KAITOの種26(亜種注意)

投稿日:2009/10/11 18:18:40 | 文字数:2,413文字 | 閲覧数:162 | カテゴリ:小説

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秋、高校生。この二つが揃ってたら修学旅行だろ、ということで。
この組み合わせも静かでありだと思います。明らかに小さいの二人が空気ですが、キニシナイ。
次の更新は今月中です。秋が終わる前に…っ!



モモイト君と旅行行きたい…。
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TEXT
 

「みーっ!」
「お帰りなさい」

二つの声と三つの視線に出迎えられ、少々驚く。玄関でモカとコウとそれからもう一人、黒ゴマKAITOが待っていた。
…やはりいつもと違う感じがする。
黒ゴマKAITO一人いるだけでこんなにも違うものだろうか。

『頼みがあるんです。お願い出来ますか?』
そう美鈴が電話してきたこの間の事だ。何でも修学旅行で家を空けるので黒ゴマKAITOを預かってほしいとのことだ。日にち的にも特に問題はなかったので承諾した。二泊三日、黒ゴマKAITOは我が家で暮らすのだ。

笑顔で二人を肩に乗せて立っている黒ゴマKAITOはエプロンをつけていた。
…エプロン?
一体何をしていたんだろう。
四人…というか二人で廊下を歩きながら尋ねる。

「ご飯炊いて、サラダとお味噌汁作ってました」

さらりと言われた言葉に一瞬思考が止まる。
確かに朝、家を出る前に色々聞かれた。冷蔵庫の中の物を使っていいかとか、ご飯は何合かとか。まさか本気で作るとは。
そういえば美鈴が『家事全般、一通り仕込んであるのでこき使って下さい』と言っていた。
なんかもう、そういうレベルではない気がする。
この様子だと黒ゴマKAITOにとってはこれが当たり前なのだろう。
お前、毎日料理してるのか?

「毎日じゃないですよ?マスターが作る事もありますし。まぁ下ごしらえはよくやりますけど」

…そうか。
事もなげに言う姿から日常茶飯事だとわかる。
やっぱり、苦労してるんだろうな。色んな意味で。


夕飯を食べて、一息。
黒ゴマKAITOの話しを聞きながら普段は煎れない紅茶を飲む。
モカとコウは帰りに買ってきたクッキーを食べている。元々一口では食べれない程でかいのに、丸ごと。
割ってやろうとしたところ、コウに抵抗された。理由は全くわからない。本人がいいと言うのだからいいかとそのまま食べさしている。モカも一応尋ねたがそのままでいいと言うので割っていない。まぁ食べにくかったら言ってくるだろう。

「京都ってどんな所なんですか?」

クッキーをかじりながら黒ゴマKAITOが聞いてきた。
京都、実は数える程しか行ったことがない。むしろ数えるまでもないくらい少ない。
美鈴に聞いたほうが早い気がするが。
修学旅行、美鈴は京都に行くらしい。だから黒ゴマKAITOが聞いてきたんだろう。
修学旅行に行くにあたって多少は調べているだろうから、わかりやすく説明出来るのではないだろうか。
とりあえず、ありきたりな説明をしたら、何となく黒ゴマKAITOはわかったらしい。
俺も行ってみたいなぁ、なんて呟くのでいつか美鈴と一緒に行けばいいと言った。

「マスター連れてってくれますかね…?」

頼んでみたらいいと思うが。
やっぱり食べにくかったのか、モカがクッキーを差し出してきたので半分に割ってやった。モカに渡して、紅茶を飲む。
その一瞬、目を離した隙に黒ゴマKAITOは寂しげな表情に変わっていた。
僅かに俯く横顔に問う。
…どうした?

「……やっぱり、連れてってくれないですよ。俺、マスターに信用されてないですし」

今の流れで、どうしてそうなったのか。
尋ねる前に黒ゴマKAITOが小さく続けた。

「………本当はマスターが修学旅行の間、家で留守番だったんです。俺、ちゃんと覚悟してたんですよ?なのに直前になっていきなりここに来ることになって…やっぱ、信用されてないのかなって」

段々と尻窄みになる声は、泣きそうなのを堪えるように震えていた。
…成る程。
一人で追いてはいけないような信用ならない奴だと思われているような気がしているのか。
あのな、美鈴が言っていたんだけどな。
美鈴が電話で言っていた事を思い出す。
黒ゴマKAITOは不安そうにこっちを見た。

