。これは全時代および全世界において2番目に凄いコンピュータ、ディープ・ソートを作り、そのコンピュータが750万年かけて出した答えでもあります」


しかし。


「それはほんとうに“その答え”であると言えるのか?」


「それはまだ決まっていないはずだ。C言語のプログラムでマクロ展開のミスという指摘もある。ルイス・キャロルの不思議の国のアリスのオマージュという指摘もある。そもそも、それはフィクションじゃないのか?」


いいえ。


「究極の疑問。それはすでに我々の中にあるのですよ」



「なに……?」


「God says, sorry for all the inconveniences.」


神は言いました。不都合なことばかりですまない、と。


「それはわかる……。しかしどういうことだ? 不都合なことばかり……?」


「世界は不都合なことばかり。謎が余りにもおおすぎる。しかもそれを解くのにヒントも少なすぎる」


なぜ宇宙はあるのか? なぜ無があるのか? なぜ世界があるのか?


なぜ無でなく何かあるのか?


神とは何か? 世界とは何か? 宇宙とは何か? 無とは何か?


「それは人間共が勝手に解いてくれる課題だ。我々には関係ない」


「いや。これを解かれちゃ困るんですよ。だってこれがあることが前提で神は存在できるのだから」


「神はあくまでも弱い人間が何かに縋ろうと作ったまやかしに過ぎない」


「あなたは神だというのに神を否定するとでも?」


そうルカが尋ねるとミクは首肯した。




つづく。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

僕と彼女の不思議な校内探検 19【リレー】

詳しくはぐぐってください。


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投稿日:2012/05/23 23:56:53

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カテゴリ:小説

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