優しい傷跡-魔法の音楽時計- 第18話「後悔の手紙」

投稿日:2009/03/19 10:55:52 | 文字数:1,950文字 | 閲覧数:538 | カテゴリ:小説

ライセンス:

【登場人物】
増田雪子
 帯人のマスター

帯人
 雪子のボーカロイド

灰猫
 リンとレンを助けようとする猫

少女(リン)
 鏡音リンの意識を持っている少女

【コメント】
灰猫→リン→レン

簡単に書くとこんな感じ


※雪子の姿は元に戻ってます、と認識してくださいまし

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TEXT
 

光を抜け、帯人と雪子は地上へ降りた。
そこはなにもない海岸だった。
これが最後の悲劇の舞台なのだろうか。

「…うん…ぅ…」

雪子がやっと目を覚ます。
しばらく茫然としていたが、自分の置かれている状況を理解すると
いきなり顔を真っ赤にして暴れ出した。

「…どうしたの?」

「な、なんでもないからっ! だ、だから降ろしてっ」

「……?」

帯人は素直に雪子を降ろした。
しばらくの間、雪子の頬のリンゴ色は引かなかった。

打ち寄せる波の音しかしない。
帯人と雪子は砂浜を歩いた。
柔らかい砂の感触が気持ちいい。
波の音も心地いいのに、ちっとも寂しさは柔らがない。
この世界全体から、寂しさがにじみ出ていた。

やがて一人の少女と出会った。
その子の顔はリンそのものだった。
小瓶を抱きしめて、じっとなにかに耐えていた。

「…リン?」

こちらを見る少女。
彼女は品のいい笑みを浮かべた。

「あなた方は、書き手の方でしょう?」

「…知っているんですね」

「話には聞いていたの。でも、ここまで来たのは初めてよ」

「それは…?」

雪子が小瓶を指さす。
少女は悲しそうに小瓶を見つめながら、くすっと微笑んだ。

「この世界の悲劇を、教えてあげましょうか?」

「え!? いいの?」

「もちろん♪」

リンは地平線を眺めながら、静かに言った。

「大切な人を…殺してしまったことよ…。
 私のせいで、あの人は死んでしまったの…」

波の音。
少女の声。
どれも全てが悲しく響く。

♪~♪♪~~♪~♪~♪~~♪♪~~♪~

そのとき、雪子の首にかけてある音楽時計が鳴り出した。
オルゴールが優しい音を奏で始める。

「…その曲、知ってるわ」

懐かしむように、少女は時計を見つめる。

「どこだったかしら。…真っ白な部屋で、ベッドに寝ている子がいて、
 それから……ねこが……いたような…」

雪子は息をのんだ。

「リンちゃん、きっと助けるよ! 
 あなたの悲劇も全部、なかったことにしてあげる! 絶対に!」

「ありがとう。…ねえ、これを渡してくれる?」

リンはそっと小瓶を差し出した。
瓶の中には羊皮紙が入っていた。

「これをね、私の「召使い」に渡して欲しいの。
 …書き手さん、お願い。彼を助けて。彼が死なないように、してあげて」

リンは涙をこぼしながら、震える声で必死に言った。
雪子は深くうなずいた。

「お久しぶりですね。お二人さん」

トントンと、空中を歩きながら、帯人と雪子に挨拶をする影。
銀色の毛並みを持つ、気品ある紳士がそこにいた。

「灰猫さんっ!」

「雪子さんの笑顔を見ると、安心しますね。
 帯人君、お疲れ様でした」

「……」そっぽを向く帯人。

灰猫は苦笑しつつ、雪子の前に降り立った。
雪子の音楽時計をのぞき込みながら言う。

「音楽時計は過去を変える力を持っています。
 まあ、つまり「たいむすりっぷ」ができるのです。
 雪子さん。貴女が望む時間を考えて、念じてみてください。
 きっと音楽時計は答えてくれます」

雪子はギュッと音楽時計を握りしめ、強く念じた。
彼女の大切な人が死ぬ前へ。
誰も傷ついていない時へ。

♪~♪♪~~♪~♪~♪~~♪♪~~♪~

オルゴールの音色が強くなる。
針がぐるぐる勢いよく回転する。

「これでいい。これで、時間を飛び越えられる。
 さあ、行きましょうか。最後の悲劇を書き換えに―」

帯人や雪子、灰猫の身体が光を帯びる。

「待ってッ!」

リンが灰猫を呼び止める。
鼻の頭を真っ赤にして、泣きじゃくりながら灰猫を見つめる。
灰猫は諭すように言った。

「私は貴女の大切な人ではありません。
 でも安心してください。
 貴女の大切な人は必ず助けます。
 …ただ一つ、約束してください」

灰猫は小さく微笑んだ。
でもその背はひどく悲しそうだった。

「もっと貴女自身を大切にしてください。…できますか?」

「…はい」

光はついに目も当てられないほどまばゆくなり、リンは一瞬目を閉じた。
そして再びまぶたをあげたときには、もうそこには三人の姿はなく、
砂に足跡だけが残っていた。

リンは大声で泣いた。

彼にとても似ていたのだ。
とても――
身を挺して守ってくれようとしている、その覚悟さえ似ていて、
まるであの人まで死んでしまうような気がした。


あのオルゴールを私は知っている。
思い出したのだ。
病室に眠るあの子と、看病に来るあの子。

私は全て知っている。

あの人が誰であるか、も。

あの曲名。
そう、それは―――


     リグレット・メッセージ
        後悔の手紙

【お休み中】

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「優しい傷跡」は三部作ですが、三部の途中で書けなくなりました。
続きは書けませんが、そこまでのお話は残しておくつもりです。
二次創作やら派生やらは、一言いただければ基本okです。
これからは何となく書いた歌詞を載っけていくつもりです。
よろしくお願いします。

帯人・がくぽ・ミクオ・欲音ルコが大好きです。

下から飛べますよ♪

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優しい傷跡
http://piapro.jp/content/7q5hqtkfhff7gpll

優しい傷跡 番外編
http://piapro.jp/content/prenayotf2qetyrj

優しい傷跡-魔法の音楽時計-
http://piapro.jp/content/p6xkwgja3thb4jvs

優しい傷跡-君のために僕がいる- (中断)
http://piapro.jp/content/3itb7ja54w5dp7y1

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作品へのコメント3

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    ご意見・感想

    いつも読んでくださり、本当にありがとうございます^^
    みなさんのコメには励まされます。
    これからもがんばって書いていきますので、応援よろしくお願いします。

    最後の曲は悪ノシリーズです。
    この話を書くきっかけとなった曲が、「リグレットメッセージ」でした。
    もし過去を変えられるなら―と考えたのが一番始めでした。
    駄文ですが、もうしばらくつきあっていただけると嬉しいです。


    ここで小さく紹介しておきます^^
    魔法の音楽時計の奏でている曲がこれです↓

    http://www.nicovideo.jp/watch/sm3611558

    リグレットメッセージをオルゴール風にしたものです。オススメです♪

    2009/03/19 23:08:11 From  アイクル

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    ご意見・感想

    やっと曲名を出してくれました!!ありがとうございます。。
    これは実際にある曲なんでしょぅか??探してみます。。
    次の話、楽しみにしてますね! レンの悲劇はどんなものなのか。。
    いろいろ想像しながら待ってますw

    それでは。また会いましょ~。

    2009/03/19 19:09:49 From  まにょ

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    ご意見・感想

    新作来ましたー!
    今回は悪ノ系ですか。
    大好きです!

    続きも頑張ってください^^

    2009/03/19 14:40:48 From  ニュルーズ

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