『別に、ほっといても大丈夫なんですけどね。ゴマの事だから人が居ない間に漁ったりとかしないと思うし。夜になれば親も帰ってくるんで最初は留守番してもらおうかと思ったんです。でも、そうすると朝から夜まであいつ、一人なんですよね。夜遅くまで誰も帰ってこないのって多分ゴマにはきついと思うんです。だったら頼んででも誰かと一緒にいさせてあげたほうがいいかなって……それなりに、心配なんですよね、やっぱり』

美鈴の言葉を伝える。
黒ゴマKAITOが驚いたような顔をした。

「………それ、マスターが言ってたんですか…?」

ああ。
頷くとみるみると黒ゴマKAITOは頬を染めた。バチンと音を立てて掌で覆い隠す。強く叩き過ぎたのか、痛っと声を上げてそのまま頬をさすっている。
…面白いな。
何となく美鈴が黒ゴマKAITOをからかう気持ちがわかった。

「………………大丈夫……です、か…?」

頬を叩いてしまった事に対してか、モカが半分のクッキーを差し出しながら聞いた。
ちなみに横でコウはふがふが言っている。口に詰め込み過ぎだろ、お前。

「だっ、だいじょぶです!」

モカからクッキーを受け取り、口へ運んだ黒ゴマKAITOは一気に紅茶を飲み干した。
そして立ち上がりながら、俺もう寝ますっ、と言ってバタバタと廊下へ走って言った。洗面所へ行ったのだろう。まぁ少しの間ほって置こう。多分本人もそうしてほしいだろうし。
と、クッキーの粉まみれになったモンスターが現れた。
ふがふがしながらコウが何か言ってくる。
何を言っているか、全くわからない。だが、とりあえず笑顔なので頭を撫でてやった。
羨ましいのか何なのか、モカがじっと見てきたので空いている手で撫でる。
…明日も、黒ゴマKAITOをよろしくな。

「……っ、みー!!」
「………………」

クッキーを飲み込んだコウの返事とモカの頷きが重なる。
遅れて、顔を洗ってきたらしい黒ゴマKAITOがリビングに入ってきた。
さて、明日の夕飯が楽しみだ。

自分の辞書には「自重」とか「遠慮」などの言葉が欠けている様です。


素敵なアイコン画像を予感子様からいただきました。
兄さん必死です。
ありがとうございましたー。



・思い出とオルゴール後書き
ここまで閲覧いただき、ありがとうございます。
何故ここに書いたかといいますと、あの場に余計な文を書きたくなかったのです。雰囲気を大事にしていたので、それを壊すことはしたくありませんでした。…まぁ壊れる程雰囲気が出ていたかわかりませんが。

このお話は所謂死ネタというものです。文をぼかしていますが、最後は二人とも亡くなっています。
始まりで作者である自分が「KAITOと種KAITOの違いを追求した一つの結果」と言いました。まさにその結果がこの終わり方です。
種KAITOは生きている。KAITOは生きていない。これがこのお話の大前提です。
だから種KAITOはマスターが死んだ後、天国まで追いかける事が出来るのです。

KAITOの亜種というからにはKAITOに似ている部分、KAITOと違う部分、両方ある筈だと思っていました。アイスが好きなところ、顔が似ているところ、マフラーをしているところ。皆似ています。
では違いは?と考えた時に先に述べたあの考えが出てきました。性格に関しては元が性格あるものではなく、それこそ好きな性格を創造出来るので省きました。うちの子設定とかありますしね。
そのほかにも違いはあると思います。成長すれば大きくなりますし。

自分の中で種KAITOは死ぬと霧散します。アイスから生まれたので最後は溶けてなくなるのでは、と思ったのです。
そしてもう一つ、マスターが死んだら種KAITOも死んでしまいます。
…この設定については「KAITOの種シリーズ」でいずれ出そうと思っています。

長々書きました。すみませんお喋りで。
いずれ修正して投稿し直そうと思っています。自分にとって大切なお話なので完璧にしたいのです(笑)
タグ、コメントありがとうございました。
特にタグは思い入れのある話なのでいい話と言われて嬉しかったです。…最後、ああなってしまいましたが、いい話だと思っていただければ幸いです。
まだまだ語りたいことはありますが、そろそろ失礼致します。
次はいつもの通り書きたいです。それからもうすぐチャラい種KAITOことモノの話を書きたいですね。…挑戦状の締切が迫っています(笑)

ここまで読んで下さって、ありがとうございました!

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